虚言帳

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2008.1

2076 年 1 月 1 日 あけましておめでとうございます!

 ええと…特設頁つくるのもなんだかなあ、な内容になってしまったもので、ここで(汗)。

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 干支にちなんで、ということで、鼠に関する昔話なんぞの概略をば。
 敢えて、ネット検索を禁じ手にしてみました。さて、どのくらい間違えているのでしょうか(どきどき)。みなさん、真に受けないで正確なところを本かネットで探しみましょう(苦笑)。

おむすびころりん

 おじいさんが野良仕事の途中でお昼ご飯を食べようとおむすびをひろげたら、うっかりと落っことしていまいました。おじいさん、慌てて転がったおむすびを追いかけます。ところがおむすび、元気に転がり、とうとうぽっかり開いた穴の中に。

 すると穴の中から、

 おむすびころりん すってんてん♪

 という、奇妙にかわいい、気になる歌が聞こえてきます。
 それが楽しかったおじいさん、もう一つおむすびを穴に投げ込んでみます。
 するとやはり、

 おむすびころりん すってんてん♪  

 という歌が。
 おじいさん、楽しくて楽しくて、残るおむすびを順々に、全て入れていってしまいます。(貴重な食糧を!)
 そうして遂には、自分までも、穴に転がり込んでしまいます。
 転がって行ってみると、そこにはネズミたちがいました。結婚式だと、宴が開かれています。
 おじいさんが落としたおにぎりは、その宴のご馳走になっていました。おじいさん自身も、ご馳走をくれた人として丁重にもてなされます。
 宴の中で、猫は呼ぶな、といった歌が歌われます。
 そしておじいさんは、お土産をもらって、ネズミに導かれて家に帰り着きます。お土産は、おじいさんの見たこともないようなすばらしい財宝でした。
 その話を聞きつけて、我も、と目論んだ隣家のおじいさん。
 話に聞いた穴におむすびをいくつも投げ込み、えいとばかりに自身の体も投げ込みます。
 そしてやはり、たどり着いた先では宴が開かれています。(祝い事多いな)
 もてなされた隣家のおじいさんは、猫は呼ぶな、の歌をきき、むくりと欲が頭をもたげます。まあそもそも、欲得尽くめで穴に飛び込んだわけですが。
 にゃあ、と猫の鳴き声を真似るや否や、ネズミたちは一目散に逃げ散ってしまいます。
 残された隣家のおじいさん、ネズミたちのいない間に財宝を独り占め、が目的だったのですが、明かりも消えてしまい、何がどこやら、ここはどこやら。とうとう、帰り道さえ見つけ出せず。

 おむすびころりんすってんてん♪ というウタが一般的なのかどうかわかりませんが、来条が読んだものにはそんなものがあったような。
(おむすびころりんすっとんとん♪ だ、という指摘が入りました。検索してみるとそのようで…いやあ、記憶捏造。面白いので、そのまま置いておきます。ご指摘、感謝!)

鼠の嫁入り

 ある日、鼠のお父さんは思いました。
 うちの娘はかわいい。とってもかわいい。婿に迎えるなら、世界で一番強い奴だ!(なんてまあ…)
 そこでお父さん、世界中をあまねく照り渡す太陽こそが世界一、と、婿入りを求めます。
 が、   

「私がどれだけ照らしても、雲さんには隠されてしまう。雲さんこそが世界一強いですよ」 

 そこでお父さん、次は雲のところに行きます。  

「私がどれだけ頑張っても、風さんには流されてしまいます。風さんこそが世界で一番強いです」

 ここでも否定されてしまいます。
 お父さん、負けじと風のところ(どこ?)に向かいます。  

「私がどれだけ頑張って吹いても、壁さんは倒せません。壁さんこそが世界一です」

 またしても。
 しかしお父さん、負けません。粘り強いのかしつこいのか。
 が。

「私がどれだけ頑丈に立っていようとも、穴をあける鼠さんには敵いません。ネズミさんが世界一です」

 …かくしてお父さんは、立派なネズミの婿を迎え入れましたとさ。
 めでたしめでたし。   

 ある意味たらい回し?と思わないでもない話ですね。

鼠経


 あるおばあさんのところに、似非坊主が宿を借りました。
 おばあさん、せっかくお坊さんがお見えになったのだからと、お経の一つも教わりたい、と申し出ます。似非坊主も、似非とばれればまずい事態になります。
 仕方なく、冷や汗をかきながら了承し、さてどうしたものかと手を合わせていると、壁の穴から一匹のネズミが這い出てきました。そこで咄嗟に、

 おんちょろちょろでてきてそうろう  

 から始まり、ネズミが出たり入ったりうろちょろしているさまを、「おん」をつけてさも経文かのように唱えます。
 おばあさんは、その「お経」をありがたく思い、似非坊主が帰った後も、その「お経」を唱えることを日課としていました。
 そしてある日、泥棒がやってきました。(あまり裕福に思えない家なのに)
 そのときもおばあさん、「お経」を唱えています。
 偶然にもその「お経」、逐一、泥棒の行動と合致していました。おかげで泥棒は、  

「あのばあさん、こっちを見てもないのに俺の行動がわかってやがる。これは厄介な奴に違いないぞ」

 と、逃げ帰ってしまいました。
 めでたしめでたし?  

 瓢箪から駒、のような話ですね。間抜けというか馬鹿にしているというか気が抜けるというか。

鼠の相撲

 あるところに、貧乏なおじいさんとおばあさんがいました。日々の食事にも困るような、貧しい家です。
 そこにネズミが一匹、棲んでいました。
 ある日、おじいさんとおばあさんは、我が家のがりがりにやせ細ったネズミが、ぷくぷくに肥え太った長者の家に棲むネズミと相撲を取ることを知りました。
 その日からおじいさんとおばあさん、ネズミをはげまし、せっせとご飯をやります。
 そうして相撲取りの日。
 おじいさんおばあさんのところのネズミも元気一杯で、肥えた長者のネズミとがっぷり四つに組みます。
 貧乏ネズミ、今日の日のためにおじいさんおばあさんに目をかけてもらったことに感謝しています。その恩を返すには、この相撲に勝たねば!とばかりに力をふりしぼります。
 かくして。貧乏ネズミが長者ネズミに勝利し、おじいさんおばあさんは大層喜びました。  

 この後、ネズミの恩返しがあったかなかった…なかったような気がするのだけど、ないと話として収まりがつかないような気がしないでもないのですが、どうだったのでしょう。

田舎の鼠と都会の鼠

 都会(で暮らしている)ネズミのところに、田舎(で暮らしている)ネズミが遊びに行きました。

 都会のネズミは、盛んに都会のよさを主張します。
 ところが田舎のネズミは、「都会風」の暮らしに、次第に嫌気が差してきます。
 そして、「やっぱり田舎が一番だ」と、帰って行ってしまいます。
 都会のネズミは「どうしてこの良さがわからないかなあ」と思い、田舎のネズミは「やっぱりここが一番だ」と思います。

 収まるべきものは収まるべき場所に、という意味で、「鼠の嫁入り」に通じるものがありますね〜。  

ライオンと鼠

 ある日ネズミが、ライオンに捕まってしまいます。食べられそうになったネズミは、必死に命乞いをします。

「僕を助けてくれたら、あなたが困ったときに、きっと助けに行きます」

 ライオンは、ちっぽけなネズミに何ができる、と思ったものの、戯れにネズミを解放します。
 そうして、その日はやってきました。
 罠にかかったライオンは、縄が絡まって、全く身動きが取れません。そうしてさめざめと、あのとき小さなネズミをあざ笑ったけれど、自分だって今となってはネズミ以下で何もできない、と嘆きます。
 そこに現れたのが、あのときのネズミ。
 なんと、仲間を引き連れ、ライオンを捕らえた網を噛み切っていきます。
 そうしてライオンは、無事に逃れることができました。勿論、ネズミには礼を言いましたとも。  

十二支の鼠

 神様が言いました。

「明日、私の元にたどり着いた順に、年に名をつけてあげよう」

 そこで動物たちは、翌朝こぞって神様の下へ馳せ参じました。
 ところがネズミは、細工を施していました。
 まず、猫の元へ行って、神様が言っていたのは明後日だよ、と嘘をつきました(だから今、猫とネズミは仲が悪いんですよ、という話)。
 そして、牛の元へ行きます。
 牛は、  

「僕は動きが遅いから、夜のうちに出かけていって、きっと一番に到着するようにしよう」

 と思い定めていました。
 ネズミはその背に乗り、そしてなんと、ゴール寸前で背から飛び降り、牛の目前に踊り出て一番を獲得しました。  

 後日談として、話を聞いてなかった、と直訴した鼬は、「ついたち(一日・朔日)」に取り入れられました、というのがあります。
 また余談の余談ながら、辰年がありますが、文化革命の頃の中国では、「龍は肯定の証だ、別のものを充てよう」と、なんと、「パンダ年」なるものが実在したことがあるそうですよ。 

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 まあこんな感じで。
 多分、探せばもっとあると思いますよ。ネズミって、身近だったからかたくさん話がありますね。
 ついでにおふざけではこちら。えーと、「敷衍遊戯」を読んでいないとぴんとこないか…いや、読んでいても「うん?」と思うかもしれないです(爆)。

 兎も角も、皆様、良い年をお過ごしくださいませ。

2007 年 1 月 2 日 慣れない

 仕事行ってきましたー。やることなくて困る。
 とりあえず、あの「今年もよろしくお願いします」の挨拶が慣れなくって困るよ…。

 『夜の展示会』…クラッシュ・ブレイズシリーズ。『暁の天使たち』にちらりと出てきた一枚の絵を巡って。
 うん…面白いですよ? 面白いけど、何だろう…『狐罠』を呼んだ直後なだけに、うまいこと逃げたなあ、というか…いや逃げてるわけではないのだろうけども。
 完全に、超人の活躍する結末の心配をしなくていい物語、となっているところが引っかかるのかなあ。

 『イマイと申します。』…詐欺集団を巡って。
 テレビ番組の、架空請求系統の詐欺に対して、送られてくるDMの問い合わせ番号にひたすら電話して(時にはロケにも出かけて)、彼らが何をどうしようとしているのか探ろう、というものをまとめた本。
 やらせ?と思いそうになるのだけど、どうなのでしょうねー。でも案外こんなものだという気もする。会話をまとめているだけに、かなり読みやすいです。そしてちょっと笑ってしまう…(当人の意図するところでは多分なく)。
 実際に番組を見てみたいのだけど、私、微妙にバラエティーに流れている報道番組って苦手…そういうわけではないのか?

 『凶笑面』…連丈那智のフィールドワークシリーズ。短編集。
 民俗学に材を置いた(?)、推理小説。民俗学を少しでも好きなら楽しいです。まあ、もっと専門でやっている人は逆にどうかわからないですけど。
 うーん、ただ、大掛かりな陰謀、というか黒幕、というのかな存在が見えてしまったところが微妙。好きじゃないんだそういうの。
 『狐罠』の主人公が出てきていたり、別のシリーズの料理屋が出てきていたり。料理屋は兎も角…前者、かなり吃驚。あの話、続編があるの?

 『魔女を忘れている』…魔女が復活して起こる事件の数々。現代もの。
 この作者は、元から知っていまして…ライトノベルの分野で。でもあの明るさ(だけでもないけど)を期待していたら…結構重かった。
 すらすらと読めはするのだけど、歪んでしまっている家族や子どもたちや、やりきれない想いとか。何一つ解決していないところとか。
 全く別物ではあるけど、世界の感じとしては、西尾維新の描くものに似通ったところがあるかもしれない。

 『蛍坂』…ある料理屋を舞台とした、色々な人々の色々な日常の事件。
 これが、『凶笑面』にちらりと出てきた料理屋さん。
 読ませるし面白い。…でも何か飽きめいたものが出てくるのは…多分、この作者の据える中心が、でき過ぎのように凄い人物だからだろうな、という気が。感情移入ができないというか、読み手はただの傍観者にしかなれないというか。それはそれでいい立ち位置なのですがね。

 『青年のための読書クラブ』…ある女子高の、ちょっと変わった事件簿。
 部活の暗黒日誌、という体裁で語られる、きっと学園の歴史からは葬り去られてしまうだろう変わった出来事。
 面白いこれ! と、短編五本が収録されているうちの一本は夢中で読んで二本はのめりこんで読んで、三本目を一生懸命読んで思いました(苦笑)。
 清楚で残酷なお嬢様学校の中で異形の存在の少女たちが集う、読書クラブ。そこに在籍した少女たちの起こす、色々な変わった出来事。
 羊の群れに紛れ込んだ狼(でも羊たちを食い荒らすわけではなくただ異端なだけ)、というくだりで『笑うミカエル』を思い出したり。
 面白いですよこれ。

 この間、『朝霧の巫女』の新刊を購入してきました。
 稲生物の怪録を下敷きにしていたこの話、本筋に関係のない要素を取り込みすぎていてどうかなーと思っていたのですが、本筋突き抜けてきて今、うわ面白い、恐い、となりました(どんな)。
 あとこの間に購入したといえば…『金魚屋古書店C』『八犬伝N』(漫画版:碧也ぴんく)『よろしくマスターA』『《本の姫》は歌う@』ですか。
 そうそう、レンタルショップの中古販売で「忍空」を発見してしまい、思わず購入。だってこれ、再放送してくれないし。途中の巻が二本ほど抜けてるけど…まあ、それは地道に探すということで。最悪、なくても我慢する(え)。
 『《本の姫》〜』は、購入するかどうか迷っていて、とりあえず一巻を図書館で借りてから、と思っていたら発見して…しかも物凄く安かったのだけど…本当、あそこの書籍の値段のつけ方わからない…。

 お正月、ということで(?)、姉が今晩だけ帰ってきています。旦那置いて…それはいいのか?
 おせちを食べてほろほろ飲んで、つまみを食べてほろほろのんで。お土産で気付けば増殖していたお酒を消費したり、おいしいウイスキー?(ブランデーだったかもしれない)をちょろっと飲んだり。ああ、いいなあ。
 明日は昼から友人たちと遊ぶので、まあほどほどに。でも昼からだしね!

2007 年 1 月 3 日 ぎゃー

 お腹痛い…。
 食べ過ぎた。今日は確実に食べ過ぎた。
 朝起きておつまみぼりぼり食べてお雑煮とおせち食べて(これが十時くらいから)、それから友人たちと会うべく駅前まで自転車で行ったら途中で手袋落として(後で無事見つけ出せた)、昼ごはん食べて(これが十二時過ぎくらい)、バドミントンで盛り上がって、パフェ食べて(四時前くらい?)、家帰っておつまみ食べてご飯。
 お、お腹痛いよ…(没)。バドミントンした後はお腹すいてたのだけど、でもパフェがでかすぎた。夕飯も食べ過ぎた。
 じごーじとくだー、苦しいよーっ…!

 えっと、とりあえず、バドミントン楽しかったです。
 敵は、対戦相手(?)じゃなくて風なんだ! 本来これは室内競技なんだ!(風でシャトルが流れるから)(おかげで真夏の練習中窓を開けられず熱射病、なんて事故が起きたりする)
 でも、シャトルを追って空を見上げると、青空がそれはそれは綺麗で。だから室外のバドミントンも好きです。
 凧上げてる人がいましたよ。
 うん、来年は凧も調達しよう(恒例にする気なのか)。

 古代ローマ史の番組見てます。
 あ、結構面白い。底本(違)があるからか、しっかりしてるし。変に面白い逸話だけを拾ってないからわかりやすい。わかり易すぎてそれが危険だという気もするけどもまあそれは…バラエティー番組だしねえ、これ。
 世界史でやったから、固有名詞で覚えているものがたくさん出てくるのだけど、説明できるほどしっかりとは今となっては覚えてないから、気持ち悪い。そして、発音の問題で習ったのと違うものになっていたりしてそれが気持ち悪いー。こう、脳を掻き毟りたくなるような!(笑)
 ところで、アウグストゥスの独裁への持っていき方が『銀河英雄伝説』の冒頭(?)を思い出させる…逆なのでしょうけどね。そして、共和制や民主制からの独裁への持っていき方の定番なのでしょう。

2007 年 1 月 4 日 きゃー

 右腕がぱんぱん…いや昨日の時点でそうでしたけども…。

 そう言えば、昨日会った友人から、高校のときの部活仲間(男子)に会って「教室でずっと本読んでて小説書いてた子が友達にいたよね? 今どうしてる?」といったことを訊かれたよーと言われました。
 えっ…いや何か私っぽいが…誰?(一年生のときに同じクラスらしい)
 うーん、私、そんなに記憶に残ると思わないのだけどなあ…? 何故覚えられているんだ。そして何故訊かれているんだ。実は誰かと混ざってないか…?(笑)

 明日、図書館の正月休みが明けます。…うわーん、行きたい…!
 予約確保本が、9冊あるという(カード一枚で借りられる上限は六冊)。…でも手元に、まだ二冊ほど残っているしなあ。
 うー、でも明日、行きたい…おとなしく仕事してきます…。
 ところで予想通りというか、『鴨川モルホー』よりも先に『モルホー六景』が届いてしまった〜。

2007 年 1 月 5 日  寝てしまう

 うーん、夕飯食べた後、だらだらと本を読んでいたら寝てしまうー。

 『星空放送局』…絵本のような物語。
 絵が可愛くって話がさらりとしてちょっと不思議で、いいなあ。…えーとでもこの値段を払う気にはなれないのですが私は…(爆)。

 『吉原手引草』…失踪した花魁の話。
 全て喋り言葉の短い章(?)立てで分けられています。誰かと話をしている様子で、吉原での暮らしやしきたりを語っていく彼ら彼女ら。
 区切りが多い分ちょっと疲れるけど、逆に一息つきやすいということでもあって、喋り言葉は読みやすいです。
 これ、ラジオドラマ…というか、とにかくいろんな人が語る、という音声化をしたら面白いだろうなあ。演じる人が大変そうだけど(何せ話し相手の相槌も質問も一切ない)。
 ちゃんと落ち…と言うか真相も明らかにされます。

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「おい。大丈夫か?」
「………?」
 見下ろすのは、何か途方もなく大きな獣だった。離れて見れば、犬か狼にでも似ていると見て取れたかもしれない。だが、小さな夕凪の視界一杯に広がるのはひたすらに毛玉だらけの毛皮で、これでは熊の姿をしていてもシマリスの形でも変わりはない。
 感情の読めない銀がかった瞳がぽっかりと夕凪を見つめ、口は閉まりきらず、大降りの牙をむき出しに生臭い息を吐く。
 夕凪の小さな頭くらいぺろりと飲み込んでしまえそうな大きな口を前にして、だが夕凪は、不思議そうに獣を見つめた。
「何か応えろよ? おい、頭動いてっか? 死んでんなら死んでろ」
 苛立たしげな声でそう言って、獣がふいと視線を逸らす。慌てて、夕凪は汚れきった獣の毛を掴んだ。
 力任せに引っ張ったにもかかわらず、夕凪の方が引きづられてしまう。
「…何だ?」
「あのっ、あなた、あのっ…!」
「…んだよ、早く言え。てめェ、樂螺んとこのガキだろ? それならそれらしく、適当に雑魚でも捕まえてどっか行っちまえ」
 樂螺。
 獣の口からその単語を聞いて、夕凪はびくりと、身をすくませた。
 樂螺は、魑魅魍魎と一括りにされる異質の存在の大半を天性の素質で従える者らの総称だ。九割九部九厘までが血筋によって伝えられると言われる。
 そして彼ら彼女らは、魑魅魍魎を操り様々な物事を起こし、解決することを生業としている。樂螺とは、一族の苗字であると同時に、お上にすら認められている歴とした職名だ。
 夕凪の名は、正確には、樂螺夕凪という。
「あなたは…あなたも、樂螺にしたがうの? だから…しんぱい…声を、かけてくれた、の?」
 夕凪が今いるここは黄昏の道で、黄泉路とも言う。他にも別称はたくさんあるが、夕凪はその二つしか知らなかった。とにかく、人と魑魅魍魎の世界が重なり合った、あわいの場所だと聞いていた。
 獣は、くわっと口を開け、牙を剥いた。
「俺が?! ふざけんな!」
 大の大人でさえ逃げ出すような、命の心配をしてしまうような怒鳴り声。地響きがして、周囲にいた小物が、泡を喰って逃げ出したのがわかった。
 夕凪は一人、獣の太い首に縋りついた。
「あり…がと…」
「は? …お、おい、泣くな、何だ、何事だっ、おい?!」
 戸惑った獣はそれでも、小さな夕凪を突き放すことはなかった。


「ぎゃーっ、食べちゃ駄目ーっ!!」
 凪が絶叫し、今しも大きく開けた口を閉じかけていた黒は、びくりと身を震わせ、舌の上にネズミの形をしたものを乗せたまま硬直した。
「そのまま、そのまま、動いちゃ駄目だからっ」
 言いながらゆっくりと、しかし狙い澄まし、凪が黒の口元に手を伸ばす。そして、ネズミの尻尾を捕まえ――ようとしたところで、引っ込んでしまう。
 だがまだネズミは黒の口におり、ひっ捕まえようとした凪は、勢い余って黒の舌ごと強く握った。
「!!」
 …声にならない絶叫を、黒は呑み込んだ。

 帰り道。
 一軒家を構える反物屋やら小物屋やらが立ち並ぶ通りを一本入れば、道がぐんと細くなってゴミや酔いつぶれた人が転がっている代わりに、人通り自体は減って歩きやすくなる。
 朝方や夕刻は逆に混み入るが、凪としてはこちらの方が歩きやすい。大通りを通れば人が多い分、見たくない顔も見てしまうこともある。
「がー、まだ痺れてやがる」
「あっ、いい匂い。揚げ物だね。から揚げでも買って帰ろうか。鯨と鶏どっちがいい?」
「ごーまーかーすーなー」
 短髪に藍の着流しを纏った黒は、高い位置で束ねても背にまで垂れる長い髪の凪の浅葱に黄を散らした着物の袷を掴んで揺さぶった。
「お前な、舌を掴むってのはどんな料簡だ。ああ?」
「だっ、でも! 掴みたくて掴んだわけじゃないもん!」
「そういう問題か!?」
「…えへ?」
 流れるような動きで、黒は、次は凪の首を絞めにかかった。無論、ほとんど力はこめていない。黒が少しでも力を入れれば、凪の細い頸くらい簡単に折れてしまうだろう。
 むしろくすぐったがるように、凪は身をよじった。
 黒と凪の慎重差は頭ひとつ分ほどはあり、見かけは数えで十六の凪に合わせて黒も二十歳前後といったところ。傍から見れば、恋人同士がじゃれあっているようにしか見えないかもしれない。

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 うーん…ぱらぱらっと設定だけ思いついて、書けるだけ書き留めとこうかなと思ったのだけど…面白くないな…(没)。
 舞台設定は江戸時代に似た異世界で(江戸もの読んでたから…)。凪=夕凪です。で、黒=獣。
 えーとえーと、夕凪は一族の落ちこぼれ(両親ともに樂螺の一族なのに必須の操心術がほぼ使えず)で、誰にもろくに声をかけてもらえず、心配なんて到底してもらったことがなくて、黒の何気ない言葉が嬉しかったという。
 そうして、黒とともに一族を出ることを決めてばたばたと暮らしていっているという。黒は獣形の方が気楽なのだけど外出時は凪を一人にすると変なの(ナンパ目的とか)が来るから人形…て感じで。うわー、全然書けないー。
 設定ばかりで面白い話なんて書けない気がしてきた。掌編はまとめ方忘れる(?)し。

2007 年 1 月 6 日 にぎゃー!

 『鴨川モルホー』、どうも今日予約確保できたようです(まだ受け取り館には到着していない)。でも、今週の休みは休館日に重なるので次に行けるのは早くて一週間後の日曜日。
 …何の嫌がらせだ?(違)
 まあそんなこと言っても、今日十一冊借り込んで来たので、まず問題ないというね。他の本読んでるうちに一週間過ぎるよ。

 図書館。
 一冊、書架で読みたい本を見つけて、カウンターで返却を済ませた、ところで館の人が背面の予約本を振り返ったという…(笑)。
 完全に顔覚えられてる。しかも大量予約者として覚えられている。
 十冊とかねー。一冊、書架の本を出したら一瞬驚いた顔をして、貸し出しカードを二枚出してたから「あと一冊借りられますよー」と冗談交じりに言われたという。
 和やかな人たちだからいいですよ。本館は、人が多いせいなのか、対応する人もちょっと苦手な人が多いです。

 『女神のための円舞』…市民オーケストラ結成の話。
 市のオーパーツ、と呼ばれる謎の予約の、伝聞の仕方(?)が面白いなこれ。散らばった出来事が全部が全部繋がる、というのは、そこまで?と思う反面、清々しくって(?)いいなあ。
 さらりさらりと、深入りしない筆致に安心。うん、楽しかったです。

 『水妖日にご用心』…「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズ。
 うんまあ…いつものように大暴れして終わり、ということで。しかし比喩が露骨になってきてるなこの何年か。

 『図書館革命』…シリーズ四作目の最終巻。
 原発を狙ったテロが起こり、その経緯がある小説そっくりで、見本になるような危険な本をこれ以上書かせるな、ということで作家への弾圧が起こりかける、という(?)冒頭。
 ジェットコースターというか、急流筏下りというか…という展開。笑いどころもあり、恋の駆け引き(?)もあり。素晴らしい娯楽作品です。
 しかしこのシリーズ読んでると、大笑いするのだけどそれとは違うところで背筋が寒くなるのですよね。
 法の成立の仕方とか、為政側が隠したいこととか、過去のこととして語られる無言の圧力による自己検閲とか意見書とか、きっとこれは、ほぼ現状のことで。特に三つ目は、作者やその近辺で実際にあったことかもしれないな、と思うと。
 戦争へと歩んでいったのは支持者がいたからで、気付いたときには、反発しようにもやりにくい状況に立ってしまっていて。
 改めて、冷や水を浴びせられた気分になる。でも、なった気でいるだけだろう自覚はあるのがもっと恐い。
 そう言えば、「正化」という年号が、「平成」と同じ時期に候補に挙がっていたと、今日読んだ小説で始めて知りました。そこまできっちりと、並行世界、ということなのでしょうね。

 アニメの「ペルソナ」を観ました。
 画面暗い…! アニメなんだからもっと加減して色をつけてくれよー、と心中叫びつつ(苦笑)。眼鏡かけてなかったせいで一層見分けがつかなかった。
 えーと、ゲームの「ペルソナ」シリーズの大まかな世界観自体は、ごくごくさわりのところだけだけれど多分知っているから、そこはなんとかなるだろう…でも、ゲームごとに設定違う上にアニメはオリジナル要素入ってくるけど…。
 とにかく、三兄弟が『創竜伝』の次男以外に見えて仕方がなかった(笑)。

 今日そう言えば、外出ついでにヘアピンを買ってきました。アメリカンじゃないやつ(そんな説明でわかるのか)。
 実を言うと、ヘアピンやら髪ゴムやらというのは、ちょっと憧れのあるものだったり。私今まで、ほぼ一貫してそういったものの必要のない髪型だったもので。鬱陶しくなったら切る、というのが定例で。顔を洗うときにヘアバンドを使っていた時期があったくらいか。
 今は、冬の寒さ対策に横髪を伸ばそう、としていたついでに前髪を減らそうかと一部をのばしていたら…下りかかってきて鬱陶しくて仕方がないという。
 やはり切るか、と思いつつ、もう少し伸びたら耳にかけられるし、と、ぐるぐるしているところにピンが転がっていてですね。これが快適。塗装が剥げているから外にはしていけないなーと、今日買ってきた次第です。
 ちなみに、アメリカンの細いピンは、私には使いこなせないという。あまり開かないから、上手く留められないのだよなあ。

 ところで今日、百人一首が出てきました。
 箱が崩壊寸前なのは兎も角(というか前からのこと)、中の札が…カビ? カビなのか? 小さな黒い斑点がー…!
 虫干しっ、虫干しをせねば!

2007 年 1 月 7 日 春の七草を姉は父に叩き込まれたらしい。

 何故だか知らないけど、干支も覚えさせられたらしいよ、姉。私はそんなことなかったよ。気付いたら覚えていたよ。←単に記憶喪失の疑いもあり

 そんなわけで(?)、七草粥を食べました。
 七草と言いつつ、馴染み深い大根と蕪すら入ってませんでしたがね! いや、大根の菜っ葉が主役だったのだけど本来の主役は根じゃないのか?とかね。
 まあ、おじや系統好きなのでいいです。でもお粥は好きじゃありません(そもそもまともに食べたことがない)。薄味すぎて佃煮で誤魔化したけどいいです。
 というかそもそも、家帰って即ご飯って、考えてみたら物凄く恵まれてる状態? 一人暮らしなんてしたことはないけどそう思いますよ。ご飯時にご飯がないなんて事態は多分、覚えている限りでは片手で収まると思う(母がいなくても作り置きか何かしらこれでも作って、なインスタント食品が置かれている)。十何年生きてきて…(凄)。

 『仏果を得ず』…文楽馬鹿の話。
 文楽の楽屋裏、というか…大夫が主人公。どうしてだか、気を抜くと同い年くらいの感覚で読んでいたけどもう少し上だ…何故だろう。
 ミラちゃんかわいいなー。実際のところ私は、子どもは苦手なのですが(嫌いなのでなく苦手なところが成長した)。
 ところで実は、文楽ってよく知らないです。狂言や能は実際に見たことがあるし、歌舞伎もさらっと知識くらいなら。でも、文楽って…? と思いつつ、あまりこだわりなく楽しめました。
 余談ながら、私この作者の本、読みたいなと思うのと特にそう思わないのとがきっぱり分かれてちょっと面白い。

 このところ、連続で「深紅に浮かぶ月」を更新中。
 ルビが厄介で放置してしまっていたのだけど、やりだすと、単純作業は嫌いじゃない。むしろ好きの部類。

2007 年 1 月 8 日 白っ!

 濃霧でした。
 十時くらいまで晴れなくて、窓から見えるはずの山やら電車やらが見えず、どうなってんのこれー、と思った朝でした。
 …そしたら。
 濃霧だったのは近辺一体だったのだけど、家の付近では八時くらいには晴れていたってさ!
 ちょっと待て。
 会社まで自転車で十分の距離なのに、そんなに違うのか? いっそ雪の日とか会社に行きたい。とっぷり積もってる(この辺では珍しい)日とか。

 『いのちのパレード』…幻想短編集。
 正直なところ、恩田陸の短編は面白いと思うものが少ないから期待してなかったですが。おお、これは結構面白いのが多い。←酷い言い様
 表題作は…ありきたり…(爆)。うん、でも、好きな話が多かったです。「夕飯は七時」なんて、思い切り好み。「当籤者」は、推理者ものの雰囲気ですね。きっちり収まっているしはらはらさせられるしいい感じ。(飽くまで私個人の主観で話してます)
 「夜にも奇妙な物語」の原作に使えそうなものがちらほら。「SUGOROKU」とか、ちょっと見てみたい。恩田さん(フルネームだと呼び捨てなのに苗字だけだとさんをつけてしまう不思議)は、映像が浮かびやすい文章ですよねー。映画やドラマ化をしたくなるのがわかる(?)。

 明日は休み〜と浮かれてケーキ屋にまで寄って帰ってきて、自室に荷物を置いてうがい手洗いをして戻ると、携帯電話が鳴ってました。会社からの音で。
 …間がいいというか悪いというか。下手をしたらそのまま一時間くらい放置していたところを、ひょいと音の聞こえる範囲に踏み入ったのは偶然ですよ。
 そうそう私、時々携帯電話を部屋に置きっぱなしにしていて寝るときまで気付かなかったりするのですよ。下手をすると、PCにメールを送った方が早いという。

 ああそうだ、奨学金の返済をしてこないと〜(全部で二十回ほどのうちのまだ数回目)。
 あとは、図書館(近くの分館は休館なので本館まで)に読んだ本を返して、ちょっと古本屋にも行きたい。できればそれらを午前中に済ませて、午後はほろほろとビデオでも見ていたいけど…昼間は反射して見難いから、逆の方がいいのかなあ…?

 ついでに(?)。
 「お正月はネタがあるから多分年明けに」と、言っていた「台風の目」が…年末にああそう言えば、と思い出したものの、書こうとしたら…面白くないにもほどがある、というか…うん、やめとこう!というものしか書けなかったので、今、別のものを書いています。
 まあそのうち…(と言いつつここを読んでいる人であれを読んでいる人はどのくらいいるのかという疑問)。
 それと今日の霧でひょいと、本編のネタが浮かびました。ちまちまと書いていこうと思います。…半年くらいかけて?(訊くな)

 「あしたの、喜多善男」観てます。結構期待。

2007 年 1 月 9 日 歯医者に行かねば

 …というのを、去年から思っているのですが…。親知らずがね。二本、思いっきり横倒しに生えてくれていまして。念力で直せるものならやって見せたいもんだ!(無理)

 今日はうだうだ過ごしたなー。寝て食べてた印象が強い(…)。
 予定通り(?)、午前中に出かけてきました。
 図書館、本を返しただけで帰ってきたのだけど、今になって、そう言えば一冊読みたいと思っていた本(多分書架にある)があったことを思い出しましたー(爆)。
 本屋と古本屋はまあ、ふらふらと。数冊、入手してきました。『月館の殺人』(漫画版)の下巻と『当世白波気質』の一巻と『すいーとるーむ?』の一巻と『ジパング』の最新から二冊。
 置く場所ないのにどうしよう(今更)。

 『選挙トトカルチョ』…短編集。
 えーと…作中の言を借りれば(と言いつつうろ覚え)、人の隠れた得意能力をひそかな題材にした短編集。それぞれに一切のつながりはなし。あー…作者の「佐野洋」名が出てくるけどつながっているわけではないし。
 話の筋自体はまあ、可もなく不可もなく。こういうのが好きな人もいるだろうなあ、という感じ。素直な捻り(何)が利いていて、地に足がついた感じで。
 私としては、作中に出てくる実在の本に括弧で作者名と出版社名が補足してあることにまず目を剥いて、作者の著書が出て作者が第三者的に語られるところでもう…あ、合わないやこれーと、さかさかと読み通しにかかったのですが。
 何だろう。基本、私が読みたい小説は非日常だからなあ(好みの問題)。現代もので日常の謎系統も楽しんで読むけど、それらと、私が苦手とする「日常小説」には何か、隔たりがあるのですよねー。それが何かはよくわからないのだけど。

 ところで。
 ふと、二年くらい前に日記連載していた話の続き(別の話)を思い浮かんだのですが(主に『当世白波気質』の影響)…別の日記連載を書き直している途中だし他にも色々…このまま闇に埋もれて終わるかなどうだろう、というところです。
 そもそもあの話自体、手直し入れないと厳しいのですが。書くの苦手な部分を、丸っと飛ばしてしまった上に調べ不足なところをそのまま放置しているし。
 …それとは全く別に、近未来というかむしろ異世界なところでの警察(?)の話も抱えていたり。えへ。←可愛くないから

2007 年 1 月 10 日 案外身近に

 電気を消して誰もいなくなった工場って、結構恐い。
 …とまあ、入ってちょっと思いました。一人じゃなかったから楽しかったけど。一緒に入った人は、「一回、猫が入り込んで思わず叫んだ」と言っていました(笑)。
 あー…肝試ししたい。←実はまともにやったことがない

 ところで。
 私は、あまり怒ることが得意ではありません。だって、まともに怒ると疲れるのだよね。だから、流してしまう。
 そもそも短気で色々と腹を立てていたし今だって苛つくことは多いのだけども、いつからか、まあ放っておこう、とするようになりました。うーん、いつからだろ。
 まあそんなで。
 それでも、流しきれないものやら数が多すぎてつっかえちゃったりもするわけです。そうすると、「あーささくれ立ってるなー」ということになる。
 うーん、誰か、上手な感情処理の仕方を教えてほしいものです。まあ私の場合、忘れようとするからすぐに忘れたりするのですが。

2007 年 1 月 11 日 謎だ

 昨日、会社の敷地内に止めていた車が消えたのですよー。鍵はついていたらしいのですが。
 携帯電話を止めてもらって、被害届けを出して。
 ところが今朝、近所のスーパー(?)の駐車場に置いてあったらしい…。←配送で出かけていた人が見つけた
 鍵は抜かれていたらしいのだけど、携帯電話も現金もそのまま。ガソリンもあまり減っていなかったという。…何? 何がしたかったんだ持って行った奴??

 『魔法!魔法!魔法!』…短編集。
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズの短編集。多種多様で楽しいです。
 猫好きなんだなーと、にやにやしてしまう。ダイアナさんの子どもの頃の話なんて、何て言うか…お見事。
 でもこれ、一気に読んでしまったけど、一話一話時間を置いて、ぱらぱら読んだほうが楽しかったかもしれないなあ。一話一話の密度が濃いですよー。いいな、楽しい。
 そう言えば、訳者あとがきによるとクレストマンシーシリーズの続きも出ているようで…読みたい! 早く翻訳出版してくれないかな!

2007 年 1 月 12 日 色々始まる

 ドラマがたくさん。
 でも「交渉人」はいまいち…。結局、何も取っ掛かり(?)が感じられず、思いっきり流し見てしまった。
 「未来講師めぐる」も…う、うーん、変な人たちばかりでよくわからない特殊能力で…深田恭子好きなのだけどなあ。でも、時間帯が時間帯なだけに、次からどうしようか。
 「1ポンドの福音」。面白くないわけじゃあないけど…この時間帯、映画と被るしなあ。ちょっと微妙。
 あと気になるのは、「佐々木夫妻の仁義なき戦い」と「4姉妹探偵団」「鹿男あをによし」かなあ。「エジソンの母」は、うっかり忘れていて最後の十五分くらいしか見れてない(汗)。

 今日、会社にて。
 「年末微調整って」…と言って来た人が。「微はいらない微は」と、皆で笑ってしまったよ(苦笑)。
 そして電話で、「ちょっと待ってください」と「少々お待ちください」が混ざって「ちょうちょうおまちください」…って、「蝶々」? 「町長」? のどかな情景が浮かんじゃったよちょっと…(没)。

 『死者のための音楽』…怪談調の短編集。
 どこか違う世界に踏み入ってしまったような、そんな感じの小説たち。こう、じわじわーと厭な感じが残るものも。でも別に、尾は引かないのだよなあ。

 明日午前中に図書館行って、と思っていたけれど、明後日でもいいな。明日は、のほほんと本読んでようかなあ。久々の連休だー。

2007 年 1 月 13 日 がんばったー。

 えー…猫屋関係、ほぼ全て、サイトに掲載しましたー。(今までは載せていないものも多かった)
 冊子にするに当たって追加して、また追加して、などということを繰り返していたおかげで、蓋を開けてみれば、自分で驚くほどの本数書いてますね…どれも似たり寄ったりなのが痛いところだ…。
 とりあえず、これでようやく本当に幕が下ろせます。と言っても、私の中では既に下りていて、下りたところであの登場人物たちは心の片隅に居座っているのですが(苦笑)。
 掲載するかどうか迷ったものは微妙なリンクになってますので、興味があれば、どうぞ探してみてください〜(いや隠しているわけではないのですが)。掌編は、外伝と番外編として表記されているものを除くと、全部で45本あります(そのうち二本がどちらかと言えば外伝)。
 猫さんに描いてもらったイラストでサイトに上げていないものがまだ何枚かあるけど…あれはどうしよう…(要相談?)。

 そしてそれとは別に。
 突発企画始めました。この頃長いものばかりにかかずらっていて、でも昨日久々に(…五月の突発企画の)掌編を書いていたら楽しくて、でも感覚がいまいち戻らなかったもので…。強化対策(?)に。
 今回、お題とハンドルネームだけでも応募(?)できますので、お気軽にどうぞ〜。アドレスも入力してもらえると、書き上げて真っ先にお届けします。
 ご参加のほど、よろしくお願いいたします。

 呆けていたら(?)一日が終わってしまいました。わあ、しまったー!  

2007 年 1 月 14 日 ううーん

 な、何かを書きたいんだけどそれが何かわからないんだ…っ!
 もういっそ、長い話(まだ書きあがってない)の本編後や途中の短編書いてしまおうかと思ったり。設定とかの説明が苦手なんだ。そうすると誰もわからない。…虚しい…(泣)。
 何だろう。文章にするのがもどかしいというか…拙いから嫌気が差す。

 ところで「あらすじで楽しむ世界名作劇場」という番組を見ていました。
 始めはちゃんと見ていたのだけど…何だか愚弄しているような気がして途中で投げてしまった。ある程度茶化した方が理解しやすいし興味を持つというのはわかるけど…突っ込みいれながら読んだりするけど…何だかなあ。
 森鴎外の紹介で、「小説家になる前になりたかったものがあるんです。お医者さんです」という説明を聞いた瞬間に、あーこれ駄目だなーと思った。当時小説はあまり単体の職業というものではなかったし、森鴎外は軍医でしたよ。
 詳しくなくても知ってるようなこと、誤る番組ってどうなのか(作家の立ち位置はともかく鴎外が軍医だったのは有名な事実)。

 『カレンダーボーイ』…意識だけが過去と現在を行き来した話。
 ある日突然、小学生の頃の自分に戻っていることに気づいた。しかも、友人も一緒に。そして彼らは、自分のために、幼馴染の少女のために、過去を変えようと奮闘する。
 行ったきり、というのはよくあるけど、言ったり来たり(寝たら戻って寝たら行く)、というのは面白いなあ。終わりは…寂しい、と言ってしまっていいのかな…。
 関係ないけど私、この作者、『削除ボーイズ0326』の作者かと勘違いしていた。似た発想でもう一冊出したんだーと思ったら違う(爆)。『空を見上げる古い歌を口ずさむ』の人でした。

 『風が強く吹いている』…十人きりで走る箱根駅伝。
 大半が素人で、そもそも走る気なんてなかった人たちが、補欠もなく十人だけで箱根駅伝を走る。いやそれ無茶だよー、とは、作中ですら誰もが突っ込みを入れているという(笑)。
 再読。箱根駅伝見てたら、つい(単純)。
 お手軽な遊びとしてなら運動は嫌いじゃないけど、走るのはどうも苦手なのだけど、そういうのは関係なく、皆があまりに一生懸命で読んでいるとちょっと泣きそうになる。馬鹿ばっかりだ。←褒め言葉
 結果を知っていて、それなのに、どうか…!と思ってしまうのはどうしてだろう。私が単純なだけかもしれないけど(苦笑)。

 ああ…劇がしたいなあ。短い、二十分くらいで。
 出来上がるものとしてはドラマや映画の方が考えるものに近いのだけど、やり直しの利かない舞台に焦がれる。
 まあ、所詮は戯言です。その為に劇団を立ち上げたりホールを借りたりする気概はない。

2007 年 1 月 15 日 ぬ。

 『鴨川ホルモー』…大学生たちの話。
 オニを使役して代々戦っている大学生たち。ちょっと変わったサークル活動、てところですかね? 戦うといっても、試合のような感じで。
 始めの方は正直だらけて…でもまあ、面白いですかね?
 そのときばかりの馬鹿、という感じで。…いやいや、まだまだ続いていますが(話の中として)。
 表紙は、主人公がカメラを構えている、というところなのかなー?

 猫屋を改めて振り返ると、やたらと書いてたんだなあ…という感じがひしひしと。
 そして、冊子にまとめるときに、三人の話数を合わせようと思って書き足したはずなのに…今回、サイトに並べてみたらセイギが一本少ない不思議(爆)。あれ、まだ何かどこかに眠ってんだろうか?

2007 年 1 月 16 日 あはははは

 事務所の女子面子(って課長を除いただけですが)とバイトの男性一人で、何故か(本当、何故だ)、ご飯食べてきました。割り勘と思いきや、奢られてしまった。
 あははー、私、嫌いな食べ物多すぎて困る。親しい友人や家族となら、好き勝手言って選べるし「食べへんけどたのんでー」と言って通るのだけど。気をつかわれてしまう。
 まあそれでも、もそもそ食べていましたが。料理が残っていて勿体無かった…これも、親しい人ばかりなら割り振るのだけど…。
 しかし、盛り上がった(?)のが車の話で、全くわからず眠かったー。また店の照明が、どうしてああ、暗いのか。目が疲れる。

 ところで、青森のナマハゲ。
 女風呂に入ったとか女性の体を触った、といったことで問題になっているそうで。…でもそもそも、お嫁さんのお尻を触って丈夫な子を産むぞーとか、そんな、今で言うならセクハラばりばりな祭りだったのですが…民間の祭りには、ほぼ例外なく性が絡んでくるのですが…だからある意味、原点回帰したという(爆)。
 や、飽くまで「ある意味」だし、今となってはそんなもの認められるはずもないですけどねー。

2007 年 1 月 17 日 寒さに負けた…かもしれない

 うっかり寝過ごして、起きたら図書館が開館している時刻でした。
 が、よくよく考えたら、今日は月に一度の館内整理のためお休みでした。それでも、本屋と郵便局のATMに用事があったので、外出しようかと思ったのだけど…いいやもう、と、炬燵でぬくぬくしていました(爆)。
 外出、午前中に済ませたいのですよねー。午後になると、夕方にずれ込むとわらわらと子ども(高校生まで含む)が増えて鬱陶しくて(爆)。うん、私時々、人嫌いかもしれないと思う。

 『モルホー六景』…『鴨川モルホー』の続編。短編集。
 帯に恋愛の字が躍るように、主な中心な色恋ごと。…えーと、でもそれって、銘打つまでもなく『鴨川モルホー』もじゃなかった?(苦笑)
 書き慣れたのか短編効果か、こっちの方が前作より好きだなあ。でも、前作を先に読んでいなければよくわからないこと請け合い。
 黄龍やら東京での出来事やら、まだまだ続きそうな気配濃厚なのですが、やはり続刊、出るのでしょうか。そして、出版社が前と変わってる…?

 前にちょっとだけ考えて、でも無理だなーと放置していた話を、短編集のような体裁でなら書けるかなと書き始めました。でも、書きたいところだけまず書いてしまおう、という方針のため、誰かに見せられるほどに書き上がるかは謎という(爆)。
 そして、だからこそ好き勝手やっているのだけど(元からだろとは言わない)、そこでちょっと疑問…というか問題が。
 男娼が出てきているけど…それってどうなんだろう?
 これ、もしかして、書き上がってもサイトには載せないほうがいいのかなー、と。まあ、書き上がるかどうか自体が不明なのですけどね。
 関係ないけどそう言えば、友人が漫画の二次創作のしかもそちら系に嵌ってしまって。「お前もか!」と思ったという。うーん、何か身近に多いな。

 「鞍馬天狗」観てます。野村万斉〜。
 そう言えば私、新撰組が悪役(?)のやつってはじめて見るかも知れない。ひと昔(ふた昔、み昔?)前は、そういうものばかりだったらしいですけども。今は、攘夷側からのものとしても、「敵対者」であって「悪役」ではない感じですからねー。
 そもそも、私がはじめてまともに新撰組を知ったのって、『燃えよ剣』だものなあ。あまり悪いイメージの抱きようがない。
 今回、鞍馬天狗はワイヤーロープアクションはせず、カメラワークで跳躍の様を表現していると聞いていたのですけど、なるほど、そちらのほうが妙な感じがなくていいかもしれない。
 あと今日は、『鹿男あをによし』も始まるのですよね。新聞やテレビガイドの番組紹介のあらすじから考えると微妙そうだけど…さて、どんなものか。

2007 年 1 月 18 日 せめて場所を選べ

 あるシリーズの小説で、主人公ともう一人の主人公、といった感じの登場人物がいるのですが、この二人は大学以来の友人で。知り合ったきっかけは、小説家志望だった主人公が講義を受けながら投稿する原稿を書いていたら、気付いたら隣で読まれていていた、というもの。
 そしてそれは(作者の実体験でなければ)勿論創作なのですが。
 …考えてみれば私大学時代、それ、実地でやって(やられて)た…!
 えーと一年のときに、講義受けながら話書いてまして(これは別に投稿用ではなくてというか言ってしまうと猫屋の最終幕で講義中って適度に集中してなおかつ集中が途切れていて書きやすかった)。全体講義(学部学科、学年関係のない自由選択)の時間で、たまたま、友人の友人で面識だけはあった人も取っていて、それなら一緒に座ろうかと、隣に座っていたのでした。
 そんなとこで書くなよって話で。そら気にもなるわ、という話で。…うん、隣で読んでました(読ませて、と断ったのか気付いたら読んでいたのかは忘れた)。
 そして彼女は、卒業後は自衛隊に入って…今はどうしているのやらー。卒業以来会ってないけど、元気かなあ。
 
 ……なぞということを、朝、会社で味噌汁作ってたときに思い出して身悶えた…!(爆)
 あーっ、懐かしいけど恥ずかしいな! でも、義理でも「続きは?」と言われると嬉しいですね!(微妙に自棄)

 『先生と僕』…中学生の探偵と大学生の家庭教師の話。短編集。
 推理小説を、恐い、と避けていた心配性の大学生が、ミステリ大好きの中学生の家庭教師になって、恐くない推理小説を教えてもらったり現実の謎を解き明かしたり。
 これ、素直に好きだ(苦笑)。や、この人の小説っていろいろ引っかかるものがあって微妙に苦手だったのだけど(それでも読むのはやはり好きな方に傾いていたから)、そしてこれにも少しはあるけど、でも好きだなー。
 情を抜きに現実を見通す人と、それを情を以って世に引き留める人と、の組み合わせ。それはある意味探偵ものの定番(探偵と助手、の立ち位置そのまま)なのだけど、前者が後者に影響を受けていく様が好きです。

 さっきまで、友人と電話で話してました。大学からの友達。
 主に、小説や漫画やドラマや映画の話。あー…楽しい。そして懐かしい。これが毎日でもできたなんて、大学時代って、なんて恵まれてたんだろう。
 でも、「昔は楽しかったね、じゃなくて、今も楽しい」(by『ARIA』)がいいな、とも思います。
 あの頃と同じようなことを話していても、あのときから今に至るまでの時間を経ての会話なのですよね。
 …とまあ、自分でもよくわからなくなってきたあたりで寝ます(爆)。

2007 年 1 月 19 日  私に観察力なんて代物を求めてはならない。

 この間買った五つセットのヘアピン、茶と藍と赤が一本ずつ、黒が二本という、その名も「5cmスリーピンカラー」という商品名だと、昨日気付きました。
 黒が四本の赤一本だと思ってた…よくよく見たら、使ってた一本は茶だったよ…。
 そりゃあ、週の半分以上を会社で顔合わせてるのに私服になっただけで「誰?」と悩んだり、(当時)部活でほぼ毎放課後顔を会わせてたのに学外で私服で会ったら(彼女の)兄と間違えたりするよ。(いや普通しない) 建前うっかり信じたりするよ。
 ちょっと待て、小説書くなら少なくとも人物観察必須で洞察力ないと駄目だろ、と当たり前なことに気付いて地味にへこんだりしていました。うむ。
 …というか私の場合、日常生活に支障を来たすくらいに注意力散漫なのですがね…(没)。

 『苦情こそわが人生』…出張市役所の窓口職員の日常。
 おそらく、自身の経験盛りだくさん、それと判らないようにしただけで大筋そのままかな?という感じの…いろんな人が来るねえ、といった感じで。
 でもこれ…自伝にしては小説仕立てで、小説にしては面白くない…のだけど…?

 昨日、コブクロのベストかアクアタイムス(だっけ?←酷い)のアルバムがほしいなーと思いつつ、衝動買いしたのは何故か、「ヴァイオリン・クラシック101」。
 えっと…六枚組みなのですが、これ全部聴くのですかね、私…?(汗)
 少し前に、バイオリンの音好きだなーと自覚して、ふらふらっと買ってしまったのですが。でも、私が好きなのは邦楽の中にバイオリンが入っているというやつで…バイオリン単品ってまともに聴いたことない…どうだろう。
 
 余談予断(?)。自分の話。
 私実は、鬱になっていた時期がありまして。…といっても、正確にそう呼んでいいのか迷うのですが、外的要因によるもので。心因性ではなかったから、原因を取り除いたら綺麗さっぱりどこかへ行きえていったのだけど、残った(というか変わった)ものもありまして。
 考え方と言えばいいのか、ものの見方と言えばいいのか。
 えーと、それまでは、天然に「お子様」だったのですよ。無邪気に明るく、空気読むも読まないもなく、人が傷つくこともばっさり邪気なく言ってしまうような。そして完全自己中心の。「様」がつくだけあります、という「お子様」。
 とは言っても、根本では変わってないと思いますけども。その前から小説めいたものは書いていたし、見知らぬ人がいると逃げていたし。今も、空気読めないし(それはどうなのか)。
 はー、何か面白いなあと、我が身を振り返って思うことがあります。(だから何、とか訊かない)

 この頃、休日の起床時間がどんどん昼に近付いています。
 そこで、母に「もし九時まで寝とったら声かけてー」と言ったら、「早く起きたいなら早く寝な」と言われました。うむ、正論だ(?)。

2007 年 1 月 20 日 更新したいなあ<面倒だなあ

 在庫は、既にあるんです。ただ、それをサイト掲載できる体裁にするのが面倒なだけで…(爆)。
 実は、メールでももらったらメールで今すぐ送れるよ、重いけどな、くらいには在庫あるのですけどね…。
 とりあえず、「深紅に浮かぶ月」の続きと、「敷衍遊戯」の第二部の一話と外伝の一話が準備万端(?)で待ち構えているのですがねー。あ、「深紅」なんて、主要登場人物まだ揃ってもないじゃないか。

 『秋の牢獄』…短編三本。
 表題作は、同じ一日を何回も何回も繰り返してしまう、という話。仲間がいるとわかったけど、でもその仲間たちも姿を消していってしまう。
 「神家没落」は、各地を周遊する不思議な家に囚われてしまって、という話(あれ何か違う)。
 「幻は夜に成長する」は、不思議な力を持った女性が現在までを振り返っている話(やっぱり何か違う)。
 えーと…大筋は間違ってないと思うのだけどなあ。この人は、題材自体の不可思議感もあるけど、文体が特徴的なのですよね。読みやすいし理解もしやすいのだけど、例えばこうやって私がただ並べているだけのようなこの「文章」とは全くの別物、という感じがする。独特です。大好きです。
 どれもちょっと怖いというか痛い話ではあるのだけど…新雪を食べた、みたいな感覚…?

 『ニワトリはいつもハダシ』
 これ実は、完読していないのですけどね。何故だか読みにくくって、多分文体が合わなくって、読み進めなくて投げてしまった。
 うーん、ノリは好きそうなのにな…? でもちょっとハイテンション過ぎてついていけなかった、の、かな…??

 今、確実に趣味にはしって書いている話(しかし今までそうでなかった話があっただろうか←反語)。
 書きながら、こんな高一男子いねぇよ…! と激しく思いつつ、まあいいかーと流しています。あはは。そして、関西弁(方言)って変換しにくい…。登場人物ほぼ関西弁なのですよ。気を抜くと標準語になっていて慌てて訂正する(苦笑)。

2007 年 1 月 21 日 じっと手を見る

 今月で辞職する人の送別会(兼新年会)に行ってきました。
 他の会社に移るそうで。前から、辞めると言っていたものなあ。
 …で、話したり話を聞いたりして思ったこと。やっぱりあの会社って待遇良くないんだなあ…。←他に比較対象がないからよくわかっていない(爆)
 まあ、ぐだぐだなのはわかっていますが。でも、仕事探すの面倒だし何ができるかをアピールするのって本当に、下手で苦手なんだ。困った。…でもなあ、下手したら(?)先々、今とは逆に親が扶養対象になるかもしれないわけだしなあ…それを考えると、今の仕事先はこわい。
 どうしたものか。

 多分そこからの逃避が混じっているだろうとは思うのだけど、今、書きたいし語りたい。
 書くのはともかく(そして出来上がったものに対する自己嫌悪との表裏一体なのである意味諸刃の剣)、語りたい。話したい。創作についてでなくてもいいから、毎日のこととかこれからのこととか。
 そこはやはりどうしても、メールでは駄目なのですよね。勢いと言うか、あの、熱にうかされたような感覚がないと。
 …でもちょっと無理だなぁ…。

 今期のドラマは、どうやら「鹿男あをによし」「あしたの喜多善男」「佐々木夫妻の仁義無き戦い」「相棒」を熱心に見て、他に観るものがなければ「四姉妹探偵団」を見るような気がします。
 「微妙だけどまあ観とくか」と思うドラマが、今回は少ないような。「必ず観よう」か「…もういいや」のどちらかのような。
 あ、NHKの「フルスイング」も観ます。←宣言する必要はない

2007 年 1 月 22 日 眠いのかどうかわからない

 この数日、睡眠時間が大体六時間だったのだけど、とりあえず日中はさしてあくびも出ないのだけど、眠いのか眠くないのかわからないという状況に陥っています。
 まあ、問題ないと言えばないのだけど。大丈夫なのこれ?

 『図書館が教えてくれた発想法』…図書館での調べものの仕方。小説仕立て。
 実際に図書館で働いていた人が、実際に行っていた資料検索を元に、読みやすくわかりやすく書いた本。ああ、そうやって活用すればいいのかーとわかります。
 …それらのうちの三分の二ほどを、誰に習うまでもなく実践していたというのは、自慢していいのかな(苦笑)。図書資格取得のための講義で学んだのもあったなあ。いやでも、図書館で本探してれば大体気付くことで。図書館で働く人も普通の人なのだから、まあ不思議でもないですね。
 何も知らずにいたけど、以前に読んだ『図書館のプロが教える<調べるコツ>』の著者でもあったのですね。そこで出てきていた架空の図書館(と職員たち)が、またしても登場。
 物語としては、最後は蛇足だと思う…冒頭で匂わせておいて、最後は236頁で止めておけば良かったのに。

 明日は休み〜。今日は早く寝ます(希望)。
 

2007 年 1 月 23 日  有耶無耶に引きこもり

 最寄館が休館日なので、本館まで出かけようと思っていたのだけど…気付いたら十時半でした。朝ご飯食べてたら十一時過ぎ。
 それから出かけると昼食が微妙なことになりそうで、でも昼食を挟んでしまうと出かけるのが面倒で、結局一日家にいましたよ。ああ、ぐだぐだ。

 『さらば、哀しみのドラッグ』…そのまま、ドラッグについて。
 「夜回り先生」で有名な水谷修先生。←何故か「先生」とつけてしまう(苗字だけなら「さん」と呼ぶのに不思議)
 以前出した分の増補版ということらしいです。講演会などをテレビで見ることがあるけど、そのときよりはやや押さえた、でも、一人一人に直接訴えかけるような文体でした。私はかなり距離を置いた上で「読み物」として読んでいるけど…訴えることは真っ直ぐに、重複してもいいから矛盾なく、わかりやすく。特に、わかるように、というのが重点で。理解して納得してもらえなければ、どうにもなりませんからね。
 こんな、ある程度筆者の手を離れてしまう本なんて代物でも、語りと同じことを訴えているって凄いな。それだけ、やっていることや考えにぶれがないのでしょう。
 この人の話や本は、それが作り物じゃないことに泣きそうになります。でも一方で、それを元にあの話のあの部分はこうして…と考えていることに気付くから、溜息もついてしまうのだけど。

 『妖怪』…京極堂の世界を他者が描いたアンソロジー集。
 まあ…正直、「そんなもの出すなよ講談社…」と思っていたので(苦笑)、予想していたよりは面白かったです。というか、一切期待していなかったからかもしれない(爆)。
 映画監督をされた方の書いた、没になった脚本の一部や裏話を交えた話しが、興味深かったです。監督が失踪した(筆者は監督の代理人と自称)、という部分が遊びで、全て真実ではないよーという暗示ですかね? まあ、丸ごと嘘でもありですし。
 あと楽しかったのが、落語調の「粗忽ものの死神」。これまさか、実際高座に上げたものではないと思うけど。それと、小畑健の榎さん(というか「雲外鏡」とかの表紙絵というか)は、この人の絵が好きだからちょっと嬉しかったり。
 …でもこれ私、買ってまで要らないな…(ぼそり)。

 雑誌のサンデーの企画で、何号か連続で数名の読みきりを掲載する、という企画があるようです(もう始まってる)。
 これ、ある好きな漫画家が参加されるそうなので知ったのだけど…今週、渡瀬悠宇のが載るのか!(←『ふしぎ遊戯』が好きだった) 少年漫画ってどんなの描くのかなー。気になるので、立ち読みして来ようと思います(買わないのか)。
 そもそも知るきっかけになった人が載る号は買おうかと思っていますが。だって、その人今のところ小学館で仕事してないからコミックに収録されるかどうかがわからない。

 先日衝動買いした「ヴァイオリンクラシック101」を聞いています。うん、好きだけど…果たして曲自体が好きなのかバイオリン主体だからいいのかがわからない(爆)。
 そんな私のクラシック経験(?)は、現在進行形で「夕方クインテット」に尽きます(苦笑)。

2007 年 1 月 24 日  風花

 雪、降りました。
 といっても、雪国の人が聞いたら「それは降ったとは言わない」と断言されること間違いなし。ほんのりとすら積もりませんでした(寂)。
 寒いのですけどねー。でも、雪が降ってればそれ以上に嬉しくなる。←滅多に雪の降らない地域

 『契火の末裔』…異世界ファンタジー。
 えーと、三国(領土?)に囲まれてる、三国から指導者(何か違う言葉だった気がする)とその相談役みたいなのと宗教指導者のような三人が治める国があって。その三国のうちのひとつに、理化学という単純に言ってこちらの科学のようなものを扱う都市もあって。その、三人の指導者を巻き込んで(?)の権力騒動(??)と冒険譚…少年の成長物語?
 …きっとさっぱりわからないだろうけど、大体こんな話(え)。
 うーん、三人の指導者の名前(役職名とでも言えばいいのか)と個人の名前とが混同する…名前がやたらと出て覚えられないし…。私が胸を張ってこいつの名はこれだ、と言えるのなんて、ミヤギくらいのものですよ(爆)。まあ私、あまり名前覚えている方ではないのですけど。描写と会話と状況でこいつが主人公だな、とか、なんか情けない奴だよな、とかいう酷い覚え方をしているもので(爆)。でも、例えばシリーズ物で続けて読んでいると覚えますよさすがに。というかこの間、友人と『るろうに剣心』の話をしていて登場人物の名前がさらりと出てきた自分に吃驚しましたよ(苦笑)。要は、その登場人物に厚みを感じたかどうか、でもあるのですよねー(漫画だと比較的覚えているのは視覚効果が高いから)。
 最後の方の畳みかけは結構好き。でも全体的には…うーん、ちょっとなあ。

 『<本の姫>は謳う』一巻…全四巻予定の異世界ファンタジー。
 しまったこれ面白い。全巻で揃うまで手を出すべきじゃなかったかもしれない。
 前作(一巻完結)が面白かっただけに、なるべく期待しないようにしていたのですが(ひねくれ者)。そんな心配、全くいらなかったや。基本的な設定としては、割とありがちだと思うのだけど…ううう、駄目だ、大好きです。早く次の巻出て…!
 あ、ただ、異世界ファンタジー(それも海外物のほうが近い)が好きで、込み入った世界設定が気にならないか好きでないと、微妙かもしれない。キャラものとしても読めるだろうけど。でもとりあえず、ファンタジー好きというのは必須条件。
 …凄く余談だけど、主人公に『D-Grayman』のアレンを連想してしまって仕方がない(苦笑)。
 「非暴力主義っていうのはね、つかまったり閉じ込められたり、それはそれで大変なんですよ」という台詞と状況が好きです(笑)。

 えーと、ちょっと愚痴。
 新しく営業で入って来た人が正直うざったいのですがどうしよう。しかも順調に行けば、私が担当しているところの担当になるんだ。
 とりあえず、何かを訴えている状況としても、相手が話を聞いて返そうとしているところに更に主張を覆い被せる奴は好きじゃないんだ。話を聞いて聞いた上で返すということができない、会話のできない奴は嫌いなんだ。言い募った方が勝ちじゃない。

 あぁあ、『敵影』、届いてしまった(怯)。
 詳しくは知らないけど戦争の話でして。私、そういうの本当苦手なのですよ…でも、ほぼ日参している読書サイトで感想が書かれていて、うっかり興味持ってしまって…よ、読むのが恐いのですが…。いっそ、読めない文体なら途中放棄できるのですがどうでしょうね!(半自棄)

2007 年 1 月 25 日  その感情の名前を吃度私は知らない

 雪がちらちらちらちらと、降っては止んで、止んでは降って、を繰り返していました。でもちっとも積もらない。そして風が途轍もなく冷たい(笑)。
(ところで上で「振っては病んで、病んでは振って」って変換されたけど…そんな病的な変換は厭だ・苦笑)
 今朝なんて、寒さで眼が覚めた(もっと布団か服を着込め)。

 『チョコレート・コスモス』…演劇をする人たちの話。
 演劇の小説、ということである人にお勧めしたらうっかり読みたくなってしまいました。再読。
 それでようやく気付いたけど、これ、小説としては面白くないかもしれないですね? 多分、部分部分に面白い部分はあって、登場人物も(キャラものほどではないにしても)ちゃんと立っている。でも、中心は飽くまで「演劇をする人」と「演劇」で、個人という感じでもなく、(この作者特有のものではあるけど)とても抽象的なところが多くて、そして結末は中途半端。終わりきってませんし、そういった「途中で終わる」式のものとしても中途半端。
 だけど私はこれ、好きです。続きがあれば勿論嬉しいけど。

 演劇を題材にした話で楽しいのが、劇中劇ですね。
 劇中劇というのはあれです、その物語の中で演じられる劇。物語の設定によって、舞台だったりドラマだったり映画だったり学生演劇だったり舞台だったり、オーディションの寸劇だったり。
 それ自体もちゃんと話として独立している必要があるし(一部分だけであってもいけるだろうけど、案外、きっちりと考えてしまっている場合の方が多いと思う。裏設定というか)。それが魅力的でないと、話にならない、ということさえあるし。
 役に関しても、当事者や役者の解釈、演出や監督の解釈、見る側の解釈、と、多彩な発想が必要で。
 オーディションなんてしてしまうと、数人の候補者がそれぞれに演じたものが必要になるわけで(大体取り上げられるのは、ただ台詞を読む、というだけのものではないから)。
 楽しい。

 演劇ものと言えば大御所は『ガラスの仮面』ですね。今だ未完…(苦笑)。
 私の好きなものでは、小説なら『チョコレート・コスモス』、漫画なら『エデンへおいで』、次点で『ライジング!』、ドラマだと『下北サンデーズ』…? そんなにたくさん知っているわけではないから、選択肢がそもそも少ないですけども。
 『P.A.』も好きだけど、演劇という焦点だと後ろに下がってしまいます。うーん、何故だ?
 ドラマでは、共に漫画原作の「ガラスの仮面」と「P.A.」もあるけど…前者はまだしも、後者は痛々しかったという印象が。ドラマで演劇ものを扱うのって、結構危険だと思うのですよねー。特に、先に挙げた二作のように「天才役者」を前面に持ってきたものだと。よほど演じる全ての人が上手でない限り、嘘っぽさだけが際立ってしまう。ドラマや映画だと見る側に距離があるから尚更。その点、『下北サンデーズ』は、役者さんも良かったと思うけど、設定自体が良かったと思う。←偉そう
 ところで白状すると…私、小説で演劇ものってこれしか知らない気がする。芸能人の話とか、役者をしている人が出るけど演劇を中心に据えていないものならあるかもしれないけど…演劇、を真っ向から題材に取り上げたものって、他に何があるのかな。

 演じる側からは早々に逃げた(退いたわけでも合わないと思ったわけでもなく)のですが、未だ、焦がれるものがあるなー(苦笑)。
 余談ながら、逃げた原因はあれですよ。自意識の強さとでも言えばいいのか。
 えーと。
 仮装は楽しいと思います。めちゃめちゃこてこてに作り込んで、見せびらかしてみたいとちょっと思う。
 それがまず「私」と判らないもので、とても親しい友人くらいならともかく知人程度だったらちょっとやそっとじゃ判らないよ、というものだったら、大喜びで扮装して、はしゃぎまわります。でもそれが、知人にも「私」と判るものであれば扮装しないか、したところで普段の「私」の振る舞いをして、しかも恥ずかしがるような素振りを見せて、失敗するだろうと思います。
 二つ目の舞台でそれに気付いて、投げ出したのだよなあ、私。本当に、「逃げる」以外に表せない。よく私は、あの後何食わぬ顔をしてあの舞台を作った人たちと一緒にいられると思う。今だ。

 一度、高校演劇を中心に据えた話を書きたいものです。というか、書く。(苦笑)

 あ。この間無性に書きたくなって掛け値なしに趣味にはしって書いた話の、二章目(?)が書き上がりました。(一章じゃないのは書きたいところから書いたから)
 いつもなら、大分時間を置いて読み返してようやく、うっわ説明足りてねー、と気付くのですが、今回は書いた直後の読み返しで既に気付きましたよ!(爆) いや、二章目だというのを踏まえてわざと省いている部分もあるのですが。
 これ…やっぱり、サイトに載せようかなー。陽の目を見ないのも寂しい。いくら完全趣味とはいえ(ってそれを言ったらそもそもここ自体が趣味の産物)。
 うーん、メールで申請した人だけにアドレスを送るか、隠し頁にでもしようかと思います。簡単なのは前者だし、読む気のある人だけが目にする確率が高いし、どのくらい読んでくれているのか把握できるけど…把握してしまうと、誰も読んでくれてない、と愕然としてしまうかもしれないしなあ(苦笑)。
 まあ、しばらく放置しておきます(と言っているうちに豪い時間が経っているのはいつものこと)。現時点で興味のある方はメールで連絡ください、とりあえずあらすじ説明を送りつけます(笑)。

2007 年 1 月 26 日 あ り え な い

 今日、父がPCでの変換時の区切りの変更、という手段があることを知らなかったことを知りました。…待って、アナタ私よりもPC(あるいはワープロ?)使ってる年数長いはずでしょう?!
 あ、ありえない…驚いて力いっぱい否定して実演までしてしまったよ…。
 今まで、単語変換しかやっていなかったそうです。そして、変換できなかったら速やかに違う読みや熟語を試していたそうです。…待て。
(会社のPC「虹」が変換できんかったけどできる?という会話から始まりました。「に」と「じ」で変換される、と聞いて気付いた)
 信じられない…!

 『隣のクレーマー』…クレーマーとその対応の実例。
 新聞でも取り上げられて、結構有名な本書。本当は、同じ著者の『苦情学』が読みたかったけど市立図書館にはありませんでした。
 実例は、はぁ、凄いなあ、としか…私がそれをやれるとは思えない。間違いを謝れず休み中の上司に回したりもした軟弱者です(爆)。事例よりも、いっそ、詳細な会話を全て掲載してほしい…!(苦笑)
 仕事の参考にできるかな、というのがそもそも読むきっかけだったのですが、そこまで専門の部署があるわけでもなく、単に電話に出ただけで何の権限もなく…余計に困る(没)。
 まあ、読み物としてはまあまあ楽しめます。お正月にやっていたドラマは、十数分見てみる気があまりないことに気付いて消してしまったけど…。
 そして一度だけ、百貨店で商品券と現金を併せて買い物をしたら商品券がなかったことにされていたことがあったのですが…あれ、証拠ないし無理かなーと思ったけど、言ってみるだけ言いに行っても良かったのかなとか…(本来そんなことを思わせる為に書かれたものではないのだけど)。

 『たとえば、世界が無数にあるとして』…高校時代、ある部活を共にした四人の現在。
 合計四本で、それは、同じ部活だった人の人数。つまり、その一人一人の「現在」を書き綴っているわけです。…これ、何一つ終わっていないのですよねー。決着なんて、はじめからつけるつもりもつくはずもない話。
 ああうっわ、痛って、と思ったのは、登場人物たちがほぼ同じ年齢だったからですかねー…。うあー。
 日常物は、たまに読むと面白いです。続けて読むとうんざりする。←全て個人感想

 また、「書こうと思わない」時期に突入しました。う、うーん、周期が判らないよ私…?
 先日まで、本を読む時間を削ってさえ書いてたのに。でも、とりあえず書き終えた話(来条の場合書きにくいところをすっぱり空けて完結体裁をしていたりするから上達しない)の書き直しをしようかなー、という気は起こるのですが(でも大体本を読むのに費やしてしまう)。
 ちなみに、とうとう図書館で借りた読む本が『敵影』だけになってしまったのだけど、手をつけられず友人に借りたライトノベルに逃げました…(爆)。

2007 年 1 月 27 日 うそん

 火傷しました。
 え。あ、え? ちょっ…。
 よくよく考えたら、これが初のまとも(?)な火傷かもしれない。別に、一生経験しなくて良かったのだけどなあ。
 あれです。湯たんぽで(爆)。熱湯を入れてしまったせいかな…でもちょっと納得いかないのだけど…むう。

 図書館に行って、友人と行く広島旅行の参考資料(つまりは旅行雑誌)を借りてきました。
 買ってもいいのだけど、これで見当だけつけようかと…とか言ってると、買わないような気がしてくるのですけどね(苦笑)。
 とりあえず出雲神社。そしてお社めぐりをしたいー! しかし、宿と切符の手配をしないとなのだけども…。

 『身代わり伯爵の冒険』『身代わり伯爵の結婚』『身代わり伯爵の挑戦』…少女小説?
 えーと、死んだと聞いていたお父さんが実は王族で双子の兄は王宮に勤めていて。そして、その身代わりをつとめることになったパン屋の一人娘。
 うわー、何かこれ懐かしいな! と思いながら読んでました(苦笑)。うん、少女小説のきらきらした感じ。
 …そして、それに触発されて入れ替わりものが書きたくなったという(単純)。

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「身代わり受験?」
 何か聞き間違えただろうか、それとも漢字変換や文節の区切りが間違っているだろうか。未月は、きょとんとして母の顔を見た。ちなみに、父は今日も元気に単身赴任中だ。
 だが期待に反し、母はにっこりと微笑んだ。
「そう。だってもう、そうするしかないでしょう? あの子、あの調子で試験が受けられると思う?」
「いやそれは――あたしも無理だと思う」
「でしょう? だからここは、あんたが受けて、見事合格して見せなさい」
「いや、それおかしいって、まずいって! お母さん、正気? 下手したら法律にも引っかかるんじゃないのそれ、身分詐称とか」
 ぽかんとして、何だか瞬きの回数が多くなる。
 それに対して母は、にこにこと、曇りのない笑顔だ。いつも思うが、この人は何故こうも笑顔になると若返るのか。とてもじゃないが、高校受験を控えた二人の子どもを持つ主婦とは思えない。結婚自体は早かったのになかなか子どもができず、そろそろ五十に届こうかという年齢のはずなのに。 
 母はきらきらとした、少女の笑みを撒き散らす。
「昨日、弘司さんと電話で話してて、とりあえずやるだけやってみちゃおっかー、ってことになってね」
「そ、そんなこと話してたの、昨日」
 両親の長電話(電話会社のあるサービスを利用しているため通話料はかかっていない)は日常のひとコマで、せっせと香月の看病をしていた未月は、内容にはとんと注意を払っていなかった。
 思わず炬燵机を叩きつけ、未月は身を乗り出した。
「無理に決まってるでしょ?!」
「えー、どうして? あんたたち双子でもないのに、取り違えられそうなくらいにそっくりじゃない」
 それが親の言葉か、と言いたくなるが、そう言いながら両親が未月と香月を取り違えたことはないのだから、悪気も含みもないのだろう。実際、この頃ようやく減ってきたが、少し前までは初対面なら確実に見分けをつけてもらえなかった。
 香月は予定よりも一月近く早く生まれてしまったために、未月と同じ学年に滑り込んでしまった。おまけに未熟児だったからか幼年時は虚弱体質で、家族の愛情と注目を一身に浴びて育ってきた。今ではうまくすればスポーツ推薦も狙えたかもしれないというほどになっていたが、身内の対応は今も変わらず甘々だ。
「お母さん、お忘れかもしれませんけど、あたしも受験生なんですけど?」
「やっだー、まだ十一月じゃない。大体、あんたの成績で今西落ちるなんてまずないんでしょ?」
「…そーいう問題じゃなくってね…?」
 実際、推薦入試がいくつかはあるが、本入試はまだ先だ。しかも未月は、成績はそう悪くないところに、行きたい高校がぎりぎり進学校かもしれない、という微妙なラインのため、受ける模擬試験全てでA判定を勝ち取っている。
 しかしそれとこれとは別問題で、そこのところをどう説明したものかと、未月は頭を悩ませた。
 まず、正攻法。
「あのね、ばれたりしたら、下手したらあたしも香月もこの辺りの高校、ううん、私立は全国規模かもしれない、入学拒否されかねないのよ?」
「ばれなきゃいいじゃない」
「ばれるわよ! 一日だって難しいのに三泊四日の非常識な試験で、どうやったってあたしが女だってばれるわよ!」
「えー?」
 香月は未月のれっきとした弟で、いくらか成長が遅い気もしないではないが、いい加減諸々の差がつき始めている。
 不満そうな母を、未月は半眼で睨みつけた。
「さっき言ったよね、まだ十一月って。本入試までまだ時間はあります。それまでみっちり勉強すれば…」
「あの子が入れる高校、あると思う?」
「…ある、んじゃあない…かなあ…。ほ、ほら、少子化、問題になってるし!」
「でもあの子、この間も試験、零点で持って帰って来てたわよ。先生が補修で何とかします、って請合ってくれたけど」
 未月は、母と顔をあわせ、深々と溜息をついた。
 香月は頭が悪いわけじゃない、覚える気がないだけだ、とは共通の主張で、もしかすると身内の欲目かも知れないが、確かめる勇気はない。
 しかしだからこそスポーツ推薦しかないかと思っていたのだが、先日、サッカー部を辞めて帰って来てしまった。曰く、「どうも向いてなかったみたいなんだよね」。…もっと早く気付け。
「もういっそ、進学諦めたら? 働くとか、専門学校行くとか。好きなことについてだったら吸収早いんだから、しばらくバイトして探すとか」
「うーん、でもねえ、行きたがってたのよ。あの子」
「え」
 絶句。
 試験前にノートや教科書を広げて躍起に勉強する未月と違い、香月はいつも、のんびりと腹筋や背筋を鍛えていた。勉強しないのかと訊くと、その気になったらね、という回答。
 だから未月はてっきり、進学そのものに興味はないと思っていた。友人くらい、人懐っこい香月であればどこでだって作れるはずで、彼に学校という枠組みは必要がないと思っていた。
「あたし…聞いてない…」
「ほら、あんたは忙しかったから…わざと黙ってたわけじゃないと思うわよ?」
「…うん」
 急激に元気をなくした未月に、母が慰めの声をかけてくれる。うつむいていた未月は、だから、声をかけられるまで気づかなかった。
「いいよ、無茶しなくて」
「香月!」
「かっちゃん、寝てなさい!」
 まだほとんど声変わりをしていない、未月とよく似た声で、カーディガンの上にどてらまで羽織った少年は、ふらりと居間に姿を見せた。
 熱のせいで上気した頬が、下手をすれば未月よりも女の子っぽい。
 慌てて駆け寄った母に苦笑して、香月は炬燵にもぐりこんだ。そして上目遣いに、未月を見つめる。
「俺の学力で行けそうなとこないし。夜間とか通信制とか、探してみる」
「…よく知ってたね、夜間とか通信制とか」
「進路指導室の常連だよ、俺」
 思わず口走った未月にいよいよ苦笑いを浮かべて、次いで咳き込む。未月が背中をさすっていると、母が飴湯を持って来た。生姜の匂いが、ふわりと漂う。
 そのときには、未月は覚悟を決めていた。
「香月」
「うん?」
「落ちても恨まないでね」
「うん…て、え?」
「お母さん、さらし買って来て。えっと、あんたの志望理由って何?」
「えーっと…未月?」
 戸惑うように、しかし高熱で潤んだ眼を向ける香月ににっこりと笑いかけ、未月は立ち上がった。
「やれるだけやってみるわ。うん、このくらいの演技ができないと、役者なんて無理よね」
「それは…何か違うと思うよ、未月」
 香月の呟きをきっぱり無視して、未月はこぶしを握り締めた。
 ――そう、昔から全員一致でこの末っ子には甘いのだ。勿論、一年も年の離れていない未月も、例外ではない。

2007 年 1 月 28 日 寝耳に水?

 今日急に、母に部屋を交換してくれと言われました。
 えっ、ちょっ、面積は今母が使っているところの方が広いけど、ピアノとエレクトーンを置いていかれたら、確実に本を置く場所が足りないのですが! 壁をくれ壁を!
 …というわけで、今やごみためと化している姉の部屋から荷物を出して、そっちに移ろうかと。多分あそこだったら、今より置ける気がするのだけど…四方に本棚置いて、ベッド部屋の真ん中に置こうかな(苦笑)。よし、本棚買おう。
 それにしても、今使っている学習机を置いて行けと言うのはかなり酷いのですがね。私があれをどれだけ本を詰め込むのに活用しているか(引き出しの中にも本来足を入れる場所にも詰めている上に備え付けの本棚は全て二段構えで本を詰めている)。
 まあその前に、荷物をどうにかしてもらわないとなのですがね。それにしても、畳の部屋って本置くのに向かないよね…。

『刀語』十巻…異世界江戸もの。
 まあ…うん、面白かったですはい以上。←ほとんど惰性というか顛末見届けなきゃという妙な義務感で読んでいるもので…面白くないわけでは全くないのだけど。

 雪が。明日の朝起きたら積もってるかな…。

2007 年 1 月 29 日 雪は雨へと変わった模様

 …意外に、雪って雨に打たれても溶けないものなんですね…。
 それにしても寒かった、今日、寒かった。会社で一番あったかいはずの事務所でも寒かったですよー。うう。

 『星新一 空想工房へようこそ』…ファンブック、のような?
 幼年期の写真やら構想メモ、清書前の原稿(これが字がびっしりすぎて読めない)、縁の人物の談話や文章、挿絵の数々、などなど。わー、何か楽しい。
 実のところ私は、あまり読んでいないのですけどね、星新一。古本市で文庫をごそっと買ってきて、何冊か読んだけど全部は読んでいないはずだし…でも、父から聞いた話も数本あるし、アンソロジーなんかで読んだものも。
 何と言うか、凄い人、ですよね。作者自身がこだわりを見せていたようだけれど、時代を経ても古びない普遍の文章。そぎ落とされて、でも広くて深い物語。
 星新一のショート・ショートを読むのがはやった、という世代があるようだけれど、今でも十分起こり得ますよね、それ。多分、ケータイ文学の中に入れても違和感なく収まるだろうし。

 今日、ふっと思い出して「夢日記」を手に取りました。
 別に、仰々しく(?)名前をつけているわけではなくて、単純に、夢って面白いよなあでもすぐ忘れてしまうなあ、そうだ書き残しとこう、という考えの元につけられたメモです(苦笑)。
 不思議と、読んでも思い出せないものが多いのですよねー。何度か読み返したやつは、こういうの読んだな、というのは覚えているのだけど、夢自体はとんと思い出せない。
 これ、最近は全くつけていないのですが、その理由が夢を見ていない(一説には必ず夢はみていて起きた時にそれを思い出せるかどうかの違いだけらしいのでそれに基づくなら「覚えていない」)から、そしてもうひとつは、みていても忘れる速さが尋常ではないのですよ、私の場合(だけなのか?)。
 起きて、ご飯でも食べてればもう朧。
 だから残っているメモは大体、起きてすぐにつけたものです。それでも、書いている端から忘れてしまう(没)。そんなだから、仕事や用事のある日は、たとえ夢を覚えていても書き残せず、そうして忘れていってしまうのですよねえ。何か勿体無い。
 しかしそんなだから、説明をすっ飛ばしているところが多くてちょっと笑ってしまう。そのあたりは、覚えていないものだから想像で補うしかないという。まあ、そんなことしなくてもいいのですけども。
 中にはいくつか、話に仕立て上げられそうなもの(実際少し書いたものも)あるのですけどねー。
 
 この間会社で、ある社員さんの息子さんが大学入試を受けるという話をしていて。
 受験料も馬鹿にならんね、受かったら受かったで学費がいるし(その下にまだ二人いらっしゃるようなのでその意味でも大変)、という話をしていて。
 交通費も馬鹿にならないし、教習所もお金かかるからねー、小遣いくらいならバイトするだろうからいいけど、という会話を聞いて。
 え、それも親が出すの?と思ったものです。
 まあ、友人も交通費出してもらっている子、多かったけどねー。免許取得しての説明会で、自分で教習費出していたなら別として、帰ったらまず親御さんに見せましょうね、ということを言われてちょっと驚いたけど。
 裕福な家ならともかく、あの会社で働いていてそれってまずないと思うのだけど…学費はちょっと多いとしても、それ以外くらい、バイトするなら自分で払おう(払わせよう)ぜ…?

 そう言えば先日、『チーム・バチスタの栄光』の漫画版を買ってしまいました。原作ですら借りて読んだだけだというのに…(苦笑)。
 まあ、値段もお手頃(?)で。少し安めだなと思ったら、使われている紙の質が悪いのでした(爆)。コンビニに置いている、カバーのない雑誌のミニ版漫画のような感じの紙質。さすが宝島社(え)。
 いやそれで漫画。
 ……頑張ったねって感じですか…?
 薄くはないハードカバーの小説を厚くはないコミック一冊にまとめたのだから、そりゃあ話は要点だけに絞らないとまとめられませんよね。でも私、事件の真相が明かされた後の逆転劇(田口先生大活躍、でも内心どきどき)がとても好きだったので、そこがさくっとなかったことにされているのはがっかり。でもしっかり、AIは目立ってる(笑)。
 やたらと「白鳥頭」の名前もない登場人物が多かったのは、意図してなのか単に作者が書きやすいという無意識のなせる業か…? 変な髪形だけに目立って、意味なく印象に残ってしまったのだけど。

2007 年 1 月 30 日 痛い

 右手親指の一部の皮が硬化してまして。思わずむしりとったら、思っていたよりも深くえぐれてしまった…痛い…(泣)。←馬鹿

 夜に、友人とファミレスで旅行の計画を練ってきました。…と言いつつ、遅々として何も決まらない罠(違)。
 出発時刻を決めるだけで結構かかってしまった(苦笑)。それと大雑把に日程と。…それすら決めていなかったのか、というね。既に半月を切っているというのに。宿がざっと探したらどれも埋まっているという…(没)。
 まあ、私は明日休みなので、ぼちぼち探していってみようと思います。

2007 年 1 月 31 日 



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