『ウェンディのあやまち』
ウェンディジレンマ(ウェンディ症候群)からのタイトル。三人の女性と一人の男性の視点で語られる物語。
男性のものは状況説明というかつなぎの要素が強いかな。女性三人にはそれぞれにペアとなるような男性の姿も。
三人にどんな関わりがあるのか、冒頭に示された子どもの餓死事件がどう絡むのか、と気になってぐいぐい読み進む。
大人になれない子どもたち、体だけは大人になってしまった子どもたちの思考がおそろしく、おぞましくて、つらい。
『碧と花電車の街』
終戦からしばらく、名古屋の大須に母親と暮らす少女の数年間。
色々な人がごった煮のように関わり合い、支え合う日々が、作中に出てくる花電車のようにきらきらと描写される。いいことや楽しいことばかりではないはずなのに、少し羨ましくなるくらいに生きている、という感じがする。
淡々としているようで波乱万丈で、でも、あちこちに転がっていそうな気も。終わり方もとても心地いい。
『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』
戦国時代、海を渡って持ち込まれた「キリスト教」。江戸時代に禁止されても隠れ信仰を続けていた…というのはちょっと違うよ、という本。
禁止令が撤廃されて意気揚々と(?)やって来た宣教師が、土着化していてもうこれはキリスト教徒は違うものだと言った…という話はどこだかで聞いたことがあって、それの裏付けが取れたような気分。
現代日本においても、何故キリスト教は普及しないのかという考察もあり。まあ…神様が多いのに馴染んでいると、絶対的な唯一神ってのはあまり納得いかないよね…。
推測を断言で書いてしまう文章はちょっと違和感。
『悲球伝』
シリーズの主人公は不在の一冊。
大体三人の視点で進むけど、タッグを組んでいるはずの二人は重なったり思ったよりも離れていたり。唯一離れている一人は…見事に孤立というか。
次で最終巻とのこと。…本当?(苦笑)
『雪の王 光の剣』…最終巻。
天に乗り込むのかと思ったけど、それはさすがになかった…そりゃそうだよね、巻数が足りない(苦笑)。
予想以上に甘い幕引きで、良かったよかった(笑)。
この世界の仕組みについてもまだ疑問も残っているし、始祖の四人も色々とキャラクター濃そうだし、もっと続けてくれてもいいのにな〜。
『愛は味噌汁』…シリーズ第三弾。
相変わらずに美味しそうだし楽しそう。
若者の焦りにどう対応するかと思えば…言葉だけではきっと届かなかっただろうなあ。テレビ放送されたとなればその後でまた一波乱きそうだけど、このままシリーズ続くのかな? それにしても、辛子レンコンの彼女の、一矢報いなければ残ったままというのになんだか深く納得してしまった。確かになあ。
『青くて痛くて脆い』
就職内定をもらった大学生が、大学生活での心残りを晴らすというか…いやーこれ、きっとこの物語が深く刺さる人も、強く揺さぶられる人もいるだろうなと思うのだけれども、だけれど、読み終えて冒頭を思い返してふと思い浮かんだ言葉が「小人閑居して不善をなす」。
…だってねーこれ、果たして就職が決まらず就活長期戦で卒業間際(もしくは卒業の後)まで駆けずり回っていたら、これ、やったかな? 友人も手があいてて協力してくれなかったら?
諦めないというのは凄い才能だと思うけど、物語としては好みに合わず。
そして、価値観の反転というか崩壊というか、そのあたりで『何者』を思い出したのだけど、比べてしまうと、あちらの方が断然巧いのだよなあ…。衝撃が薄かった(というか途中でわかった)のは、先にあちらを読んだからというのも。
『食堂メッシタ』
全て一人でこなす、本場イタリアン店の店主の話。
最後の献辞(?)からすると、実在の人やお店をモデルにしていそうだけど、その割には創作…なんだろうな…? 凄まじい情熱。
『名無し』…新・知らぬが半兵衛手控帖四作目。
今回は全体的に、ばたばたとしていたような…?
「嘘吐き」は、いくらなんでも考えなしが過ぎるのではと思うけど。
『アンティーク弁天堂の内緒話』
古い物の声を聞くことのできる主人公(女子高生・家を離れて共同生活)が、変わった店主のいるお店でアルバイトをしている短編集。
変に色恋絡むような絡まないようなのが妙な感じ…。
不思議さのふんわり具合は好きだけど、一編がもう少し長くてもいいかなあ。
『祈りのカルテ』
読書メーターの献本当選本。
研修医が色々な科を回って研修を受けているときに遭遇した謎を解き明かす連作。主人公、優秀過ぎる(苦笑)。
題名の「祈り」は、「良くなりますように」というものでいいのかな。
ミステリと考えると少しもだもだするけど、人情ものと考えればほっとする、暖かな感じが良い。シリーズものの時のようにキャラ付けが濃くないのも話の感じに合っていい感じ。
『明治あやかし新聞』…三冊目。
艶煙の過去話がたっぷり。
一冊にまとまって、ありがたいようなもう少し引っ張ればいいのに、とつい思ってしまうような(苦笑)。
久々に、思い立っての一気書き…を、「虚言帳から」に載せています。
やー、仕事始まる前くらいにふっと思いつたやつを、そのまま消え去らずに書ききったの久々すぎる…。思いついたままからはやはり変化して、抜け落ちた部分もあるけど。
そして、あまり練らないままという(爆)。
『あるフィルムの背景』…犯罪小説の短編集。
悪意や殺意や悲惨さや、そういうものであふれているのに、文章の端正さのせいか、それほど読後感は悪くないのが不思議。
『デッドマンズショウ 心霊科学捜査官』…シリーズ二作目。
呪いの映画…という帯を見て、見たら呪われるのかと思ったら映画に出演した人が殺される、というものでした。
今回は、同僚の掘り下げであまりバディものの感じはなかったなー。
…ていうか相談しようよ、最後の被害者…無理とは思うけど、でも。警察には無理でも…ああでも主人公も、警察って見るよね―この場合…。
『なぞとき遺跡発掘部』
日々バイト(金稼ぎ)に明け暮れる主人公が、発掘絡みで引っかかりを解き明かす話…?
気軽に読めるけど、キャラ立てなのか人間関係か、何かがちょっと好みから外れてるなー。
『葬偽屋に涙はいらない』…二作目。
今回は四本収録。この二人の関係も、わかり切ってるだろうに発展しないな(笑)。
今回、ヴァニタスと絡めた話(薀蓄)は少なめだったような…?
『声優 声の職人』
三十年にわたって、第一線で活躍しつつ会社の社長であり養成所の講師でもある著者の、これまでを振り返ったり今後を考えたり、そもそも声優ってどういう仕事なのか、といったことだったり。
声優さん、その職そのものにいろいろと興味はあるしアニメも観ているから声とセットで名前を覚えている人もいくらかはいるのだけど、実はそれほど詳しくはないなー。名前を覚えていても、声を覚えているかといえば怪しかったりするし。
そもそも(?)、好きな人であっても、「この人が出ているからこれ観よう」というのはあまりないなー。俳優さんでも同じなのだけど。面白そうな話に好きな人が出ていたら嬉しいし、観ようか迷っているものに好きな人が出ていたら観ようかなーと思うくらいの付加にはなるのだけど。
『集団探偵』
…バカミス…?
安くて便利だから、とおんぼろな建物で共同生活を始めたら、何故か探偵活動も一緒にやることに…というもの。まあ…楽しそうでいいけど…。
『トッカン 徴収ロワイヤル』…四冊目で短編集。
いやもう最後の話でいろいろ吹っ飛んだ。笑い転げたよ…。めちゃくちゃ映像で見たい。でもきっと、映像見ちゃうより想像したのが一番面白いやつだ。
「人生オークション」、上手く使われたのだろうけど、でもしんみりとする。
物語が進まずキャラの掘り下げ話? と思ったら、特典掌編からの収録だったり。いやあ、そうやってどんどん商業出版にまとめてくれると嬉しい…限定特典とか、ほんと、手に取れないから…。
仕事終わり、大学が一緒だった友人とごはん食べて来ましたー。
いつも通りに帰ってれば免れたのに、確実に雨に見舞われるなあとそこでは気が重くなりながら…(爆)。
小学生くらいの頃はともかく、今はほぼアニメを観ないし漫画もそれほど読む子ではないのに、何故かやたらとアニメの話をしてた気がする。何故だ。
あと面白いというか納得したのが、彼女は研究がしたくて大学に入った、と。所謂文学研究というか、作者の来歴とかどういった状況でどんな話書いたとか、だからこの文章からはこういったことが読み取れるとか、そういうの(曖昧)。
で、私は逆に、そういったのが好きじゃなくて、だから点数取れたけど現代国語の授業って好きじゃなくて、国文進むのってどうなのかなーと悩んだりしたのだよねえ。社学とか人文とかのが良いかなー、とも思ったし。都市伝説(情報伝播)とか民俗学しようかなと。結局のところ、中国文学のゼミあるよってので卒業した学校に行ったのはあるので、正味国文じゃないとこに落ち着いてるし(苦笑)。
作者がどんなだろうとどんな背景や隠喩持ってようと、読んで面白いと思ったらそれでいいし、作者の意図した物語がそのまま読者に届くことなんてなくて読者が読み取ったものが全てだろうという派なので。いやもちろん、時代背景を知っている方が面白さが増すことが多いから知識って大事だなとは思うし(書かれてから時代が経過したものなんて当時の「常識」がわかってなかったらそもそも意味が取れなかったりもするし)、作者のあれこれを知っていたら楽しめる部分があるというのも知ってはいるけど。
…一回、物語自体は結構好きだったのに、あとがき読んで幻滅というかこの人の考え方無理だ、と思ったのがあって、インタビューとかもなるべく読みたくないってなった時期があったのも大きいなあ。
とかまあそういう話をしていて、今までに読んだ本のことを話したりもしたけど、微妙に食い違うなーと思っていたのは(意見が一緒とかそういうのではなく、何かずれがあるな噛み合わないなという感覚。生きた魚の話と刺身の話をしてるのに気付いてないみたいな)、そこなんだなーと思って。
彼女は解析する部分強めで読んでいて(しかも場合によっては本当に資料収集として)、私は色々と思ったり同じように分析するところはあっても、まずは単に読者としての部分が強くて。
なるほどねー。面白いなあ。
『血か、死か、無か?』…シリーズ8冊目。
また、最後にがっと話が動く。で…百年シリーズ、三冊目読んでないなあ。そしていろいろ忘れてるなあ。三冊とも読みたい…。
A嬢と、「鋼の錬金術師」展行ってきました。
神戸でやるよって知って、行きたかったんだよねー。漫画の原画展。
A嬢が音声ガイドを借りるというので、一人でさくさく行ってもあれかなーと私も借りて。…しかしこれ、イヤホンはなかったから一つ借りて二人で聞くとかも可能だった…(苦笑)。
楽しかったー。あと、単行本で見るより大きいから、こんな細かいとこも…とかも面白くて。
で、隣のカフェにふらっと入ったら、ドラマの「女子的生活」で出てたお店だったらしく。せっかくなので、ドラマに出てた分厚いスフレケーキ+たっぷりベリージャム+大量生クリームのやつを食べたよ(笑)。塩味がほしいって、A嬢は後でから揚げ買ってたよ(そして相伴に預かった)。
同じ建物の中で何のイベントがあったのか、男子トイレが混んでいたけど何だったんだろ…?
そういえば、ダブったからとコナンのがちゃがちゃ(カプセルトイ)をもらったのだけど、「キッドと安室があるのに、キッドはすぐに貰い手が見つかったのに安室が残る…」というのの話をしたり。
いやだって、私が「今回の映画で主役みたいに目立ってる安室っていつの間にこんなにがっちり出てるの?」というのがわからず漫画貸してもらっていた(そして読んだら、なるほどがっつり出てくるし人気もあろう、と思った)というのもあるけど。
…コナンを最新まで追っかけてなかったら知らないよ。高校くらいまでアニメ見てたけど、ってのじゃ「誰?」ってなるよ。
というわけで、人気らしい安室はコナンのコミック読んでないしアニメも今は見てないだろうA嬢の周囲の人に振っても貰い手見つからないだろうね、そりゃあ…という(苦笑)。
そんな流れからだったか他の漫画の話になって、一話完結のやつって情報量多くなるよね、というのから、短い話をきっちりと書くのは難しいよね凄いよね、星新一はやっぱり偉大だねって結論が出た。←
『みとりし』
動物の声も聞こえる主人公。ベットの最期を看取る仕事を始め、飼い主にペットの言葉を伝えたり仕事仲間の関わりだったりで、過去の呪縛と向かい合うことにもなっていく。
いつものように淡々と、周囲との距離を冷静にはかっているような筆致で書き綴られている物語。もう少し続きも読んでみたい。
『近松よろず始末処』
近松門左衛門がやっているごたごた解決(有料)に、半ば無理やり引き込まれた主人公。
人のためと駆け回っていたのに金のためとか戯作のためとか言われて、信用していいのかと思い悩むうちにも依頼は来るし、他に帰る場所もないし。
この作者はやはり、江戸の大坂が好きなんだなあ。
『法廷弁論』…弁護士に容疑のかけられた殺人事件を弁護士が追いかける。
少しばかり、主人公がいい人すぎる感じはあるけど、事件が結構どす黒いからバランスとしては助かっているかも(苦笑)。
…というかこれ、シリーズものの何作目かだったりする…? 説明に過不足はないのだけど、何故かそんな感じが。
思っていたよりはさくさくと読めた。
『物の怪斬り』
シリーズ完結? 今回は、やんちゃ坊主たちがやらかして巻き込まれた幽霊騒動ではなく、蓮十郎の知己がもたらした…というか、全ての因縁の終結した、というか、な一連の騒動。
そしてそれとは関わりなく、その騒動のために鎌倉旅行に出た四人はしっかりと幽霊に遭遇する(苦笑)。でもこの能力…一人で全部を担当するのはまだいいとして、三分割で誰かが遭遇したら他も無理矢理にも体験させられるってのまで続くなら、かなり生活上不便なことになりそう…。
竜が思いがけずかなりいいキャラだったから、蓮十郎とコンビを組めばいいのに(笑)。
『英国スパイ物語』
主に、第一次・第二次の世界大戦時のイギリスのスパイ活動のあれこれ。
第一次のときの諜報員は、作家の名前がいくつかあるなー。第二次世界大戦のときの、ドイツとイギリスの二重スパイで架空のエージェントを最終的には(?)二十七人も創作していた人が面白すぎる…。終戦後の消息は書かれていないのだけど、それこそ作家になれそう。実に、事実は小説よりも奇なり。
あと、ステーションXは何かの小説で読んだ気がするのだけど…コニー・ウィリスかなあ。
『友達以上探偵未満』…中編?+短編二本。
高校生の女子高生探偵二人組? 最後の話はエピソードゼロというか、二人の出会いからの話。
いまいち合わなかったのだけど、最後の話の、あお側の求める感じは面白いな。
常々、(奇矯で天才の)探偵と(常識人あるいは凡人の)相方って、相方が引き立て役のようだけど実のところ、一般社会との懸け橋になってるよなーと思っていたから。
この二人の関係はまたちょっと違うけど、つないでくれる相方がいなければ、探偵に活躍の場はないだろうなと。だからこそ、それぞれあるいは片方が自覚していれば、依存しそうだなとも思う。
『キネマトグラフィカ』
映画会社に平成元年就職の同期六人。五十代になった同期会(現在)パートで、映画のフィルムをローカルセールスマン(地方映画館への映画の売り込み担当)だった四人が手渡しでリレーしていくパート(二十数年前?)を挟む構成。
男性陣はさほどだったけど、女性陣の内幕は、共感するものも多々あって息苦しくなるほど。
そして、五十代であってもまだ途上というところに、途方に暮れるようなまだ未来を夢見られるような気分になる。
『5時過ぎランチ』…三本収録。
ガソリンスタンドのアルバイトと、組織所属の殺し屋と、週刊誌の記者。
二本目はそれなりに楽しめたのだけど…題名で思いっきり勘違いしてた…最近多い、ご飯小説とばかり、ね…(爆)。殺伐としてた…心構えができていなかった分、ダメージが…。
『合成生物学の衝撃』
読みやすい。技術的なことをさらっと流して、流れだけ掴みたいような読み手にはありがたい。アメリカが舞台なので、名前がいまいち覚えにくいのは仕方がない(苦笑)。
クローンが、iPS細胞が、といっている傍らで、元からあるものを利用するのではなく自由に書く(デザインする)、という考えのものも研究は着々と進行中。軍事との関わり合いにも触れたり。
遺伝子を書き換える、というあたりで上田早夕里の小説を思い出したり。こういう技術の仮定の上であの世界かー。うーん、パンドラの箱。このまま進めば歯止めは利かないだろうし、興味深くはあるけれど。
『あの世探し』
夫を亡くし、どうして化けて出てきてくれないんだろう、幽霊に出会えたら夫と仲介をしてもらおう、と考える静子さんの、さみしさを抱えながらもなんだか楽しそうな日々のこと。旦那さん、すぐ隣にいるのに。
一方通行で、旦那さんからの声は届かないけど、とても仲がいいだろうことはよくわかって、「あの世」と「この世」がこんな感じならいいなと思う。
物凄く面白い、というわけではないのだけど、なんだかいいなあ。
あとがきを読んで、ちょっとしんみりと。ふんわりしっとりとした感じ。
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