虚言帳

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2008.9

2008 年 9 月 2 日 うだうだ

 とりあえず、月末決算は一区切りー。多分明日もう一個厄介なのがあるから、それやったら終わりだ。
 でまあ、今回も残業してたわけです。今日は、一時間くらい一人だったか。
 誰もいないし、と、PCで何か曲でも流そうかとしたのですが…外部スピーカーでもつけないと流れないのか、無音…(没)。ノートなら音が出るのは判っているのだけど、わざわざそのためだけに起動するのも面倒でそのまま。
 仕方ないから歌ってた(爆)。でも、ちゃんと歌詞を覚えている歌ってなかなかなくて(教科書に載ってるようなのならいけますが)、気付くとさびを繰り返してたり(苦笑)。
 明後日がまた休みなので、何かばたばたしてます。明日渡さないといけない書類(?)は手付かずだし。まとめなきゃな記録は打ち出してないし。
 まー、手に負える範囲で忙しいのは嫌いじゃないです。

 『野球の国のアリス』…野球が大好きなアリスが紛れ込んでしまった不思議な世界。
 ミステリーランドの一作です。女の子が野球をやる、というのは最近(?)注目されてはいるけど、きつい、ですよね。色々な意味で。いっそ、『メイプル戦記』みたいに女子もプロリーグ参戦、なんてなったら楽しいのに。だって、どう頑張ったって「いい思い出」にしかできないというのは…きついよ。好きなことを生業に生きていける人はごくわずか(そしてそうしない方が楽しめる、という意見もある)、でも、はじめっから目指すこともできないっていうのはさ。
 えっと、そういうもやもやはさておいて、物語は痛快、に近いですかね。爽やかで心地いい。夏と春が、上手い感じに活かされているし。
 題材はそのまま、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』。伏線の回収もきっちり。(猫は、伏線ではなく小道具…だよね?)
 余談ですが、野球を扱った物語について。あまりに普及しているからか、野球漫画にしても小説にしても、説明がないのですよね。各ポジションについての言及がなければ、ルールについてもない。これが、あまり知られていないスポーツだとまず、ルールの説明ややり方から入るのに。皆知ってるよね、だからくどくど言わないよ、っていうのが…知らない人も結構いると思うのだけど。そしてそういう人たちは、一旦そういったものに巡り会ったら、なかなか次には手を出してはくれないと思う。そこのところ、ちょっと不満だなあ…。

 あ、以下愚痴です(爆)。

 今日、仕事中にちょっと…ぷちん、といってしまいまして(汗)。
 えーとまあ…そもそも苦手な人ではあったのですが(嫌い、でないところが単に私とその人の噛み合せのなさを窺わせる)。というかあの会社の営業って基本的に…事務方に、説明をしないのですよね…。営業事務とか補佐とか、そう言える役どころではないけど、まあそこの一端も担ってます、というのが私の仕事なのですが(というか小さい会社って事務が裏方関係全てやってますよね)。そして製造は、直接営業に話を聞くこともあるけど普段事務所にいないから事務に訊くわけですよ。
 あのさ…聞かされてないのに何をどうしろと? と、言いたくなることが度々。訊かないと言わないし、訊くと鬱陶しがられるし。そっちが訊くまでもなく情報伝えてくれたら訊かないっての!
 それでも、何かあったらすぐに連絡を取れる(病院にいるとか商談中とか、不通にならざるを得ない場合もあるわけですがまあそれらは措いて)、連携不足で何かあったときに責任を持ってちゃんと事を進めてくれる、というならまあ、いいやーと思うのですけど(所詮私もいい加減)。
 取引始まったら数割方こちらに丸投げで(いやこれは営業が出荷に張り付いているわけにもいかないから当たり前なのだけど予定やら特売時の対応やら、限度がある)、直前に断片の情報渡されて、どう動けって? 断片しか渡さないならしっかり総指揮取れよ。取れないなら、こっちで判断できるだけの情報寄越せ。…とまあ、思うわけです。
 実際のところ私には責任取る能力も権限もないから、何か起きたら頼らざるを得ないのだけど、それって厭なものですよ。だって、実地でやってるのはほとんどこちらなのだから、本来の責任は私にあるのに、負わせるのは営業さんなわけですよ。理不尽でしょうよそれ。
 だから、そうならないように気付く範囲だけでも、ある程度の想定をして対応を考えておきたいのだけど…会社自体、起きたときに考える、が主だからさ…考えすぎ、もっと気楽にやりーと言われる。…うん、たしかに、杞憂に終わることも多いけどね…でも体制をそれで進めるのは間違っていると思うんだ…。
 いやまあ今日の直接は、私の説明下手が起点でして!(爆) や、ほんっと、説明向いてない、無理。…って、それで済ませられたらいいのだけどねー…(遠い目)。
 とりあえず、「それ、架空の話?」「仮定の話です」というやりとりをして、ああもういいや、と思ってしまった。「ああーわかりましたもういいですー」と受話器置いた…(最低)。

 どうにも私は、理解を求めはするけど、難しそうと思ったら投げてしまう傾向があります。わかったもう、理解いらないよ、となってしまう。
 これはあれだなー。
 小学生のときに、友人と喧嘩してお互い意地を張り合って、最終的に私から謝って仲直りしようとした(しかし当時も今も思い返しても、喧嘩の理由がよく解らない…そこが問題だったのか?)ときに、無視されまして。
 あーそっか、そうやってないものにするなら、いいや。こっちも要らないや、と、以降、彼女に対しては何一つ反応しなかったな…中学上がってからは、彼女は私とすれ違うとわざとらしく無視したり(あからさまに顔を背ける、とか)ぶつかってきたりしたけど、私は視線逸らして何もなかったことにしていたなあ。それでも同じクラスになったら辛かっただろうけど、そんなこともなかったし(友人のいるクラスにいたから微妙ではあったけど)。
 そういう点で、「嫌い」という感情もそれだなー。
 私の場合、「苦手」な人は結構いる(苦笑)のだけど、「嫌い」な人って少ないのですよね。前者は、折り合わない点があるけど合わないんだなあ、ここはなんとかしてほしいなあ、という感じで。折り合いがつけられたら一緒にいられるし、そのときの気分で一緒が楽しいこともあったりもする。後者は、ほぼ総否定、です。私の知らない世界で幸せになってて?という感じで…(いや多分それ度合いがよく解らないよ)。
 あ、ちなみに喧嘩した彼女とは、この間の同窓会で和解しました。やー、よかったよかった。

 しっかし本当…有能になりたいなー…。
 上でぐだぐだ言っていますが、私の失敗が多くて信用できない、というのもあるだろうしさ。意思疎通も下手だし。
 人付き合いが上手い、という一点だけで有能な人だと思うよ本当。←人付き合いや協調性は壊滅手前  

2008 年 9 月 2 日 へなへな

 母が一泊旅行に旅立ちました。
 いやねー、本当最近まで、子ども置いて泊りとか出かけない人だったので、寂しい反面安心…てそれは親の心境じゃあ(爆)。いやまあ、いいことですよ、お互い。多分。

 で、ご飯作り。(ご飯は作ってもそれ以外の家事をしようとしない時点でまだ自立できていない)
 父に数少ない選択肢を挙げたら天津飯、と答えられたので作ったのですが…あれっ、前のたれのレシピどこやった? ってことでネットで再検索。味が違う(笑)。や、今度は砂糖の量注意しましたよ!←前に自分の分で入れすぎた
 明日の昼は、しょうゆラーメンか天津麺か焼き飯ー。どれも擬似中華から離れないー。…だって楽なんだ、似非中華。味も結構誤魔化し効くし一品でお腹膨らむんだ。
 とりあえず明日は、図書館と古本屋…にわかに『トッキュー』が読みなくなった。何故だろう。『海猿』でもいいけど…ううん、いやでも。
 この頃、ふらりと昼食を駅近くの中華料理屋(安くて量があっておいしい)で取ることがあったのだけど、明日は、別に何時に食べたっていいし(母が作ってくれるなら昼には帰らないと、と思う)、家に帰ることにします。
 ごろごろするぜー。昨日も今日も(そして土曜も)、やってもやっても仕事があって、なんで、あまり無駄なことしてないよね?!と思いつつちょっと疲れたですよ。はい。休み明けにも結構溜まってんだぜー。暇になるのは来週くらいになるのかな…。

 先月末に二章を上げたあの話は、三章が書き進まず、この間、女の子が出てきたら進み始めてよっしゃ!と思ったら今度は逆に、内容が恥ずかしくなってきて夜中にしか書けなくなってしまった。笑。
 …あれです。深夜は別の人なんです。←聞いたことあるなそのフレーズ(「真夜中は別の顔」)
 夜中に書いた手紙は読み返せ、の、その読み返さなきゃ名内容を書く妙なテンションが必要なんだ…どれだけ色恋駄目なんだ私(没)。…て、あれ、色恋なのか…?←書いてて判らない奴  

2008 年 9 月 3 日 ぐだぐだ

 曇天で、この頃の傾向としていつ大雨来るか判らんからなー、と、家に引き篭もり。…運動した方がいいと思うのだけどな、私…(爆)。

 『妃は船を沈める』…えっと、推理小説。(何の説明にもなってない)
 端書には、言い訳めいた(苦笑)作者のコメント。言っちゃなんだけど…幕間、は、別にあってもなくても構わなかったような。
 今回、本編そのものよりも「猿の手」解釈に唸りました。うーわーなるほど、そんな穿った見方も!という。や、作者(『三つの願い』を書いた)の意図はそんなものじゃないと思う…思う…けど。

 家の中に引き篭もるに当たって(何)、何か音楽聞きたいなー、PCの中に保存してるのはこの頃よく聞いてるから、CD〜と探して。
 現在、私の聞くCD(主には私が所有する、だけど、父が買ったり誰が買ったのか忘れたのもある)は三箇所に点在してまして、自室と、廊下の本棚の上と、父の部屋のCDラック。
 自室の数枚を引っ張り出してきたのですが…ふと目に付いた、背面に何も入ってないCD。
 何だっけこれ、と引っ張り出したらジャケットの両面が真っ白で…「月夜の猫屋」と。
 うわー思い出した、作った、絶対に聴けないけど捨てられないCD! と、懐かしく(?)なりましたよ。大学生のときにふと思い立って、ドラマCD作りたいと友人に呼びかけて録音したのだった。友人の下宿先に乗り込んで。何をやるかも泊まり込んだ先で決めた。皆でご飯の買い出し行ったり。やー、セイシュンノイッページ。
 録音参加者と絵描きさんとだけにしか渡していない、ある意味貴重な一品(笑)。多分これからも、見つける度にのた打ち回るのだろうなー(笑)。

 まあ、恥ずかしい記憶(思い出)なんて、日々量産されているわけですよ。
 微妙に記録癖のある私は、それらをどうにか残しておこう、なんて思ってしまっていろいろとやらかしてしまっているのだけど、まーそれも楽しいじゃないですか。
 できれば、そういった諸々が身内に発見されるのは死後にしてほしいですけどねー。死んだら後の評価とか感情とか私はわからないし。

 そう言えば、平川地一丁目の初アルバムを聴いてました。よく知らないのだけど、今は、平川地としては活動してない? …って、今調べたら、今年の八月に解散…ついこの間じゃないか。
 中に一曲、ドラマの主題歌にもなっていた曲(これがまたドラマに嵌りすぎていたんだ…涙)がほしくて買ったのですが、全体に、曲調と歌詞が好き。あ、ちなみに他はシングルすら一枚も持ってない(爆)。
 本当、曲を聞いているとしみじみと、お兄ちゃん凄いなーと思う。←作詞・作曲は兄
 だってこの頃(曲を作った頃)、中学生か高校生ですよ。下手したら、それですらないのが混じってるのかもしれない。製作時期なんて書かれてないし。それで学校生活の三年を短い、なんて表現されたらさー。考えてみてそのことに気づいて吃驚した。私、大学生のときですら短いなんて思わなかった。
 「子ども」だからこその歌詞もあったけど、「子ども」だからこそ見えない未来に怯えたり単純に希望を抱いたり、なんてのもあったけど、それにしても歌詞から受ける印象が「大人」の部分があって、本当、凄い。思いつきやなんとなく、ということがあったとしても、どこかには確実に、それを感じる部分があるってことだろうし。
 お兄ちゃん(苦笑)はソロ活動かー。うん、そうだろうなあ。(いや何も知らないけど)

2008 年 9 月 4 日 えんえん

 …仕事をやってもやっても片付かないのは何故だろう…?
 まあきっと、月半ばにはまた暇になってるだろう、とは思うものの、毎日繰り返しの日常業務に時間を取っていることに気付いてそうでもないのか、と不安になったり。
 どうでもいいですけども(え)。

 『ダージリンは死を招く』…紅茶店の女主人の巻き込まれた殺人事件。
 読み始めてかなり長いこと勘違いしていたけれど、舞台はアメリカ。…いやほんと、どうして勘違い…紅茶の印象に騙されてた…?(誰も騙してない)
 テンポ良くて、女の人が強くて男の人がしっかりしてて(いやしてないのもいるけど)、厭な奴もちょっと厭だけどまあ許せる人も良い人もいて、うん、いい感じです。偏りがない、というか。それぞれの思考なんかも書かれますが、あまりぐるぐる悩むようなのでないのも良いです(ぐるぐるするのはそれはそれで面白いけど)。
 場面転換が多いのと主観(視点)がくるくる変わるのがちょっと落ち着かないのと、切迫感(緊張感)がないのがちょっとあれかな。大きな事件がない、というか。…いや、人、死んでますけど…。
 主人公が店主のお店の雰囲気が凄く良くて、行ってみたいな!と思ってしまったり(苦笑)。お茶も、紅茶だけではなくて中国茶も豊富に仕入れている、オリジナルブレンドや焼き菓子のあるお店…いいなあ。
 「犯人」が明らかになったときとその後の言動に、どきりとさせられてしまった。ありがちと言えばありがちなのだけど、どきりと言うかひやりと言うか。

 軽度の腱鞘炎疑惑のある右手首。
 この頃、かなりの時間をリストバンド着用で過ごしているのですが、これがもうほつれて毛玉が…一個さらがあったはずなのだけど面倒で使い続けているという(爆)。
 これ、気休め程度だと思っていて、以前、外して一日仕事をしたら翌日痛くて…ということで、今や外せません(泣)。
 うっかり今日、その状態でお客さんにお茶を出してしまいました。け、毛玉…(爆)。
 お医者さん行こうかなーとも思ったのだけど、熱があったり曲がらないといったほどに痛いわけではなくて、手首を押さえるものがあれば大体平気なので、まあいいかと。腱鞘炎自体、治せる、というものではないようだし。
 そんなわけで、幅広の強く締められる腕輪を探しているのだけど、どこかお手頃値段でないですかねー。えっと…漫画に出てきそうなデザインの…(それでわかったら凄いよ)。気をつけて見ていこう、とは思うのだけどそもそも私、アクセサリーショップとかそういった小道具(?)置いてるようなとこってあまり行かないんだ…家と会社と図書館と本屋で月の半分以上は生活が成り立ってるんだ…この間、友人と駅前ぶらぶらして物凄く久々にウィンドウショッピングしたー。駅付近や都市部(苦笑)に出ることはあっても、大体目的地しか行かなかったり観光目的でそういった買い物はしなかったりするからなあ。
 いっそ自作…?と思わないではないのだけれど、そこまで手芸の腕を過信していないもので(爆)。頑丈さを求めるなら皮がいいのだろうけど、皮は扱ったことないしなあ。布で何か作ってみるか。
 早く長袖の季節になってくれないかなー。そうしたら、手首に何つけてようと隠れるのに(苦笑)。特に仕事中。カーディガンを羽織るようにならないと手首が隠れない…(シャツの袖が余るせいで腕まくりをせざるをえない)。

2008 年 9 月 5 日  がっくり

 今日仕事中に、ぽん、と思い浮かんだ話がありまして。←何やってんの
 いやもうあまりに快調に一連の映像が浮かんで(大体映像で思い浮かぶ…から、絵が描けたらとても嬉しいのだけどそれは無理だ)、うっわ今すぐ書きたい! 書き留めたい! と思ったものの…まだ、時刻は二桁にもなっておりませんでした…その後、昼休みを挟んで忙殺…(没)。
 諦めきれず、何度か繰り返し思い描いたりしてましたが…さすがにもう、帰る頃には印象薄くなってたよ…会話とかもくっきりあったけど消えたよ…あの時どれだけ、会社のPCに仕事のふりして書き付けたやろうと思ったか!(後ろから覗き込まれたら終わりだからやらない、し、仕事が溜まってしまう)
 あれだ。何ッ度も思ったけど、学生時代、良かったなあ…時間たくさんあったし思い立ったらすぐ書ける環境がほとんどだったし。
 あーあ。
 でも懲りずに、さっきまでごりごり(?)設定を書いていました。設定考えるの楽しい。そして傍から見たらきっと、漫画の登場人物表を自分で作ってるくらいにわけがわからんのだろう(必要性や内容の意味で)。
 人でない何か(獣の一種とか妖とか化け物とか悪魔とか、まあそういった類の)がいる世界で、その対策部の話。というか、対策部に属している人たちの話。主人公(視点)を誰にしようか、ちょっと迷い中。とりあえず冒頭は、戦場(?)から始まります。…だからどうして戦闘場面とか書けないのにそういうの書きたがる私。

 ところで、視点の話。
 小説に、大きく分けて「一人称」形式と「三人称」形式があります。
 前者は、主人公(主人公の身近な人だったりもする)が、「僕(私)はこう思った」といった、語り手になるもの。語り手が知らないことは原則書けない(このときは知らなかったけど、といった風に過去を語っているものとして書くことはできる)し、他者の心情描写もできません(〜のように見える、というのはあり)。
 後者は、神の視点、と言うときもありますねー。極端な話、なんだって書けます。複数人の心情描写だって同時刻の遠く離れた場所の描写だってできます。…まあ、飽くまで極端な話、ですけどねー。持って行き方によってはやはりどうにも不自然だったりこんがらがったりする。
 一番判りやすい見分け方は、地の文(会話や会話に似せた心情でないところ)で「私」やら「僕」やら「俺」やらが出てきたら一人称、なくて、「彼」「彼女」だの名前だのばかりだったら三人称。(まあこれも原則、ですが)
 で、私はこの頃は大体三人称で、たまーに掌編で一人称だったり。以前(…多分小学生とか中学生の頃…)は一人称だった覚えがあるのだけど、そして猫屋は考えるまでもなく一人称だったけど、中編は三人称。今となっては、三人称の方が書きやすいなあ。
 ただ問題があって、私の書く三人称は、誰かに寄り添った三人称なのですよね。誰か一人の視点に沿って描写するという、一人称混じり。
 えーと、三人称にもかかわらず、あれこれ一人称じゃないの?という具合に一人の心情やらその人が見ている範囲内での描写に終始しているという。うーん…実は私、三人称で書けてないのかもしれない、と時々思う(苦笑)。
 いやまー割とどうでもいい話ですが。

 では、薄れてしまった話を書いてきます。…書きかけの諸々は…。
 久々に手書きです。だってPC目が疲れるんだ…ただ、手書きは手首の負担がPC以上で書きあがったとしても結局PCに打ち込まなきゃいけない(わけではないけど書いた以上どこかに載せたい)から、結局のところ負担は増えるだけ、というオチです(爆)。
 それでも手書き好きなんだー。漢字を一生懸命思い出したりちまちまと白紙が埋まっていく感じが。見直し回数も、PC直打ちより多いしね。

2008 年 9 月 6 日 ぐすぐす

 何故か今日調子が悪かった…くしゃみと鼻水。
 時々、風邪引いたのか花粉症か鼻炎か?という症状に襲われます。会社で。…あそこ、実は何かあるのか…? 空気の流れが悪いのは明白なのですが。

 さっき、図書館で予約確保できている本を調べたら…九冊。えーっと今借りてる一冊がまだ読みきれてないから十冊。貸し出し最大だー! と慌てたのですが、考えてみたら、六冊上限のカードを二枚持っているから十二冊。…算数からやり直したほうが良さそうです(爆)。
 しかし、九冊て…読みきれるのかなー。まあそう言いつつ、なんとかなってるから多分今度も大丈夫でしょう…きっと。
 とりあえず今は、雑誌の「メフィスト」を読んでいます。2007年5月号を(爆)。この間購入した最新号にたどり着くのはいつのことやら…この号に乗ってる新連載なんて、もう単行本になってますからね!(滅)

 つい先日、長らく放置していた(オイ)「ねんきん特別便」を出しました。
 これさ…勤め始めてあまり間がないし転職一回だからあまりややこしくないけど、長く勤めていて何度か転職してたら、調べるの物凄く手間取りますね…。
 しかしこれ、私のところに届くのはもっと後だと思っていたのだけど。両親の分はまだ届いていない、気がするのだけどなあ…?

2008 年 9 月 7 日 ぎゃー

 あ…明らかに食べすぎだよな今日…運動らしきものなんて図書館行くくらい(自転車で往復十分ちょっと。下手をしたら会社への往復より短い)しかしてないのに。
 太るとかはまあもうどうでもいいのですが…生活習慣病とか糖尿病とかは厭だ…!(汗)

 やーっとメフィスト(雑誌)を読み終えました(繰り返すけれど去年の春号)。
 メフィスト賞の応募作、えっらい増えてんのなー、と思ったり。しかし難易度高いと思う、あの賞(メフィスト賞落選した人が割りと近い時期に他の文逆賞で受賞、ってのも何件かあるらしいし)。
 しかし、雑誌掲載の短編ってちゃんと本に収録されるのかなー。雑誌掲載しかないってのもたくさんあるんだろうなあ。後年、完全収録の全集でも出たら別なのだろうけど。勿体無いというか…熱心な読者としては厳しいところですね。まさか、掲載雑誌全部買うわけにもいかないし、読み始めたのがデビューして大分経ってからだとそもそも手に入らないかもだし。
 とりあえず、図書館で借りた本優先して、借りている本がなくなったら次の号にかかろ。

 午後から、友人が来てました。漫画やライトノベルやら抱えて。←
 やー、クーラーもない部屋で悪いです(正確には、ついているけどもう年単位で使ってないから動くけどちゃんと冷えるのか不明。最後に使ったのは…何年か前の夏に、一回…?)。
 で、だらだらと本読んで合間に(?)喋ってお菓子食べて。だらーっとしてました。のんびり。
 ところで…持ち主不明の漫画が一冊。大分前に発覚して…何故私これ二冊持ってるの?という。間違えて二冊買った覚えはないのだけど。
 今のところ、漫画の貸し借りをしているのは主に二人だけなのに、訊いても違うと言われ。おいていても邪魔だから、もういっそ売ってしまうかなーと(あげるあてもない)。今後発覚したら、手持ちを渡して買い直すとでもどうとでもすればいいや。

 今期、あまりドラマ見なかったなあ。何本か見てたけど、最後までたどり着いた(つきそうな)のって…下手したら、今日終わった「Tomorrow」だけ? あ、「ゴンゾウ」も見てるか。
 「33分探偵」は、面白い、と思うのだけど集中してみないと面白さが抜けるのと気力ないとノリについていけない、というので、実は結構見逃してる(爆)。面白いですけどね。
 アニメは…「薬師寺涼子の怪奇事件簿」だけ、とりあえず見てますが(漫画は売り払う算段を立てたけど。小説持ってるし読み返さないからなー)。あ、「コードギアス」もか。
 来期は「相棒」が再開するそうで、とりあえずそれが楽しみ。「チーム・バチスタの栄光」は…田口先生が男性なのはいいけど、猪八戒って…イメージ違うんだ(没)。

 以下、今書いてるやつから一部。私だけが楽しいという(苦笑)。あ、ちなみにリツは女性です。
 この場面を、会話だけにしようか地の分も入れようか(っても見て判る通りにほとんどないけど)、悩み中。

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「ったく、楽にしろっつってんのに」
 呟きながらも、リツの頬はゆるんでいる。そのことに気付き、唇を引き結び、移動させた椅子を戻す。
 怪我をした左肩が少し痛んだが、リツは自分で自分の方に包帯を巻けるほど器用ではない。後で、医務室によるか知人を捕まえることに決める。
 部屋の最奥、入り口の真正面に位置する机の前に椅子を戻すと、リツは、腰を下ろして受話器を手に取った。内線に繋ぐ。
『はい、第二部三課ミムラ――』
 まだ年若い、男が出る。リツは、名乗ることなく切り出した。
「昨日は悪かったな」
『――早いですね、今回。早く代わり寄越せって言って来ると思ってましたよ。何事ですか』
「俺の目が節穴だったって話だ。残るとよ」
 リツの下で働きたい、とまで言ったと告げればどんな反応をするか。知りたい気もするが、やめておく。
『そうですか、それはそれは。リタが喜びます』
「は? なんで? 成績一番下だろ?」
『ああ、それはそうなんですがね。一度、廊下でぶつかってノートを目にする機会があったらしくて』
「ノートぉ?」
『そう。入れ替わったらしくて、後で気付いて吃驚。で、これがなかなか上手くまとめられてたらしいんです。ただ、試験の結果を見るに、本番に弱いんだか思考が熟すのに時間がかかるかのようで。部のどこかか、さもなきゃリツさんにでも任せるのがいいんじゃないかって言ってたんですよ』
「へえ…」
 何だ、認めてる奴もいたのに気付いてなかったのかあいつは、と、苦笑がこぼれる。
『新人が居付くってことは、他は当たらなくっていいんですね?』
「いや。ウチに希望出したって馬鹿がいたろ」
『ああ、前代未聞の二人、ですね』
「そうそれ。なるべく早く、ウチに回してくれ」
『…そりゃ、やれることはやりますけどね。いいんですか。言っちゃなんですが――』
「わーってるよ、キナ臭いってんだろ。いーんだよ、面倒ごとはまとめて早々に片付けりゃ」
『そんな無茶な』
「ソウヤがもうすぐ退院だかんな。多少の無理はきかせるさ」
『……俺、つくづく、早くに転属願い出してよかったと思いますよ。リタの希望を叶えてくれなかった二部三にも感謝します』
「へっ、言ってろ。それより、今の実技どうなってんだ? この間模擬指導に呼ばれてよ、ウチのもまとめて対応見てたらラチ明かねーから、基本、左方構え、っても動かねーの。俺らんときはさんざ、型叩き込まれたよな? 型言われたら、咄嗟に動いたもんだよな? 条件反射の域で。ったくよー、どんな指導してんだよ」
『色々、方針も変わってきてんですよ。今は校長も変わりましたしね。まあ、そういった話はまた今度』
「ああ。じゃあ、たのむな」

2008 年 9 月 8 日 ぐてんぐてん

 「生きてることが辛いなら」を頭の中で流していると、気付くと途中から「贈る言葉」に摩り替わっています。あれ?

 『RDG(レッドデータガール) はじめてのおつかい』…あらすじ読んでください(爆)。
 面白い、というのが素直な感想。うん、この先の刊行が楽しみです(シリーズものの第一作)。そして私、『西の善き魔女』は別として、この人の話、現代ものが好きかも。
 主人公の無力感と幼馴染(?)への嫌悪感(と言ってしまってもいいと思う)がちょっとしんどいな、と思っていたのだけど、進むに従ってぐいぐいと引き込まれていく。そして、「見えない(姿のない)おそれるべきもの」を描くのが上手いなあ。それと対峙したときのとことその説明(?)とかも。
 これ、小学生か中学生くらいのときに出会いたかったなあ。小学生のときに、で、高校生くらいで読み返す、とか。…多分そうすると、今とは違う私が育っていた気がするけど(苦笑)。

 本との出会いって、人との出会いと同じくらいに大切(重要)だろうなとこの頃思います。
 まあ、当人がどの程度重きを置くかにもよってくると思うけど、でもやっぱりある程度は根幹を作るからさ。物の見方や考え方の。物語を読んで、それに共感するなり反発するなり、とにかく印象が残ればとっかかりになる。
 幼年期、私はそれほど本を読んでいなくて…勿体無かったなあ、と思う。各都道府県の民話集を読んでいたのは良かったと思うけど。多分それ読んでなかったら、民俗学にそれほど興味は持っていなかったと思う(逆に、そういったものにそもそも興味があったから読んだのかもしれないけど。そこは卵と雛)。
 あー…昔話とか民話とか読み漁りたいー…。創作じゃなくて、どこかで語り継がれてきたようなやつ。まとまりきってない方が面白いです、ああいうのは。

 今日は仕事が…季節の変わり目なんて嫌いだ…(春夏商品と秋冬商品の入れ替わりがあるのだけどどちらの商品も入りが読み辛い)。
 新規さんの参入も嫌いだ…(これも同じく入りが読み辛い)。
 ……って言うかさ、発注予想とか私の仕事じゃないはずなのだけど…思わずドラえもん連れて来てーとぼやいた(苦笑)。
 そして、仕事内容、もっと分けてほしいな…立て込む時間帯に問い合わせとか…今かけて来んなっ、とかも呟いた(爆)。
 まーどーでもいいです。帰りたくて仕方なかったけど何か今日も居残ってたし。

2008 年 9 月 9 日 ふあぁあ

 ねっ…むかったぁ…。
 もうどうしようもなくて、昼休みにパン一個だけ食べて寝た。それだけでも大分回復できましたよー。枕にした腕がえらいことになったけど(苦笑)。←食堂の机に突っ伏して
 そして昼休みがあけるとともにあほらしい失敗をしたことに気付き。も、もう今更どうしようもないよねーと無視を決め込んだ(え)。問題になるのは明日か私の休みで持ち越されて明後日か…。
 …うん、人間、寝ないと駄目ですね。私は徹夜続きとかできそうにないと自覚した。後で記憶がない、くらいだったらいいけど、ミス連発で使い物にならないよきっとー。普段でさえそうなのに、輪をかけて。

 『ジョーカーゲーム』…あるスパイたちの活動。
 短編集で、五話収録。スパイもの、そして帯に「殺人及び自死は最悪の選択肢」とあって、おっこれは結構本格的?と期待して読んだら。…んんん? これってもしや、と思って奥付付近を見たら、やっぱり、参考資料に『秘録陸軍中野学校』。
 あれです。架空のものですが、下敷きは明らかに、所謂「陸軍中野学校」。世界大戦中の日本でつくられた、スパイ養成機関。敬礼するな、髪を伸ばせ、天皇批判さえむしろ歓迎、というようなところ。…これ、日本帝国軍所属で、ですよ。異色。
 微妙に推理もの仕立て。順に問題を積み重ねて、一拍置いて、最後の章(?)で一挙に解説するあたりが。
 そして、面白いことは面白いのだけど…『秘録陸軍中野学校』を読んでいると、あれが十分面白い読み物だった分、おお凄い!というのはないのですよね、残念ながら。上手く情報織り込みながら小説にしてるなあ、というのはあっても。
 あ、でも、孤独でなければならず、常に気の休まることのないスパイを、何故彼らが志すのか、という理由には納得。これは自分にしかできない、自分であればこの程度のことはできねば、という自負、自尊心。それだけに、「XX」で飛崎が選んだ行動はそれはそれで頷ける。
 しかし…私は、己の才能の研磨もスリルもサスペンスもいいからのうのうのほほんと暮らしたい…(爆)。

 サイトを登録したサーチさんがメールマガジンを発行していて、それをほろほろと見て、見知らぬサイトを訪れたりしていました。
 とても好みな小説を置いているところが…わー年下かー、と、そろそろもう年齢が痛い…(苦笑)。
 でも本当に好きな感じだから、リンクフリーに甘えてこっそり繋がせてもらうかなーと思案中。相互とか…声をかけてもらえるならいいのだけどなかなか言い出せないもので…(爆)。実際、リンクの頁にあるのは素材やらサーチ・同盟やらのサイトさんでなければ、一つを除いて(これはほぼ無断登録)全て、ネット以前に直に知り合っていた人ばかりです(苦笑)。

2008 年 9 月 10 日 ごろんごろん

 …うとうとするのって大好きだー。眠っても大丈夫な状況で、うとうとごろごろ。これで、気付けばえらい時間が経ってるのでなければ尚のこと…!
 そんなわけで、朝から寝過ごしました。いや、何時に起きるって決めてたわけではないのだけども。

 古本屋で本をいくらか処分してー…三十冊くらいかなーと思ったら四十一冊だった。あれー把握できてない。
 で、図書館に行くつもりだったのだけど面倒になって最寄の分館(本日休館日)の休館用ポストに放り込むだけ放り込んで帰って来た。考えたら本、借りなくたって読むものいっぱいあるしね…(苦笑)。
 インスタントなラーメンが昼食だったのだけど、この頃、スープにとろみをつけて食べるのが好きです。ついつい水溶き片栗粉を投入してしまう。

 『夏のくじら』…高知よさこい祭のひと夏。
 東京から親戚のいる高知の大学に進学して、そして成り行きで、よさこいに参加することになった主人公。悩んで考えて落ち込んで逃げ出して、でも前を向く。それって実はかっこいい。
 その上で、少しのことが重なってそこに立っているけど、もしかしたらいなかったかもしれない、というのも示されていて、だから余計にそこに立っていること、が凄いな、と思ったり。
 よさこいに参加すること、いろんな人のいろんな悩み(勿論恋愛含む)、過去と未来、主人公が四年前知り合った名前もちゃんと知らない女性。
 少なくとも、一番最後の件に関して、伏線の張り方、というかヒントのばら撒き方というか、無理がなくてわからなくて、それらが一本につなげられたとき、やられた!と思った。何でああいうのって、悔しい反面、物凄く嬉しいんだろ。
 余談ながら、この人の小説、本屋出ない方が好きかも知れない(爆)。だって今のところ、お気に入りはこれと『方耳うさぎ』なのだもの。

 『ぼくとルークの一週間と一日』…奇想天外な夏休み。
 両親を亡くして親戚の家で肩身狭く過ごす夏休み。そこに急に現れた楽しい友人と、その彼を追って次々にやって来る怪しい人たち。
 ああ、これだよこれ! やっぱりダイアナさん(親しげだな)の話好きだなー。わくわくする。神話の埋め込み方というか使い方というか、とっても上手くて、登場人物たちがそれぞれくっきりしていて。
 初期の作品だからか、話の筋も割とわかりやすい。
 ただ、ダイアナさんはおそらくわざとなのだろうけど、全てを解説はしてくれないのですよね。読者に委ねるというか、わかる人だけわかって、というのもまた違って、神話と同じような曖昧さというか、実際(現実)と同じような不安定さを残していて。だからつい、これってこう…だよね?と疑問形にしてしまう(苦笑)。
 主人公の受けた予言は、彼女のそれ、ですよね?←物凄く穿ったことを考えて実は両親のどちらかが生きていて訪れるのかなとか考えた奴
 しかしこれ、主人公が鴉を手懐ける(?)のもだけど、ルークと仲良くって、でもその言動にはらはらしたりちょっと怖がったり遠くに感じたり、でも大好きってのが微笑ましくて楽しかった。義理の伯母さんも、はじけてからはかなり好き(笑)。

 今書いている話が、珍しく(え)伏線張って山場があって収束しそうな予感(…)がします。そしてとってもライトノベル。
 ただ経験上、ノートに三十頁くらいなら勢いで書けてしまうから、ちゃんと書ききれるかな、という不安が…長編って、途中で自分の文章に嫌気がさして離れてしまうことが多いから…(かと言って別のものを書き出しても文章が変わるわけではないし後で続きも書き始めたりはするのだけど)。
 でもまあとりあえず、今は楽しいです。最近、崩れた喋り方を書くのが楽しいのだけどPCでは変換しにくくて、でも手書きだと関係ないしね!

 そういや先日、トップランナーに有川浩が出ていて、見ていた傍らに父がいました(夕食中。…日付越える頃に食べるんじゃないと言いたい)。
 で、「ライトノベル作家」という肩書きでした。ライトノベルという分野に自負があるようだったから、ご本人の意思かな。
 そこで当然のように、「ライトノベルって何?」との質問。…えええーと。
 漫画寄りの小説というか…キャラが立ってるなんて言ったらキャラ立ちから説明しなきゃだし…一応中高生が対象だろうけど…私分類では少女小説もライトノベルなんだけどこれは一般的か…?
 で、ヤングアダルトって知ってる(遠回りに当たり障りなくの説明を試みた)、と切り出しても知りませんでした。結局、説明放棄して、部屋からライトノベルを一冊持って来て見せて終わり(苦笑)。
 ライトノベル、という分類(言葉?)が普及し始めた頃から知ってるから感覚でわかるけど、説明って難しいですね…。そして多分、私のライトノベル分類は結構一般(主流)と違う気がするし…難しいなあ。
 そして番組の質問コーナーで、私も小説を書いてるんですが〜と質問をした人を見てびっくりしました。す、凄い、テレビ入ってるところで言った…。
 私はあれだ。小説や漫画書いてるとか絵を書くのが好きとか、そういった人の前だったら書いてるよと言えるけど、そうでない人の前だったら一生懸命隠すな。小説とか本読んでる読んでないに関わらず。ああ、書かなくても同人誌(今一般的な意味での)を読んだりしてる人には平気かな。…何だろう、恥ずかしいということなのかこれ…? いやまあ家族には、内容までは知らないものの書いてるということは知られているのですが。内容は、知るなら私が死んでからにしてほしいものだ…!(汗)
 そういう意味で、大学生活の一部は抹消したい思い出が隠れています(笑)。←夏目漱石愛読の漫画もあまり読まない友人にサイトのアドレスを教えた

2008 年 9 月 11 日 ぐるんぐるん

 『電脳コイル』六巻…夏祭りの話。
 小学生ってこんなに色々と考えるものなんだ…というのは、何も考えない小学生時代を送った大人(?)のぼやき。忘れているというよりは、本当、考えてなかった気がする…。
 眼鏡を囲む諸々が、不思議と怪談じみた空気を纏ってきていてはらはらします。怪談というか、超常?
 とりあえず、カンナのお父さん…! この人とハラケンが出会えたことがよかったなー、と。出会えて、わかったことが嬉しかった。

 ある小説(正確には私が読んだのはその小説の漫画版)で、ストックホルム症候群は子どもの虐待にも言えるんじゃないか、というのがありました。
 その記述を見たとき、ああ!と思ったものです。そして、『僕と爺さんの事件帖』の一編を思い出してしまった。
 ストックホルム症候群というのは、監禁や立てこもり、誘拐などで被害者が犯人に対して仲間意識(連帯意識)を持つ症状。ストックホルムで起こった銀行強盗の立てこもり事件から来た名前じゃなかったかな。被害者が犯人を庇ったり、なんとか逃がそうとしたり、恋愛感情に似たものに陥ったりというやつ。(『広辞苑』をひいて載っていなかったので、記憶を頼りに。違ってたら突っ込みください)
 それって、吊り橋理論(極度の緊張・極限状態に置かれた男女は遺伝子を残そうという本能によって恋に落ちる、だったかそんなの)にも似た、なんとか生き延びよう、という生存本能から来るものだ、という説がある(主流?)とか。
 そして子どもの虐待は、それとは別に、虐待されている状態しか知らない(他と比べようがない、それが当然のものとなっている)、「絶対者」(保護者)の言動は全て正しいという思い込み、というものも加算される場合があります。そのあたりは刷り込みというか…遣り切れない。
 そうやって考えると、生き延びるために脳が一生懸命頑張って、忌避すべき状態を受け入れよう受け入れようとして、一層に悪い方向にいっている、ということもあって。子どもの虐待が発覚しにくいのは、子どもが親を庇うため、というのもあるらしいですし。しかも庇うのは、知られたらもう一緒にいられなくなる、この人を怒らないで、という、「絶対者」から与えられる暴力や恐怖の為だけでないという場合も。
 …そんなことをぐるぐると考えてしまっていたりしました。本当、遣る瀬無い……。

 今テレビ見てて、「生きてることが辛いなら」に関して、ご本人の発言(?)が紹介されていました。
 賛否両論、というのだけは聞いていて、歌詞を聞けば、まあそうかなーと思っていたのだけど、コンビニで自主規制かかったとか…ええ?とちょっとびっくりした。
 これ私は、背を押すことでちょっと肩の荷を降ろしなよ、といっている感じだなーと思ってますが。突き放して励ますというか。勿論飽くまで、私の受け取った感じの話。
 何をどう考えて作ったか、何を託したか、というのは実は、それが伝えられる規模が大きくなればなるほど、受け手に委ねるしかなくなってしまうのですよね。また、広まったことで一部抜粋なんて事も起こって、真逆に捉えられる、なんてのもよくある話。
 『図書館戦争別冊T』でもそういう話があったなあ。
 多分それが怖いから、私は、書くものに意味を載せようとは思わない。読んで何か思ったとしたら、それは全て正解でそれを生み出す為にその話は書かれてその人の目に触れたのだと思う。私にきちんと理解してもらえるだけの技量があると過信できないし、どれだけきっちり作りこんだものでも、小説なんてそもそも曖昧なものでは曖昧です。大体、二人の人がいて、徹底的に語り合ったところで、きっと一つのことだけに絞っても完全な理解はできないのに。
 だから逆に私は、想いや伝えたいものを込めて何かを作り出す人を見ると、怖くなったりもします。薄氷を踏んでいる人を見るような。純粋に、凄い、とも思うけれど。

2008 年 9 月 12 日 うつらうつうつ

 …人間、眠らなきゃ駄目ですね…。←前にも言った
 や。あのですね。
 ものっそ、眠い時間帯があって。五分でいいからほんま、寝かせてー!ってかこれって起きてんの?!という状況だったのですよ(爆)。
 で、その時間帯丁度、伝票を打たねばなりませんでして(何か日本語おかしい)。これが…間違いだらけでえらい目にあった。おかげで目は覚めましたけど! ええもうばっちりですよ!
 今日こそ早く寝よう…とはいつも思うのだけど。この間くらい危機的に眠いと判っていたら昼休みに寝るけど、今日はそうでもなかったんだ。だったら、本溜まってるし読みたいじゃないですかー!(ご飯食べながら本を読んでいる)
 だ、駄目だ、なんとかしないと。

 『文豪怪談傑作選 吉屋信子集』
 えーと実はまだ読みきってないけど、まあほとんど読めているので!(爆)
 一番初めの「生霊」が結構好き。そんなものはどこにも出てきていなくて、上手いすれ違いというか、そんな産物がそれを一部の人にだけ思い浮かばせた、という話なのですが。…最後の、全てを看破している妹さんと青年が出会えばいいのに!と思った私は少女漫画が好きです(苦笑)。
 全体的に、地に足が着いていて、現実の地続きに、ふっと揺らぐものがあるという感じ。怖いとか怪奇というよりは、うーん、ほの暗く精神的に怖いというか(何)。

 明日から金沢行ってきます。と言っても、友人宅に転がり込むので、旅行というか…会いに行くよ!という感覚で。観光予定を、その友人に丸投げしている分余計に(爆)。
 で、まだその支度してないんだなー。まあ、最低限着替えと財布と切符があればなんとかなるのですが。
 しかし、デジカメのデータ移してない。こればっかりはやっとかないと、うっかりデータ足りなくなったら後悔する。…使い捨てカメラを買えばいいのだけど、現像に出すのを後回しにばかりして…いまだ家に、二年くらい前に買ったカメラが未現像で転がってるんだ(没)。
 そして、今話を書いているノートを持って行くか置いて行くか思案中…いや、普通に考えて書かないけど。折角久々に会う友達がいるってのに、そんなもの広げてるはずがない。喋り倒すよ。…でも、今珍しく書きたい波が来てるからなあ…と。どーしたもんか。
 持って行く本は決まっているのですが。購入したきり開いてすらいない(苦笑)、泉鏡花の一冊。電車の中で読むくらいですが、果たして読むのか、一緒に行く友人と話ししてるか、寝てるか。…私としては最後が一番可能性高いと思う。

 えーとそんなわけで、月曜夜まで不在です。急ぎの友人は、携帯電話に連絡よこせー。←偉そう
 遊んできます。

2008 年 9 月 15 日 ふふふふふー

 帰ってきましたー。
 楽しかった。
 でも次会えるのいつだろう。
 もう、時間経つの早すぎ。
 …眠かっ、た。
 てゆーか最後の最後にそんな落ちはいらねー…!

 そんな感じで。
 またそのうち、忘れないうちに備忘録のメモを書きたいのだけどどうだろう。どうも、電車の冷房にやられたのか、今、ちょっと体長がよくない…風邪引いたかも。
 次の休みが、金曜と思っていたけど木曜だったから、ちょっと助かった、かも。と、とりあえずあと二日乗り切るー。←目標

 仕事が溜まってるのは勿論(土曜日、時間がなくていくらか置き去ってきたから余計)、個人的なことでもごたごたと。
 や、正確にはごたごたと言うか…一人でじたばたと言うか…あ、まずい、本気で体調悪いやこれー。寝よう…荷物出しっ放しだけど。

2008 年 9 月 16 日 くたくた?

 疲れてたのか、大層だるかったです。で、それらを「これは気のせいだー思い込みだー」とやっていたのですが、忙しいときはそれどころではなかったから、本当に、気分の問題だったのかも。今もまあ、とりあえず平気。
 とりあえず、昼休みに十五分ほど突っ伏して寝てました。起きたら、体がなんだか痛かった…(苦笑)。

 で、金沢旅行の話。ネタを挟んで書くなんて器用なことができないので、ただ、羅列と感想。自分の備忘録です、主に。

 土曜の夜に、仕事を切り上げて駅に向かい、新幹線に乗り込み。
 ご飯、この時間駅弁とかあるかわからんからなーと、コンビニでサンドウィッチとおいなりさんとティラミスとお菓子を買い込んで。…ら、ごくごく普通に売っていたという(爆)。更には、新大阪で一度乗換えなのだけど、駅内の飲食店も営業していたよ。食べる時間もあったよ。
 そんなぐだぐだの出だしで、ともかく、サンダーバードに乗って一路、金沢へ。寝るかなーと思ったけど、意外に、ヨーコ(仮名)と話しているうちに着きましたよ。

 友人エリー(仮名)宅に泊めてもらって、用意してくれていた(!)お酒を飲みながらほろほろと明日の予定を聞いて(今回本当に、この金沢在住の友人に予定丸投げだった…)。
 部屋を見せてもらって、棚に並んでいる漫画やら小説やらの話をしたり(苦笑)。や、でもだって、人の本棚見るのって好き。

 翌朝、まったりと起きてまったり朝食を頂いて、金箔工芸館に。
 エリーが犀星記念館で働いているのだけど、その縁に便乗して、色々とおまけしてもらってしまった…(苦笑)。
 二階が、安江さんという方が個人で収蔵していたコレクションの展示。この記念館は、職人でもあった安江さんのコレクションが基に作られているとか。漆に金って映えますねー。金色ってあまり好きではないのだけど(銀の方が好き)、いや見直した。←
 一階では、金を金箔にするまでの行程の説明。たくさんの道具があって、昔の職人さんは、一グラムを畳一畳くらいに伸ばしたそうですよ。
 道具(金箔を綴じる(?)紙)の有名(?)産地が西宮で、ちょっと親近感(笑)。あと、「鬼の爪」という道具があって、思わず、何それ?と質問。紙を三角錐の形に丸めたものでした。
 伸ばした金箔を決められた型に切り揃えるところを、目の前で見せてもらいました。薄くてひらひらで、静電気が立たないように、というので道具は全てそこに気を配ったものなのだけど、息を吹きかけただけで生き物のようにふうわりとひらめくのを見ると、なるほどと思いますよ。
 息で切り揃えた金箔の形を整える(?)のが本当、見ていてため息出ますよー。

 そうして、長尾神社に。
 ステンドグラスのある塔(?)のある神社。利家とまつのお墓(?)があるのだとか。ちょっとした散策コースになっている池の辺りが楽しかったです(そこかよ)。
 門のところの、彫り物も凄かったし。

 続いて武家屋敷。
 えっとこれ、どこだったかな、中を見学できるお屋敷が二つほどあるのだけど、その片方に入って。庭が…軒先(庭に面してる…外に張り出しているような廊下状の)に座って、三人で、呆けるように眺めていました。居心地よすぎ。
 しかもそこで、池までちょっと高さがあって、水が小さな滝のように滴っているのだけど、そこに、鳥が水浴びに来てました! も、めちゃくちゃ可愛い。気持ち良さそうで可愛くってこれは反則だ、可愛い、と言い通し(苦笑)。
 武家屋敷の町並みは、見応えあるけど、そこで暮らしている方にとっては勝手に改築なんかの手が加えられない(許可がいる)とかで、ちょっと大変そうだなあ。

 お昼ごはんに、何て店だっけ…半トンライスという、オムライスにマグロのカツを乗せてケチャップとタルタルソースをかけたごはんの有名なお店(どんな説明)、で食べました。私は、タルタルソース抜きで。
 ここが有名なんだよーということで連れて行ってもらったのだけど、そして結構待ったと思うのだけど、私たちが待っている間に店の外でまで待つ人がいて、外のビルの辺りまで行列ができたりするときいて…うん、それらを考えると私たちはあまり待ってない。今回、そういったタイミングの良さがあちこちでありました。誰か、日頃の行いが良い人がいたのか(苦笑)。
 いやこれ、おいしかったです。おいしいし、量があるのに安い。お店の中のテーブルの配置なんか見ても、商売っ気ないなー、と、なんだか感心してしまった。
 で、これ、完食したのは私だけというね…小食だな!
 その後、別腹〜と言ってジェラートは食べに行きましたが。

 続いて、21世紀美術館。
 えーと、プールの底に人が!という作品が有名かも。あれは楽しい。というか、きれいと言うか。面白い。思わず、絵葉書購入。
 コレクション展を見たのだけど、絵の中に本物の虫を埋め込んだ作品はどうかと思うんだ…! 虫を繋いでワンピースのようにした作品なんて、はじめ、眼鏡かけてなくて近くで見たのだけど、かけてから逃げた(爆)。な、何かわかってなかったんだ! そのままわからなかったら、緑の立体的な服だねーで終わったのに! …まあ、題名は上手いと思ったけど。飛翔する魂たち、だったかな…。←上手いと言う割にうろ覚え
 それらとは別に、たまたま、特別展のワークショップ(?)があって、細い丸太を繋ぎ合わせて一室をぐるりと通路で囲い、通路の途中に舞台を拵え、その向かいに客席、というつくりのものが。
 何これ?と、とにかく入ってぐるりと回ってみると、これ、舞台を通る人を客席から見ると演技しているように見える、観客が演者にもなる、という趣向のもの。あらかじめ、指示(「サイレンが鳴ったらしゃがむ」「舞台の端を歩く」など)の書いてある丸太(部屋を囲うのと同じ、細い根棒)を持って行って下さい、というのが入り口に張り紙されていて。
 …ただこれ、張り紙はあったものの、入った左手側が舞台への入り口で、棒があるのは右手側。棒を持って行って、とあるけど棒なんてないよ、あっち?でもあっちじゃ逆走だ、とおろおろしていたのに、舞台への入り口に立つ係員の人は何も言わなかった…いやそれどうよ…? それとも、そこに時分で気付くようにってのも指示? 一切手を加えるなっていうやつなのか。
 何も持たずに入ったので、棒を持ってもう一度。字を見ず適当に手に取ったら、「ヨ〜コを説得する」「もういいからって」とあって、笑う。
 舞台型というか巻き込み型というか、こういうの、大好き。

 てほてほと兼六園へ。
 そぞろ歩いて、外のみやげ物売り場もひやかして、ご飯の予約が六時、まだ時間あるなーでも疲れたなーと、お茶をすることに。
 このとき、本屋に寄ったのだけど、併設の文具店が閉店で三割引セールをしていました。思わず、シャーペンとルーズリーフを購入(苦笑)。
 そう言えば本屋でみかけたのだけど、出版社は忘れたけど森鴎外の『舞姫』と『安寿と厨子王』の表紙がCLAMPだった。いつの間に。
 この、「名作に漫画家の絵を組み合わせよう」作戦、集英社の『人間失格』からですが、近代文学が大好きなヨーコは、反対、だそうです。漫画の絵で描かれるとイメージが固定されてしまう、と。夏目漱石に耽溺(?)している彼女は、だから、集英社文庫の『こころ』には猛反発しているとか(苦笑)。

 人気のそこそこ良い値の居酒屋(?)でご飯。…が、ここで問題が。
 当初からわかっていた問題としては、鮮魚どころの金沢にやってきたというのに、私もヨーコも生魚駄目っていうね…(爆)。エリーに、お前ら何しに来るんや!とまで言われてたよー(笑)。
 そして、ある意味こちらの方が大問題なのが。私はともかく、他二人、未だ昼ごはんでお腹が膨らんでいるという…いや私も、お腹すいたー!ってほどではなかったけど。
 だってあれですよ。平均予算4000円、のお店で、一人当たりその半分、しかも、予約までして行ったってのに一時間足らずで店を後にしたという。
 おいしかったんですけどね! 鴨の冶部煮なんて気に入って、翌日、売っているのを見てついつい買い込んだくらいです。…いや、あの店で食べたほどおいしいとは思わないけどさ…多分、あのお店のは中でもおいしいのだろうしなあ。
 あ、問題もう一個あった。折角の突き出しがたこわさで、わさびの駄目なヨーコと生き物系の生は駄目な私はまったく食べられなかったという。勿体無いことを…(没)。仕方ないから、しきりにエリーに勧めたのだけど、三人分も食べられるか!と怒られました(苦笑)。

 その後、お茶をしていたとき(だったっけ?)に唐突に思い立った、バー行き決行。三人とも、初です。
 今回JRのぐるりんパスを利用していて、そうすると観光ガイドブック(割引などの得点つき)をもらえて、その中にバーの案内もあって。
 入り口前に白い猫がいて(多分偶然)、かわいーと言いつつ、ちょっと躊躇している三人組。切り込み隊長(またの名を今回のツアコン)のエリーが動いてくれました(拍手)。
 入ると、お客は一人だけで、他には誰もいず。おずおずとお店に入って、メニューを貰うも、さっぱりわからない(苦笑)。
 どんな感じのものがいいですかーと水を向けてもらえて、すっきりと甘いのは、などと選択肢を貰い。
 エリーが甘い系のフルーツで、ヨーコが甘い系の青色(何故)で、私がすっきり系で…何だっけ(え)。名前も言ってもらったけど、忘れたな…(爆)。とりあえず、エリーはオレンジベースで私はグレープフルーツだった。
 突き出しで、大根のマリネと…何だったかな、白身の魚にナッツ系を砕いた衣をつけてみじん切りのたまねぎとトマトのソースをかけたやつ(私が説明すると身も蓋もない)。おいしかったー。つまみに柿の種。
 で、二杯目に甘い系でフルーツ、というと、黒板にも書かれていたフルーツマティーニを薦められて、桃と巨峰と…あと何だったか二種類、合計四種類の中から選んで桃に。
 これ、桃を一個丸ごとすりつぶして、身は最終的に濾して捨てるんですよ。おっいしかったー! もっとどろりと甘いかと思ったけど意外にすっきりしていて。
 ヨーコが二杯目にたのんだモスコミュールもおいしかった。居酒屋で飲んだことあるけど、芳香剤っぽくていまいちだったのだけど、これは断然、おいしかった。銅のマグで出てきてました。
 そして、フィッシュ&チップスが。…いや、ただ、ジャガイモと白身魚のフライなのですけどね。塩と好みで酢をかける。これが、食べたかったんだ。
 イギリスの一般食、というとあれかな。えっとまあ、ファーストフードです。日本で言うおにぎりというか…あれ、私ヨーコに説明したとき何って言ったっけ…?
 これが、イギリスの小説やら映像やら見てるとよく出てきて。あっちいったらこれくらいしか食べるものないよ(…イギリス料理はまずい、が定説…)、なんて皮肉気味(?)に言われたりもします。
 なもので、ご飯食べたばかりなのにたのむという。他二人は、当然、要らないと言う(苦笑)。

 このとき、入ったときにたった一人いたお客さん、常連さんだったようなのだけど、いろいろと話をしてくれたりしました。
 初心者で舞い上がる(一応)若い女三人に、苦笑気味に。四十代くらい、ですかねー。証明くらいからよくわからないけど。楽しい人でした。バーテンさんとその人の話を聞いていても、ちょっと楽しかった。
 そして、ビールを一本奢ってもらい。「…あちらの渋い男性から」と、バーテンさんが笑いながら(誰もいないし普通の声で言ったから当然、ビール出したげて、というのは私たちにも聞こえていた)言ってくれたり(笑)。
 まあ正直…ビールには参りましたが(苦笑)。飲めるけど、嫌いなんだー。
 でも何より、
「ビールはじめてや」
「そんなのでどうやって二十数年生きてこられたん?!」
 …という、ヨーコとエリーの会話に笑う。おっ、お前ら何言ってんの…!(笑) 私も驚いたけど、即座にそのツッコミって。
 一口飲んだヨーコは案の定飲めず、飲み足りなかった私が頂きました。←
 もう一杯くらい飲みたかったなーとは思うけど、ビールもあったし、下手をしたら吐いていただろうからあれでよかったのでしょう。
 しかし、その一緒になったお客さんに、缶のカクテルであんなものと思ったら駄目やでー、こういうところでのものが本物やからな、と言われましたが、…うーん、缶のカクテルとか居酒屋とかで、ちょっと飲む気失せるかも。まあ私は、カクテルたのむより果実酒や中国酒をたのむ方が多いのだけど。

 エリー宅に帰宅して、眠くて、話しながら黙りつつエリーにぶつかるとかちょっかいを出す私。眠かったんだ(爆)。
 でも二人は話したがっていて、寝ようとすると怒られる、でも眠い、と何度かやり取りがあって、じゃあエリーの部屋で話そうか、とヨーコに水を向けたら。寝る、とヨーコまで言い出して、裏切られて一人、エリーは自室に戻ったのでした…(悲劇風)。

 翌朝、二日連続で仕事があるときと変わらず一人五時だか六時だかに眼を覚ましたヨーコをよそに、私はひたすら寝続け(爆)。
 この日もまたゆるゆると起きてゆるゆると出かけて。

 金沢の三文豪に材を取った周遊バスの乗り放題券を購入して、向かうは泉鏡花文学館。
 ここ、泉鏡花の小路だったか、泉鏡花作品のイメージを模して作った通り抜けのできる展示がこわかった…(涙)。こわいと言うか、気持ち悪いと言うか、不気味と言うか(段々酷くなっていく)。通り抜けたことを後悔しました(大袈裟)。
 以前ここの特別展で、波津彬子展があったとかで、そのときのポスターのイラストを使ったポストカードを購入。
 
 ここの隣に、個人で半ば趣味?でお店をされているところがあるのですが、そこが、樹脂と木材で小物を作っていて。
 樹脂の中に、タンポポの綿毛が閉じ込められてる…!ってのにまず眼を引かれ(樹脂、ってのはお店の中で説明を聞いて知った)、あすなろの葉で作った竜に惹かれ、絵葉書を購入。
 迷った末にタンポポは購入しなかったのだけど…結局、後で引き返してもらうことに(爆)。迷ったなら購入しておけば良いのにねえ…いやはや、優柔不断です(没)。

 東茶屋街に行って、ここの自由軒でお昼。
 ここもオムライスが有名で、出かける前にお昼の候補はここかお蕎麦屋さん、ということだったのだけど、昨日オムライスだしねーと否定していた二人が。
 まずヨーコがお店の外観に惹かれ(大正を感じさせる外装)。
 丁度昼時だしここでいいんじゃない?と誘うと、そやねーと、はじめ、ハヤシライスにしようかなーと言っていたエリーが、メニューを見て気を変え。
 結局、この日もオムライス(笑)。醤油ベースということでちょっと変わっていて、添えられていた福神漬けがよくあいました。紅生姜もあっていたのかもしれないけど、そちらは苦手で隔離。
 家族経営? 息子たち? 兄弟? という店員さんたち。お母さん…! という感じのおばちゃんが元気に仕切り、叱り飛ばし、どう見ても高校生以下?という男の子たちが微妙に手際悪く食器を片付け。「渡る世間…!」「渡る世間や…!」と、三人で密かに囁いていました(爆)。
 そして私は、席が空くのを待っている間、ついつい、据え付けのラックからサンデーを出して読んでました…(おい)。
 その後は見物と買い物と。
 
 そして、これもぐるりんパスの特典で、判子を作るぞー!と移動した、ものの、兼六園の入り口まで行ってどこだ?ということになって切り込み番長が案内所(兼六園の)で訊くと、窓口のおばちゃんに
「上って来ちゃったの? ざんねんー」
 て。おばちゃんの言い方が楽しかった…! とりあえず、坂の下を曲がったところが目的地だったようでした。
 観光物産館だったか、そこで、砂彫りという謎の判子作りに挑戦。
 砂彫って?と首を傾げていたのだけど、細かい砂を吹き出して掘るという、でもその砂が手に当たっても痛くはないという、不思議なものでした。
 彫りたい文字を係りの人に言って、字自体はパソコンで打ち出すものなので、かなり簡単。
 ここで私は、「来条」版を作り。…えーと、二人には「何?」と訊かれ「訊くな」と返し。そして家族にも披露できない(爆)。うーん、また、阿呆な物を作ってしまった…(苦笑)。
 一階がみやげ物売り場になっているので、そこで色々見繕い。おみやげ物買うの楽しい(笑)。

 あとは、駅に戻って百番街というおみやげ物に丁度良いものが一同に会した売り場を彷徨って着々とほしかったもの(主にお菓子)を買って。
 お茶をして。
 私が買い忘れをしてもう一度百番街に戻ってもらって。←私今回やたらと戻らせた
 駅弁買おうとしたら時間が時間(夕方)で好みのものがなく、駅で買うかーと言って、そして…トイレに行ったヨーコ、迷子になる…!
 エリーが今日取り終わったカメラを現像に出していて、帰る前に見られるよ、というので取りに行ったときに、行って来るねーと離れたヨーコ。
 エリーが戻ってきてもなかなか帰って来ず、
「…まだやなあ」
「…大分経つよな」
「…並んでるんかな」
「…かなー」
「…迷子になってないやろなー」
「…まさかー。もう大人やで。携帯電話持ってるし、連絡してくるやろー」
「…十分くらいは経ってるな」
「…かけてみるか」
「…うん、かけるだけかけてみようか」
 とぅるるるー
「あ、もしもしー?」
『あたし今どこ?』
「迷子かー!!」
 …いやもうねえ、吃驚(苦笑)。いくらほぼ初めての場所だからって…そして驚愕の事実が、彼女が目印にしたのは店員さん…(笑)。そうかー迷子になりやすい人ってそうやって迷うんだーと、いつだったか見たそんなテレビの内容を思い出しました(苦笑)。

 で、ばたばたとエリーと別れてホームに出たら、何故か、そのホームではお弁当を売ってなかった…売店はあったのに。そして向かいのホームの売店には置いてありそうだったけどそこまで行く時間が怪しかった(爆)。
 夕食が確保できず、不機嫌になる私(爆)。
 でもまあそんなこと恨んでも仕方ないし(そもそも時間ぎりぎり云々はあちこち戻らせた私にどうこう言う権利はない)、遅くなるけど新大阪で食べようか、ラーメン屋あったねー、あったかいラーメンいいなー、などと落ちつき。
 しかしそこで落とし穴。帰るまでが遠足です。
 …まさかの人身事故。
 一本前のサンダーバードが人影に気付いてブレーキを踏んだものの間に合わず、ということで、現場検証やら何やらで一時間の足止め。まあ、足止めはくらったけど、電車乗換えとかにならなくて良かった。
 とりあえずそれで、新大阪での夕飯の夢(?)は費えました。十時前の駅構内なんてさすがに店閉まってるよ。人に寄っては、新幹線の乗換えが危うかったりしたくらいだし。幸い、広島方面は余裕あったけど。今回は新幹線だけど、新快速でも帰れたしなー。
 そしてそのオチをエリーに報告した前後に、夕飯がオムライスだったと知る(笑)。意地になって「(オムライスが)五食続いてもいいね!」なんて言うからだ(笑)。

 いやはや、楽しかったです。天気にも恵まれたし。最終日は特に、日が翳って涼し目の気候だったし。
 それにしても、通りすがりの人たちが優しかったです。
 お目当ての店に行くべく歩いていて、「あのあたりかなー○○」と言っていたら、すれ違ったおばあさんが「改装中で店閉まってる」と呼び止めてくれて、すぐ近くのデパート(?)にも入っていると教えてくれたり。
 見学できるところを通り過ぎかけて呼び止めてもらえたり。
 百番街(店ごとにブースが別れている)で「あとは○○ー、どこやー」と言っていたらすぐ横にいた別のお店の人が教えてくれたり。
 あれですね、金沢では大声で目的言ってたら誰か助けてくれるんですね!(え)
 
 …とまあ、長々と。
 他にも、近江町市場に行ったけど市場だけあって日祝休みですぐに引き返したとか、見かけた古本屋にふらふらと入り込んで二人を待たせたりとか、色々やってました。
 メモ一つ取らなかったので、全て記憶頼り。地図を見たらもっと色々と思い出すかもだけど…(でも歩いているときはエリーが案内してくれるものだから全然開かなかった)。
 さて、ここまで読んでる人っているのか(苦笑)。

 更新の「浅葱色」は、大分前に書いていててっきり載せていると思い込んでいた一本と、載せ忘れていた一本と、この間の金曜夜(既に土曜)に、思い立って友人に送りつけた(迷惑すぎる)一本。
 名前や固有名詞を出さないことに密かに必死になっています(爆)。

2008 年 9 月 17 日 ぐーぐー

 昼休み、一時間取れるはずが色々食い込んで実質四十五分から四十分ってとこですが、この頃、本読みながらパン一個→残り時間寝る、ってのが一番仕事に支障をきたさずそこそこの満足感と知りました。
 …てか、パン一個でもお腹減らないもんだなー。いや減るけど(多分同年代の同性の中では食べる方)。事務仕事だし常に何かしらしてるから無視できる。
 ついでに、昼休みにご飯食べたら寝る、と言ったら父に、ドカタは大体それやと言われました…いや職種違うよそれ。

 『100KB(キロババア)を追いかけろ』…高速で走る白い人影が事件を誘発? その解明に乗り出す幼馴染三人。
 青春、もの…? あまり改善してないけど未来は明るい気がする、という前向きの余韻は、この頃ではあちがち…? いやまあだからって否定するものではないけどさ。んー、好みの問題。
 もっと都市伝説が取り上げられるのかなーと思ったらそうでもなかったです。踏み込みが甘いと言うか…各登場人物や事柄についての。
 でもまあ、それなりに面白かったのは面白かったです。だけどとても個人的な感覚で、「ばーさん」はそうは思わないけど「ババア」呼びって好きじゃない…(都市伝説にまでけちをつけるな)。

 物凄く余談ですが、昨日更新の「浅葱色」。
 てっきり更新してないのは二本だと思ってたらもう一本あった罠(違)。いつ書いたのかすらわからないんだ。多分、夏だったと思うから…去年?

2008 年 9 月 19 日  うごぁ

 …なんだって、気付くと時間経ってんだよー。仕事片付かないじゃんよ。家帰ったら眠ってるし…。

 『サークル』…ある精神医療の話と事件。
 んー…精神医療に関しては、別段、突っ込んでは書いてないです。そういう意味では読みやすい。ただちょっと、視点の切り変わりがわかりにくい、かも。ん? 視点じゃなくて時間経過か?
 あまりどきどきはらはら、ではないけど、え? え? ええ? 何? っていうわけのわからなさには放り込まれます。半分くらい読むと大体わかるけど。
 まあ、悪くない読後感ではあります。

 『グリーン・ティーは裏切らない』…銃の暴発は故意か事故か。
 お茶屋さんを営む女主人が主人公の二作目。
 これ、視点のブレと場面転換が多いのがちょっと気にはなるのだけど、登場人物たちのやり取りと雰囲気が大好き。たくさん出てくるお茶やお菓子(?)の話も好き。

 来月鳥取に行くのですが、まだその宿が決まってない。ってか、二泊? 本当に二泊で良いの? そこまで見るものあるの?←失礼
 いい加減予約取らないとなーってか電車の予約も。
 で…鳥取で何観光するのさ…?(そこからか)

2008 年 9 月 20 日 うーんうーんうーん

 ホテル…でもその前にどこ行くか決めないとだよな…ああぐだぐだです。うだうだしてます。ぬー。

 明日は友人と図書館で本(主に漫画)交換ーと思っていたら、雨とか。自転車で行くからそうなったら中止だ。
 あーもー何かなあ。
 うだうだごろごろしています。本読むのも何か違うし、書きたいけど姉が帰ってきているからちょっとあれだし。…PCで何か書いてればいいのか。
 そういうことにしておきます。

2008 年 9 月 22 日 うわあぁあん

 …夜型は厭なのにー。今日こそ早く寝ようと思ったのにー。
 
 『百物語 浪人左門あやかし指南』…百物語の会で起きたこと。
 剣術の腕は立つのに怖がりの武士。敢えて主人公と呼ぶならこの人だと思うのだけど、この人が、笑ってしまうくらいに怖がりなのだけど臆病でないところが良いなあ、と思います。
 二作目ですが、これはこれで単独。構成は、前回と同様に怪談がふんだんに語られています。百物語を語る会、が主な舞台(?)ですしね。
 怪談の裏に潜んだ事実(犯罪)が、というのは、『巷説百物語』のシリーズを思い出したなあ、そう言えば。でも…うーん、別物。これはこれで好きだし、あれはあれで好き。
 からくりが解説されて、そしてシリーズはまだまだ続きそうで。…あれ、しかし甚十郎の見た鏡の錆と絵の変化の説明ってあったっけ…?

 もう一月を切ってしまっている鳥取旅行。ようやく、計画に取り組み始めましたー。遅い。
 とりあえず一日分の宿を予約して、観光目星もほろほろつけて。いやまあ、砂丘を見られて梨を持ち帰れたら(私の中で)今回の目的は達成なのですがね!(え)
 もう一泊宿を取るかどうか、観光地を鳥取駅付近以外にも広げるか、というのはもう明日以降ー。というかそもそも、今日メールのやり取りを始めたのも遅かったし。
 しかしあれだ。旅行の観光地探してると、地図! 見やすい地図をくれ! と叫びたくなりますね(苦笑)。路線図も。縮尺の載ってない地図なんて論外なのに、今回、それが一番頼った地図だった…!

 そう言えば今日の夕飯はお好み焼きだったのですが、何故かところどころ黴臭く、一体何が原因だ、と首を傾げました。
 鉄板か?ということで落ちつき、洗って焼いていきましたが。
 黴臭いと言いつつ、完食。…あれ、これ、これが原因でお腹壊したりしたら物凄く阿呆っぽくないか?

2008 年 9 月 23 日  ぬぼー。

 …何か、家でゴロゴロごろごろして過ごしてしまった…(いつものこと)。

 『砂漠』…大学生活の話。
 一人語りなのだけど、距離感のある視点に落ち着くー。肩透かし食わせる文末(章末?)も楽しいです。うん、楽しい。
 正直、伊坂さんは苦手意識がある(読めるのだけど読むまでに気合がいる)のだけど、そしてこれも読むまでに気合が要ったのだけど、馬鹿な、というか一般的な(大学生なんて総じて馬鹿じゃない?)大学生活、という感じで。
 超能力も込みで、ありそうだよね!という(苦笑)。
 しかしこれ、超能力バトル!というような話を想像していたのですが、あらすじ読んだとき。…全然(笑)。

 『大正野球娘。』…女学生たちが野球をする話。
 前巻を読んだので、読まなきゃね、と。
 う、うーん…あらあらお嬢さんたち頑張ったねー、としか言えないというか言いようがないというか…。あ、援護軍は楽しかったですが(苦笑)。
 多分全二巻なのだけど、もうちょっと続くのかと思ってた。登場人物の造詣(掘り下げ?)がどうにも中途半端で、なんだかなー。巻数重ねて掘り下げてくのかと思ってたのだけど。

 昨夜、家の中でヤモリを見つけました。ちっこいやつ。
 かわいかったー。
 いや私、爬虫類得意ではないのですがね?(でも節足動物とか…虫類に比べたら断然まし。多分青大将くらいなら対処できる)
 ヤモリはあれだ。多分、家守、って名前で好印象が植えつけられてるから。目がつぶらで可愛かった。
 しかしヤモリは、外に出そうと追いかけて、潰してしまいそうで冷や冷やする(汗)。奴ら、咬むって言うしねー。あれでも肉食だ。
 あ、そう言えば鳴き声聞いた。多分あれそうだったと…。なついてくれたら可愛いのになーと思ったけど、爬虫類どころか哺乳類にも逃げられるので無理だな、と放棄。籠に入れて飼うとか厭だし。

 来期のドラマ(?)、朝の連ドラの「だんだん」が気になるのですが…朝の時間はもう出社してるし昼は時間帯ずれてるから見られないし…果たして、録画してまで見るほどのものだろうか(酷)。
 ぬるい展開だろうなーとは思うのだけど、朝の連ドラは、それはそれで一つの魅力だと思います(苦笑)。
 てか、来期のドラマって何があるんだろ? 今のところ、「相棒」再開と「チームバチスタの栄光」くらいしか知らないなあ…。あ、桃井さんが出演するのもあったか。題名も内容も忘れたけど(爆)。

2008 年 9 月 24 日  ううむ

 この頃もう、昼休みに十五分前後の仮眠を取るのが定着してしまいました。というか、そこで寝なかったら、仕事中、眠りかねない(爆)。
 …早く寝ろって話なのですけどねー…。
 あーあ、人間、眠らずにいられたらどれだけ活動できるか。

 携帯電話用に配信している「猫屋」のメールマガジン。
 これ、一回の配信を百字前後にしているため、文章を分ける必要があるのですよね。それと、誤字脱字の確認や微妙に設定(?)を訂正しているところもあるから、必然、読み返すことになるわけです。
 こんなの書いたなーとか。うっわもうちょっとこう、さあ?とか。あれこれちょっとよくない?とか。色々、思うところがあります。
 しかしまああれです。よくあれだけ、ありがちネタを書けたものだ。その割りにネタ勝負だった、ってのは、言葉足らずなところを見ればよく判ります(苦笑)。
 でもまー基本、…成長してないのなー…(没)。

2008 年 9 月 25 日  おやおや

 …えーと。会社に、「嫌い」にまで昇格(?)している人がいます。←「苦手」な人は多いけど「嫌い」な人は少ない
 で、この人、多分地位(?)あるのだけど、もしくはあるから、そのあたりをふらふらしています。客やら電話やらが来る度、居そうな場所を当たって放送かけて。放送ったって、聞こえない場所多いし。
 PHSでも持たせられんのか、と、本気で思う。GPS搭載の何かとか発信機でも良いよ…。(まあこのあたりは会社の問題、かな)
 やー、で、今日も今日とて居場所が判らず、しかも一度そのために走って見つけ出したすぐ後。放送かけて、人来るのは知ってるからそのうち戻ってくるだろうと放置して(おい)。
 のこのこと戻って来た(放送が聞こえる場所にはいなかったらしい)呑気な顔を見て思わず零れた悪態が。
「この信楽焼きがっ」
 …いや。いや、いやいやいや。
 信楽焼き→酒徳利を持った狸の焼き物で有名(?)→狸→狸親父 …って連想だってのは、自分でやっただけにわかるのですが(といってわざわざ考えたわけじゃなくてするりと零れたのを逆にたどってみたら、の結論だけど)。
 誰が聞くわけでもない悪態で、そんな回りくどいことしなくってもさー、と、ちょっと苦笑してしまった。何やってんだ私。
 まーあれですね。よほどの小心者か捻くれ者、ってことでしょう。後者のがまだいいなあ。
 でもそんな言い方したら、狸に悪いのですけどねー。別に狸に恨みはないんだ。むしろ、ほのぼのとした話(昔話や民話)が多くて好きなのだけど。

 『翡翠の封印』…政略結婚と過去の因縁(?)。
 異世界の王政の国が舞台。同盟のために嫁いだ王女と、若くして国を治める少年王と。変則ではあるけど、割りと王道…かなあ?
 私としては、過去の因縁(?)は、なくてもよかったなー。いやでもそれがないと話が進まなかっただろうけど。世間知らずの初恋の話、でも良かったのじゃないかと(苦笑)。
 ちょっと、挿絵と私の持つイメージが離れてたなあ。珍しい。←絵がついていたら大体それでイメージするのに

 ようやく、鳥取での宿が確定しましたー。あとは切符さえ手配したら、観光予定地や宿の地図を印刷するくらいー。
 やれやれです。
 さて、次は仙台の予定を立てないとだな!←

2008 年 9 月 26 日 ふふふふふふ

 「台風の目」のメールマガジン…とうとう何も書けず、お知らせのみで配信しましたー(悔)。
 半年未発行だと休刊になってしまうのです。なったところで、メール一本で解除してもらえるのだけど…やはりねえ。

 ところで今日は、久々に事務所が全員出勤の日…だったはずなのに、課長が家の事情で昼過ぎからの出勤となり、一人が体調を崩して昼過ぎに早退。…結局、最大で三人しか揃わなかったなー今日。
 しかし、そろそろカーディガン要るかな?とロッカーに措きっ放しにしていたものを持ち出したのですが…結果。一人、半袖。
 いやだって…今朝雨が降っていて、会社に着いてしばらくしたら止んだのだけど、合羽着て出勤したのですよ。蒸れて暑かったから、カーディガン着るしねーと半袖選んだら。着ようと思うほど涼しくならなかった(日中)。昨日おまわりさん?が交通整理しててさー。傘差して行って咎められたら困る(交通違反なので最悪罰則がつく)から、合羽。…そしたら今日は誰もいなかったし。
 いつも思うけど私、一人、あの事務所で元気じゃないか?(他二人は既にカーディガン装着)

 いい加減、「深紅に浮かぶ月」を載せよう、と思うのだけど、ルビ打ちが面倒で…。
 少しずつでも、と思うけど、今は読むのと書くのとが…読むのを止めるには図書館の本が積まれてない状況を探さないとなのだけど、そうなったとしても未読の手持ちが山ほどあるという(爆)。
 …まあこんなこと書いてるうちにやれよって話ではあるのだけども。

2008 年 9 月 27 日 ふらふら

 帰りに、アイス食べたいなーと買い物に行ってついでに母に用事がないか訊いて、売り場をうろついていたら、シフォンケーキ半額を見てつい購入。
 少し前から、シフォンケーキ大好きです。ふかふか。
 紅茶かコーヒーでも入れながら、と思ったのだけど、面倒でさぼってしまった。さ、寒い…!(笑)

 親知らずがー。
 何か、親知らずの側面の歯茎(*横向きに生えている)が、今日腫れてた…。
 おかげで、物を食べる以前に口閉じて歯を噛み合わせてる(?)状態で既に痛いのですが! でも無視してご飯食べたら何かましになった!(膿でも出したんだろうか)
 でもやっぱ痛いのですがー。
 歯医者行くべき?と思いつつ、どうせ明日は開いてるとこないだろうし一日様子見て、明後日考えよう、と棚上げ。…できれば行きたくないなあ…だって何か問題あったらあれだ。歯茎切って抜歯だぜ…?(がくがく)

 明日は友人とカラオケ行ってきます。えーと歌えそうでまだ歌ったことない歌って何があったっけ?(何だその選考基準)
 しかし私は良いのだけど、その友人、今忙しくって大変らしく…大丈夫なのか、ちょっと心配。まあスポーツするってわけじゃないからそう疲れないだろうけど…ああっ、今日、殺陣教室のサイト見て。うわーやりたいな!と思いました。心底。東京か…縁がないな。
 武道は、姿勢良くなるだろうなー体力つくよなーってのでやりたいのだけど、人見知りと土地柄(近所にない)とで未だ叶っていません。うう…幼年時、父に唆されて習っとけば良かった(父は空手をやっていた)。小さい頃のが人見知り少なかったし送り迎え位してもらえたものなあ、多分。時間はたくさんあったし。
 空手と、棒術か杖術あたりがやりたい…。

 ところで昨夜、書いていた話の…三章を書き終え。四章は一番最初に書いていたから、一〜三章と矛盾がないかだけさらって、五章に。と、ここで。
 そう言えばこの話、五章の一場面から思いついた話だった…。
 それなのに、出て来る人物の関係が判りにくいなーと四章を書いたら、結局一章から書かないとという気分になって今に至ってたのだった。…長い道のりでした…(笑)。
 そんな三章は、先月先々月に続いて月末にここに載せるつもりでいるのですが…前二章に増してぐだぐだです。どないだそれは。

2008 年 9 月 28 日 むむむむ。

 遊んできましたー。まあ遊んだって言っても、カラオケ行って本屋行ったくらいなのですが。

 帰る時間に図書館が開いてるかどうか判らなくて先に寄ったのに、余裕で間に合ったという。本五冊抱えたのは何だったんだ。
 カラオケ…いやあまり人のこと言えないのですが、履歴見たら…知らなくってもこれアニメの曲?というようなあからさまな題名が残っていて…誰か好きな人いたんだなー、と、話題(って二人しかいなかったけど)になりました(笑)。
 うーんでも、興味持つきっかけが見ているドラマだったりアニメだったりが多いから、アニソンが多くなるなー。見てないけど実はアニソンだった、ってのもあるから、もはやそこに垣根は存在しない気もしますが(苦笑)。あっ、でも、越前リョーマ(ある漫画の主人公)の歌が丸一行分くらいあったのを友人が発見して吃驚した。

 本屋で、見ながらあーだこーだと。
 『<本の姫>は謳う』の最終巻出てた! 図書館の本抱えすぎだから読めるのはもう少し先だけど!
 しかし、私は割と新刊を気にしているので本屋をふらついても見るだけが多いのだけど(購入はポイントが溜まるので大体行きつけのところで)、一緒に行った友人、忙しくて新刊出たんだか出てないんだか、という状況らしく。「あった!」と言うから探してた本かと思ったら、「新刊出てたのか!」と。…あった、って言われたら探してたかと思うじゃないかよー…。
 えーと印象深かったのが…アニメイト行ったときに、『黒執事』のCMを延々流しているテレビ(というかコーナー)が設置されていて、それを熱心に観ていたお嬢さんお二人が「これかー」「でも声がなー。イメージ違う」と言っていた…何故か印象深かったんだそれが…(苦笑)。

 雨を警戒しつつ帰路に着いたのだけど、小降りですぐに止んで、助かったー。本屋と古本屋に寄るつもりでいたものだから。
 で、古本屋を出たところで会社の人に遭遇して。中で本見てるときに出会わなくてよかったー(いや別に怪しい本なんぞ読んでない…はず、ですが。でも立ち読みしてるときに知人に会うと恥ずかしい)。
 そう言えば、その知人に出会ったところではない古本屋で、本を見ていたら店内で流れている音楽に重なって雨音が聞こえてちょっと驚いた。聞こえるものなんだなー、と。トタン屋根に当たるような音だったけど、そうなのか、あの天井?

 明日明後日と月末処理が待ってます。
 でもまあ、四連勤にしてるから、そう残業にもならないだろうなー。今月は今までで一番じゃないかってくらい残業ついてて驚いたけど。←勤務時間の計算未だに半ば手動なのだよそしてそれも仕事なのだよ

 ところで今日、友人と喋ったなーという気分になったけど何故だ、と考えたら、やはりあれですね。「友人」に対するのと「知人」やら「同僚」に対するのとは違う。人見知りなもので、余計に。
 うーん、私、会社に「友人」はいないものなー。別に友達つくりに行ってるわけじゃない(し、会話がないわけでもない)からいいのだけど、この先新しい友人ってできないのかなーという、一抹の不安が(苦笑)。

2008 年 9 月 29 日 ふああぁ

 眠かったです…一時間は早く寝たのに?
 ノンレムとレムとかの、そういった時間の関係ですかね…早く寝るなら一時間半早く寝ろ、と…そういう話?

 『不連続の世界』…ミステリ仕立てで実はどっちつかずの短編集。
 うーん、恩田さん、はっきり言って短編は下手だと思うのだけど連作じみてる短編(主人公が定まっている、というか)は結構好きなのですよね。これはあれだ、『象と耳鳴り』と同じ感じで。
 引っかかった「不思議」や「謎」に、納得できる「答え」(だから必ずしも「正解」とは限らない)を見つけ出す、というのが共通している…か? そういったものを、会話を中心にやっていくのだけど、実は会話だけで話が進んでいるわけではないのですよね。そこがちょっと不思議。印象に残るのは会話で。…うん、映像化したい、舞台にしたい、とうっかり思ってしまうような小説が多いかも。まあ実際にやるとなったらいじってしまうから印象に残る台詞になるかどうか判らないのだけど。
 それにしても、尾道だとか鳥取だとか、そのまま書かれるとそうでもないのに「O市」とか「T県」だとかって書かれると、なんだか違う場所のように思えるから不思議。というか、面白い。
 しかしつくづくと、恩田さんの小説は小説だからこそ、と思います。数年前から小説の漫画化が増えているけど、合わないだろうな、と思う。映像も…微妙なとこだけど。他でやるとしたら、舞台かラジオドラマ、かなあ。

 下の段落(?)、愚痴です。

 今日会社で、ある営業の人に言いすぎて(というか言い方やら態度やら悪くて)怒らせたようです。いやまー怒るかな、あれは。
 でも、謝る気にもなれず放棄。ちょっと待て社会人、と思わないではないけど、まーいいや。
 そもそもあまりそりの合わない人(私とは。基本的には良い人だと思う)だったのだけど、まあ仕事で関わるし和やかに話せれば良いね、程度の。でもって、和やかに話したところで仕事に齟齬が出てきていたからもうどうでもいいや、という気分にもなったのですよ…いや本当大人気ない。眠かったし(え)。
 でまあ、私は怒らせた側だから思うところは特にないのだけど、向こうは明らかに私を避けてくれて。用件は、近く通ってったなーと思って気付けば机にメモが。…子どものケンカ?
 ああ面倒だ。人当たりの良い人になりたいなー(無理だ)。

 ところで今日、朝の掃除中に屈んで椅子を拭いていたら、ぽとりと何かが落ちて一度椅子に当たってそのまま床に。
 視力が良くないのに基本的には裸眼で過ごしているものだから、黒っぽい塊が落ちたな何だ、と覗き込むと、埃の塊かと思いきや…動いた。
 どうにも、やもりに見えました。
 が、戸の陰に隠れたその戸を引いてみても見当たらず、不思議に思って丁度その場にいた先輩に話してみたら、
「幻覚見たとか」
「え、朝からそれはないですよー」
「いや逆に、朝やからこそとか」
「いやいや寝てませんって」
 という話に。しかしあのヤモリ、どこ行ったんだ…?

 急に冷え込みましたね。つか、雨。雨には参った…。
 ところで急すぎて、布団がまだ夏蒲団なのですよー。仕方ないから、昨夜なんてカーディガンまで布団代わりにかけて寝たよ。そして風邪っぽい。
 事務所、女子みんな風邪気味でしたよ今日。他二人は、何日か前からだったけど…やはり季節の変わり目は、体調崩しやすいなあ。

2008 年 9 月 30 日 うとうと

 何か…テレビ見ながら、気付いたら寝てた。母も一緒に(苦笑)。

 『不戦勝』…ボールを七つ集めたら願い事が叶う?話。
 不審メールに書かれていた、集めたら願い事の叶うボール。よくわからないままに手元に集まってくる、ボールたち。
 もうこれが、ものすっごく馬鹿馬鹿しくって。無駄って言うか、意味がないというか。それが楽しい(笑)。おまけに、すんなり終わるかと思いきや…え、えええぇえ?という。最後の最後の一行に、思わず唸った(笑)。
 いやもう、面白かったです。読んでそのままさっさと忘れてもいい気楽さとか(苦笑)。

 歯の問題。
 歯茎の腫れは大体治まったのだけど…これ、問題は横倒しのやつじゃなくて真っ直ぐに生えてる親知らずじゃなかろうか…。あるいは、真っ直ぐと横倒しの組み合わせが悪いのか。もしくは、虫歯。
 うーんー、やっぱ歯医者行って来なきゃ駄目かなー。行きたくないなあ。予約入れる時点でものっそい緊張するんだ…! 逃げ出したくなります、本当。←小学生のときとは言え実際逃げ出した前科がある。しかも姉と揃って。

 あ。ふと見かけたので、「うちの子自由にお描きください同盟」に参加(?)してみました。参加ってーか主張?
 基本イラストサイトさん、のようだけれど、まあ。言ってみるだけならただだしね!(それもどうよ)
 まあその気になった方がいらっしゃいましたら、お好きにどうぞ、ということで。報告頂けたら喜んで見に行きますが、まあどこかででもひっそり描いてもらえるだけでも嬉しいなーと。主張してみました。

 えーと下記、予告(?)通りに…趣味の産物。←いや全部だろそれ
 そのうち、注意書きをくどくどと書いて専用頁設定しようかなー。うんそれはもう、読む気なくすくらいくどくどと!(おい)

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 石動蔵之輔(イスルギゾウノスケ)がそれを知った時期は、遅い部類に入るだろう。
 昼の半ばに、明け方に眠りについた蔵之輔が空腹らしきものを覚え、そろそろ起きようか、とごろごろしているときに、その電話は鳴った。
「蔵之輔君? 雅さんが亡くなられたの。例の発火で――」
 唯一、生者の中で親愛の情を持っていた祖母が死んだと知らされた。
 嫌いな名前を呼ばれたことも、「例の」というのが何を指すのかわからないことも、全て考えられずに立ち尽くした蔵之輔は、気付けば、受話器を置いてテレビををつけていた。
 民放のワイドショーで見たことのあるキャスターが、何かがなり立てていた。人体発火とか原因不明とか騒いでいる。が、理解が追いつかない。
 やがて、画面は切り替わった。録画映像のようだ。
 人が歩いている。道路のそれを背景に、先ほどとは違うキャスターが天気予報を口にしていた。それが突然、人込みの中に火柱が上がり、獣めいた悲鳴が響き渡る。カメラは、慌ててそちらに向けられた。
 燃え上がったのは人で、それまで同じように歩いていたはずの人々は、泣き喚きながら、火柱から我先に逃げようとする。そこで突如画面に、水流が登場する。カメラが向くと、先ほどまでのにこやかな笑顔をかなぐり捨て、必死の形相でどこかから持って来たホースで水を浴びせる女性キャスターがいた。
 だが火は消えず、逆に、火柱は増えている。
 今やすっかり黒くなって炎のかけらも見えない、人だったものに泣きながら水をかけていたキャスター。彼女も、突然の炎に包まれてしまった。
 そこからスタジオに戻った映像と出演者たちによって、それが八時過ぎのことと知る。祖母は、正午頃だったらしい。それから二時間ほどが空いたのは、混乱と、電話がつながりにくくなったためだと、施設の人は言っていた。
 意外に、話はちゃんと覚えていた。
 呆然と蔵之輔は、ノストラダムスの予言、何年も遅れたけど成就したのかなと、思ったりもした。
 そして、とうとう一人になったのかと、予定ではせめてあと数年は先だったはずの事態に、泣けばいいのか怒ればいいのかもわからなくなっていた。

「ありあとっしたー」
 聞きなれた声を背に、蔵之輔は、掘っ立て小屋じみた店を後にした。いつものように買い叩かれたが、元手はただだからまあいいかと思う。安値ではあるが、色々とおまけもしてくれるし、蔵之輔の知る限りでは一番高値で引き取ってくれる。
 この頃蔵之輔は、民家や会社に忍び込んでは、そこの電化製品や電池などを持ち出し、時にはばらして売りさばいている。それでとりあえず生きている。趣味が、こんなところで役に立つとは思わなかった。
「…さて、どーするかな」
 売ると言っても金は半分ほどだ。驚いたことに、一応金も未だ有効だが、それよりは現物の方がありがたい。食料も日用品も、余分にあれば別のものとの交換もできる。物々交換が基本というと、原始社会のようだが仕方がない。
 蔵之輔は、手に入れたばかりの新聞を広げる場所を探して視線を彷徨わせた。
 新聞は、さすがに今までのような厚みはない。号外のような薄さは、しかし出るだけましで、祖母から聞いた戦時中のそれを思わせた。
「…どーすっかな」
 帰って読んでもいいが、どうせ、読み終えた新聞は別の何かと交換する。鮮度は当たり前だが高い方がいいのだから、戻る時間が勿体無い上に手間だ。
 まあいいかと、多少目立つのを覚悟して近くの塀に寄りかかった。その中の民家にまだ住人がいるのかどうかは判らないが、問題ではない。
 目をはしらせた紙面には、相変わらず、政府の訓話じみた呼びかけと発火者に遭遇した場合の対処、食料配布や避難所の案内、こんな中でも頑張ろうといった投稿や探し人などしか載っていない。一月ほど前に始まったという、各企業や団体が連盟で行っている発火の究明がいくらか進んでいないかと思ったのだが、におわせることすらしていない。
 思わず、舌打ちが洩れた。祖母がいれば、すかさず注意されているところだ。
「よー、クラ。それ、今日の? 見してくれへん?」
 発火事件以降の知り合いが、蔵之輔の姿を見つけて近付いてくる。へらへらと笑っているが、意外に抜け目はない。あまり好きな相手ではないが、使える奴ではある。聞いたことはないが、同い年くらいだろう。通称は、フクロウ。
「代りに、俺は何がもらえるんや?」
「俺とお前の仲やん?」
「一方的に搾取される仲になった覚えはないけどな」
「ちぇっ、クラもがめつくなったもんや」
 クラという呼び名は中学生のときのクラスメイトが使い始めたものだが、今ではすっかり通称として定着してしまった。石動、という苗字はなじみがないからか呼びにくいらしく、蔵之輔という名は嫌いだから呼ばれたくない。そのあたりを見抜いてつけたあだ名なら感心するところだが、呼び始めた当人は、どこかつかみ所がなくてどうなのかわからない。まぐれ、というのが一番有力だ。
 それでも、そのクラスメイトは嫌いではなかった。友人というほどに近くはなかったが、何故かたまに思い出す。親しくなっていれば、それはそれで面白かったかもしれないと思う。だが彼は何かと中心になりがちな人間で、今頃、蔵之輔のことなど覚えてもいないだろう。
 そんな知人とは違って、以前であれば極力関わりたくはなかっただろう目の前の青年は、大袈裟に悩むふりをしてから、にやりと蔵之輔に笑いかけてきた。
「じゃあ、耳寄り情報を提供したるわ。超能力者がおるらしい」
「はぁ?」
 思い切り、呆れた声が出た。だが青年は、動じることなく笑う。
「そんな、頭おかしいみたいな顔するなって。本当やって。あの遭遇以来」
「ちょっと待て、遭遇って何や?」
「何や、知らんのか? 誰が言いだしたか知らんけど、この事態は隕石やら宇宙人のよくわからん物質やらが引き起こしたんちゃうか、っていう話になっとってな。未知との遭遇、略して遭遇」
 それは映画の題じゃなかったか。思わず突っ込みかけたが、そうすると長々と脱線してしまいそうで飲み込んだ。詳しく話し出すと、それも情報だと言い出しかねない。
 フクロウは、「遭遇」以来櫛も通していないようなぐちゃぐちゃに伸びた髪の下で、目を光らせた。こういったところが、闇夜で獲物を狙うフクロウに似ているのかもしれない。
「遭遇以来、あちこちで聞く話や。異様に鼻が利くようになった奴とか、手で触れんでも物が動かせるとか、夢でこれから起こることがわかるとか。そういう奴ばっかが集まったグループができつつあるって話も聞く」
「ふーん? それが、とっておきの情報?」
「ちょっとしたチャンスやと思わへんか? どいつも、それまでは何もなかったんや。遭遇以降って言ったけど、すぐ後につかえるようになった奴ばっかりちゃう。それなら、俺たちも何かあるかも知れん。それに、もしそうじゃなくても、そいつらができんようなことをやれるなら、対等に仲間になれる。お前の、機械の知識とか」
「阿呆言うな」
 シャツの下から、じとりと得体の知れない汗が滲む。暑さのせいだけではない。だが何に対してそうなっているのかが、蔵之輔には判らなかった。
 フクロウの異様な様子に呑まれたのか、得体の知れない超能力者たちに怯え警戒しているのか、急激に変わって行く「世界」を恐れているのか。無性に、ここから逃げ出したくなる。
 だが代りに、蔵之輔がしたのは虚勢を張ることだった。何気ない様子で、フクロウをあしらおうとする。
「お前がどうしようが勝手やけど、俺は群れるの苦手やしな。集団行動で、いい思い出なんかない。お前が言うように俺の知識に価値があるなら、一人でやっていくわ。とりあえず、そういう動きがあるってのは初耳や。ほら、情報料」
 新聞をひらりと差し出すと、フクロウは、ひったくるように受け取り、伸びた前髪の下からじっと蔵之輔を見詰めた。ホラー映画の一場面かこれは、と、蔵之輔は心の中で叫び声を上げた。
 にっと、フクロウが笑う。
「ま、クラのことは結構気に入ってるからな。そのうち、また誘うわ。じゃ」
 軽い足取りで去って行く後ろ姿を半ば呆然と見送って、蔵之輔は、背中に当たる塀に体重をかけた。汗が、どっと吹き出る。
 嘘は言っていないが、はぐらかしたことを見透かされた気がする。
 集団でいるのが苦手なのは本当だ。幼い頃から集団行動が苦手だったが、今も、先行きの不安なこの状況だからこそ、手を取り合って行こうと呼びかける人は少なくない。家族を亡くし、新しい絆を求め、そうでなくても多くの人がいることで安心しようとする。
 だが蔵之輔は、その輪の中に入ることはできなかった。同年代のグループから声をかけられたこともあったが、どうにも駄目だった。数日で、蔵之輔が不協和音を起こしていることが判り、言われる前に輪を抜ける。それを二、三度繰り返せば、もう十分だった。
 今は、「遭遇」前から住む家でやはり以前と同じ独り暮らしをしている。近所にあまり人はいなくなっていて、蔵之輔がやっているように忍び込もうとする者もいるが、電流などのちょっとした防犯工作で、ほとんどがとりあえずは諦めてくれる。
 そんな生活をいつまで続けられるか、という不安はあるが、その不安を直視するのは怖かった。それを、フクロウに見透かされたような気がした。
「…っ」
 振り切るように塀を叩きつけ、体を起こす。家に戻るかどうか迷って、とりあえず荷物を置きに戻ろうと決める。そのまま仮眠をとって、夜にはもう一仕事することにする。まだ余裕はあるが、そうでもしていなければ落ち着かない。
 結局、家で横になったところで熟睡はできなかったが、うとうととしたのか、気付けば日が暮れていた。
「…どーすっか…」
 寝て起きれば、気持ちはいくらか落ち着いていた。とりあえず、パンを齧って考える。
 狙いをつけているところは何件かあるが、どれにするか。とりあえず出歩くかと、夕食を水で流し込んで終えると、仕事道具を詰め込んだカバンを腰に巻く。本来は美容師が使っているものだったらしいが、便利で以前から愛用している。
「クラやん。これから仕事?」
 家を出て、近くの公園に出たところで呼びかけられた。今日は厄日かと、思わずそんな考えが頭を掠める。
 さすがに夜間の電灯までは灯っておらず、輪郭くらいしか判らないが、多分知り合いだろう。声にも、聞き覚えはある。
「…酒臭い。寄んな」
「っんだよー、欲しいか? 欲しいんか? しゃーないなー、ちょっとなら分けたるわ」
「いらねーって。あっち行け、酔っ払い」
「酔ってへんって。今日はどこ行くん?」
「触んな」
 馴れ馴れしく伸ばされた手を払いのけて、まだ何か言っているようだが背を向ける。面倒になって、もう止めておくか、と思ったがふと、気になるところがあったことを思い出した。
 生活費確保の対象ではない。
 タシロという会社の研究室らしいその建物は、避難者を受け入れているというわけでもないにも拘らず、人の出入りが多いらしい。簡易病院にもなっているということだが、それ以上に、「遭遇」の一件を解明するためなのだろう。
 夜だから、活動をしているとは思わない。だが、見るだけ見てみようか。そう離れてはいないし、夜で活動していないなら逆に、誰かに見咎められることもないだろう。
 近くといえば近くだが、歩くのが面倒で自転車を取りに戻った。
「…早く、終わりゃいいのに」
 ペダルを踏みながら呟いて、そうしてから、でも、と反論が浮かんだ。「遭遇」が解明されて、秩序を取り戻したとして、今までの日常は戻らない。新しくできた秩序の中で、自分はどうなるのか、と、考えたところで厭になって考えるのを止める。
 どうせ、その先には誰もいない。蔵之輔は独りぼっちになってしまった。
 黙々と走って、たどり着いたところで建物を見上げる。ただのビルだ。五階建て、だろう。問題は中で活動する人たちであって、器は関係ない。
「そりゃそうか」
 何やってんだ俺は、と苦笑して、自転車のスタンドを下ろす。生ぬるい風が吹いて、「遭遇」以来切っていない髪をかき回す。
 門には鍵がかかっていたが、簡単に乗り越えられる高さだった。警報でも仕掛けてあるかと思ってしばらくビルを見上げたが、どうにもその気配もない。警備会社にでも連絡が行くつくりかもしれないが、こういうところでは、通報されたことを侵入者にも知らせ、追い出すのが一般的だ。犯人を捕まえるよりも、被害を出さないことに重きを置くものなのだ。
 無用心だな、と歩を進めながら、何をやってるんだとの自問自答も起こる。
 ここから何かを持って行くつもりはないし、「遭遇」の解明を知るにも、どこにどんな形で経緯がまとめられているのかも判らないのだから無謀だし、知ったところでどうなるものでもない。
 帰って、眠れないなら眠れないで何か組み立てるなりばらすなり、懐中電灯の明かりでだってできる。そう思うのに、蔵之輔は滑らかに、持って来た道具で正面入り口の鍵を外していた。ペンライトを咥え、作業は淡々と進む。
 何をしているのかと困惑するが、中を見てみたいと思う気持ちもある。見てどうするのか、というのは抜け落ちている。
 そうして中に入ったところで、足が地面から離れた。
 一瞬の無重力に、叩きつけられて呼吸が止まる。喉には、何か冷たいものが突きつけられている。
「何が目的か知らんけど、うちは泥棒お断りやぞ」
 まだ若い男の声。台詞自体は気が抜けるが、妙な迫力があった。声を出そうとしても、咄嗟に出ない。
「顔照らして――クラぁ?」
 まぶしい光に視界が染まったかと思ったら、素っ頓狂な声がした。蔵之輔の頭の中は既に、事態についていけずに、視界と同じく真っ白になっている。
「うわー、半年振りに会ったと思ったら泥棒て、華麗な転身してんなお前。何やってるんや」
「…は?」
「あー、判らんわな、そりゃ。恭二、俺照らして、って、うわまぶしっ」
「…奈良山?!」
 記憶をたどるのに少しかかったが、懐中電灯の明かりに浮かび上がったのは、一年半年前はクラスメイトだった、そして今の通称を呼び始めた男だった。
 思わず名前を叫んだが、その先が出てこない。一体何をどうして、元クラスメイトに喉にナイフを突きつけられる状況になってしまったのか。悪いと言えば、悪いのは蔵之輔だ。
 その報いのように、親しげでのんびりとした口調に変わったものの、突きつけられたそれは微動だにしていない。
 お互いにまぶしくない位置に移動した光の中で、奈良山飛鳥は困ったかおをした。
「えーと。顔見て、二度目はないって警告して叩き出すつもりやったんやけどなあ…本当、何やってるんやここで?」
 不思議そうに訊かれるが、それは蔵之輔も知りたい。蔵之輔自身、一体何をやっているのかと思う。
「いや…様子だけ、見ようと思って…」
「様子? 何の?」
「ここで遭遇の解明やってるって聞いて…その様子?」
「いや俺に訊くなよ」
 素早くつっこんでから、思案がおになる。
 少し落ち着くと、こいつはよく俺のことを覚えていたなと、そんなことを思う。蔵之輔とは一、二年と同じクラスにいたが、中途半端に髪が伸びた上に見えにくい懐中電灯の明かりの中で、一目で判るとは。強く印象づいていた蔵之輔でさえ、気付くまでに間が空いたというのに。
「別に、何か盗むとか壊すとか、そういうのとは違うんやな?」
「ああ」
「本当みたいだよ」
 近くから何故か肯定の声が上がって、ぎょっとする。懐中電灯を持っている人物だろうが、何故そんな保障をされるのか。微妙に声変わり手前くらいの、少年の声だ。
 奈良山は、それに頷いて、何故か眼を輝かせた。
「なあクラ、機械いじり趣味やったよな? 今もか?」
「は? あ、ああ…」
 それで今の今まで一人でも生きて来られた。だが、そんなことを話したことがあっただろうか。あったかもしれないが、特に親しくもなかった相手のことを覚えているのは何故だ。
 蔵之輔の疑問にはお構いなしに、奈良山は手を引いた。押さえられていた喉とのしかかられていた胸の圧迫感が消える。
「飛鳥さん!」
「悪意はないんやろ? ならちょうどいい。なあ、クラ。ちょっとここで働いてみる気、ないか?」
「…はぁ?」
「機械に詳しい奴探してたんや。あいにく、俺の判断だけでは決められへんけど、その気があるなら話してみる。…ってまあ、今何やってるかも訊かんと先走ってるとは思うけど。あ、恭二、こいつ俺の友達。石動蔵之輔で、クラ、もしくはクララ」
「飛鳥さんって、あんまりネーミングセンスないよね…」
「そうか?」
 はあぁ、と、なんだか気の毒なくらいに深々とした溜息が聞こえた。
「で、クラ、こっちは佐々木恭二。えーと…家族みたいなもんやな。俺ら、ここで寝泊りしてるんや。遭遇解明の責任者も。興味あるならとりあえず、今日は泊まって行くか?」
「は?」
 何故そうなる。あんぐりと口を開けたクラに構わず、奈良山は勝手に決定事項にしてしまった。ここまでどうやって来たのかと訊かれ、素直に自転車と答えると、すみやかに取りに行ってしまう。そして、そのままの勢いで部屋まで連れて行かれた。少年とは別室らしく、気付くと姿が消えていた。
「ベッドひとつなんや、悪いけど掛け布団貰うな。ほら、代わりにタオル」
「…俺が床で」
「いやいや。無理に泊まらせるのに悪いし」
 自覚はあったのか。
 奥に埋もれるようにして据えられたパイプベッドに押しやられながら、投げ渡されたバスタオルを手に、でも、と口をついて出る。ところが、手早く掛け布団に包まって床に寝転んだ奈良山は、しれっと返した。
「じゃあ、勝手に出られんようにこの配置ってことで」
「なっ…」
「そっちのが奥で、窓から出るにも三階で、ベランダとかないし。俺またいで外に出るなら、多分起きる。これなら納得やろ? ほら、寝ろー」
 捉え所がないのは、相変わらずのようだった。まるで仲のいい友人のように気安く、かと思えば、先ほど突きつけ続けたナイフのように、警戒を完全に解くわけでもない。しかもそれが、ふりなのか本気なのかが掴めない。
 唖然とした蔵之輔は、だが咄嗟に、待てと呼びかけていた。
「ん? 何?」
 奈良山は素直に訊き返してくるが、訊きたい何かがあったわけではなく、言葉が出ない。焦りばかりが先行した。
「その…なんで、俺のこと、判った?」
「あー…恭二が、誰か入って来たみたいやって知らせてきたから様子見に。まさかそれがクラやとは思わんかったけど」
「じゃなくて、…俺、印象残るわけでもないのに、なんで覚えてた」
「えー、印象薄い? そうかぁ?」
 心底意外そうな声に、耳を疑う。全く自慢ではないが、小学校で六年間同じクラスだった女子に、それと気付かれていなかった実績があるというのに、どういった思考回路になっているのだろう。
 寝返りでも打ったのか、声の位置が変わる。
「流されにくくって、はっきり特技があって、かっこいい奴がおるなあ、って思ったんやけど」
 恥ずかしいことをさらっと言う。きっと本人には、恥ずかしいという自覚がないに違いない。そんな口調だった。
 これが女の子なら恋に落ちただろう。残念ながら男だ。それなのに、嬉しいのが少し腹立たしい。
「色々喋ってみたかったのにできんまま卒業してもてちょっと後悔しとったんやけど、こんなことになるとはなあ。あ、俺のこと、覚えてくれとってありがとうな」
「目立ってたやろ、お前は」
「でも、興味なかったら忘れとっておかしくないやん。顔か名前は判るけど誰、とか」
 だから、と奈良山は続けた。
「ここで働いてくれたら嬉しいけど、そっちの都合もあるやろうから無理は言わへん。とりあえず、今日は寝よ。朝は、六時にご飯やから。おやすみー」
 ぽつねんと取り残された蔵之輔は、何がどうなっているのか考えようとして、放棄した。ごろりと、硬いパイプベッドに寝転がる。
 何か長い一日だった、と思う。   

「どうですか?」
「おっけー。いや凄い、よくあんなややこしい説明書きで組み上げられるな。天才やわ、君」
 大袈裟な、と思うが、手放しで褒められて嬉しくないはずがない。照れて、蔵之輔は視線を逸らした。
 五十崎一郎は、奈良山の叔父だというだけあって、のらりくらりと捉えどころのない人だった。叔父というよりも兄のようで、頼りにもなる。そんな身内がいることが少し、羨ましい。
「俺、そろそろ帰りますね」
「ああ、もうそんな時間か」
 太陽の力の衰え始めた窓の外に視線を向け、五十崎は頭を掻いた。
「悪いな、ろくに報酬もないのに」
「飯の心配がなくて遭遇の解明進度も聞かせてもらって、それで十分です。機械いじりも、趣味の延長みたいなものですから」
 嘘ではないのだが、我ながら胡散臭いなと思いつつ、蔵之輔は当たり障りのない笑みを浮かべた。
 中学時代のクラスメイトだった飛鳥と妙な状態で再会して、元は玩具メーカーのタシロで機械いじりの手伝いを始め――手伝いというよりむしろ、中心になってしまっている気がしないではないが。
 そうやって過ごす日々は、あっという間に過ぎた。蔵之輔としては、ひたすら機械いじりに没頭していればいいだけなのだから、今まで以上に気が楽だった。それなりには傷んでいた良心も、今は無傷だ。
「あっ、おったおった。クラ、そろそろ帰るやろ?」
「次長のハワイ土産! どこから引っ張り出して来た?」
 へらりとした笑顔で現れた飛鳥は、五十崎の笑い声に迎えられた。蔵之輔は、異様なものを見たような気分で立ち尽くす。
 そこには、目にも鮮やかな赤字に黄色の花の咲き乱れるアロハシャツを着た同級生がいた。どこの南国だ。
「洗濯物溜めてもて、恵梨奈さんが、裸で歩き回るなってくれた。似合う?」
「ああ、似合う似合う。サングラス貸したろか? はまるぞー」
「いやーそこまではいいわ。視界暗なってこけそうやし。で、クラ。帰る?」
「…ああ」
 朗らか過ぎる会話に割り込めず、しかもうっかりサングラスにアロハシャツ姿の飛鳥を想像して噴き出しかけた蔵之輔は、自分に向けられた言葉にどうにか頷く。そんな様子に、飛鳥が訝しげに首を傾げたのが判った。
「似合わへんか?」 
 問題はそこではなく、逆で、似合いすぎているから可笑しいと何故気付かない。答えを待っているようなので首を振って、使い慣れたシザーバッグを掴む。
「とにかく、帰りますね、俺」
「ああ。お疲れさん、明日も頼むな」
「って待て、帰るなら俺も行く。あ、叔父さん、ご飯できたって」
「はぁ?」
「おー」
「あ、今日、俺と恭二泊まりやから。他には連絡済み」
「ああ、俺からもよろしく言っといてくれ」
 蔵之輔の疑問符を置き去りにして、飛鳥は、蔵之輔の肩に手を置いて歩き出す。五十崎は、のんびりと手を振って二人を送り出した。  
 わけのわからないまま廊下を半ばまで歩いてから、はっと気付いて手を振り払う。
「お前も行くって何? 泊りって?」 
「あ、これ晩飯な」
 振り払われたことも意に介さず、飽くまで自分のペースで、飛鳥は斜め掛けにしたカバンから弁当箱の入った小袋を取り出して差し出した。夕方になると自宅に戻る蔵之輔はいつも、そうやって夕飯を持ち帰る。
 ちなみに、炊事は輪番制のため当たり外れがある。正確には、可もなく不可もなくが一番多い。蔵之輔の料理も基本的にはそこに位置している。もっとも蔵之輔は時間の関係上、昼の調理しか当たったことはないのだが。
 そんな料理を無下にはできず受け取ったものの、回答がまだだ。じっと、元クラスメイトを睨みつける。
「怖い顔するなって。知り合いの住職がおるんやけど、今日はそこに泊めてもらうんや。で、お前んちの近くやからついでに一緒に行こうかと。話したいこともあるし。あかんか?」
 ああ、来たか。
 飛鳥に誘われ、半月以上をこうやって過ごし、まるでずっとこうやって生活してきたかのような錯覚に陥ることもあったが、実のところ不安は、常に付きまとっていた。不協和音。集団には向かない。そんな性質は、自分がよく知っている。
 受け取った弁当が急に重みを増したように、足が重くなった。それほどに、ここはこれまで以上に居心地が良かったのだと、思い知らされる。
 そんな蔵之輔の内情も知らず、飛鳥は何故か、昔にやっていたらしい戦隊ものの話をしている。蔵之輔には覚えがないが話し振りから、小学校の高学年くらいにやっていたのだろうと判った。しかしそんなことは、どうでもいい。
「話したいことって?」
 話の流れを半ば遮って、蔵之輔から切り出した。建物の外にある駐輪場でのことで、そこで待っていたらしい恭二が、蔵之輔の姿を見て、会釈するように頭を動かした。ほとんど聞き流していたが、そう言えば泊まると言っていた中に恭二の名前も出ていた気がする。
 それなら、中途半端に三人で気まずく移動するよりもいっそ、ここで話を終わらせて一人で走り去る方が気が楽だ。
 それまで手近な花壇の縁に腰掛けていたところを立ち上がった恭二は、動き始めない蔵之輔たちを見詰めて、不思議そうな様子もなく、忘れ物を取って来ると告げて立ち去った。本当のことかもしれないが、少年は、妙なくらいに感がいい。
「そんな大袈裟なことじゃないんやけどな」
 飛鳥も恭二の行動を見破ったのか、それとも蔵之輔の言いようが切羽詰っていたのか、困ったように頭を掻いた。授業中、居眠りを看破されたときにもそんなかおをしていた気がする。
「ここに住み着かへんか、っていうだけのお誘い。行き帰りも弁当詰める手間もなくなるやろ。わざわざ質面倒臭いことやるんやから事情はあるんやろうけど、家に誰かが残ってるわけでもないみたいやし、今の状態が終わる目処がつくくらいまで、引っ越して来たらどうや?」
「…通いは、他にもおるやろ」
「あの人たちは十分に大人やし、家には誰かが待ってる」
 違うとはわかっても、その言葉は、蔵之輔には待ってくれる家族などいないとでも言うように聞こえた。
 実際、もはや蔵之輔に家族はない。祖母は亡くなり、血縁だけはある父親がどこで生きていようと野垂れ死んでいようと関係も興味もない。父を殺し損ねた母は逆に、蔵之輔が幼い日に殺された。正当防衛という分類をされたその殺人事件を蔵之輔が知ったのは、祖母に引き取られた先での、噂話だった。蔵之輔も当事者のはずだったが、幼すぎて、あるいは記憶を封印でもしたのか、覚えてはいなかった。
 引越しを重ねて落ち着いた中学生の半ば以降はそれらの影はなりを潜めたが、だからといって蔵之輔自身も忘れられるわけではない。せめて慰めてくれただろう祖母は、最後の引越し前後に、軽度の痴呆を自覚して自ら施設に入った。そのくらいの貯えはあるから迷惑はかけないと言った、笑い顔は今も鮮明に思い出せる。
 おそらく、母が両親の庇護下を離れてあんな男と一緒にならなければ、悲劇は起こらなかったのだろう。そして、蔵之輔も生まれることはなかったのだろう。事件が起こったことで祖母に見つけ出されてそれまでとよりも比較的裕福に暮らせるようになった蔵之輔は、そう思った。
 まるで自分は不幸の象徴だ。
「クラ?」
 いつの間にか、蔵之輔は自分の内側に目を凝らしていた。のろりと飛鳥に焦点を合わせると、呑気な顔が覗き込んでいる。
 飛鳥にも、両親はほとんどいない状態だと聞いたことがある。両親共に海外に出ていて、しかも父親は行方知れずなのだと。同じクラスだったときに、祖母の葬儀のために休んだこともある。だが――飛鳥の周りには、蔵之輔にはないものがあふれ返っていた。恥ずかしげもなく言えば、「愛情」が。それは、振る舞いから窺い知れた。
 蔵之輔は、飛鳥に憧れるのと同時に嫉妬していたらしい。そう自覚して、妙に、可笑しいような気分になった。
「大人やから? 子どもやから? 何? 今更、そこにどんな意味がある? お前のそれはただ、俺に同情して、哀れんで手を差し伸べてるのとどう違う?」
「同情するなら、センセイにカウンセラーでも紹介してもらうわ」
 色のない無表情で、飛鳥は蔵之輔を見詰めていた。セミの鳴き声に掻き消されることなく、飛鳥の声は耳に届く。
「可哀相って慰めてかかりきりにならなあかんようなら、そういう相手を探してる人に押し付ける。クラ。お前がどう思ってるか知らんけど、俺はいい奴でもお人よしでもない。お前が機械いじりが得意じゃなかったら他の避難所でも紹介して終わったやろうし、ここに来る途中で襲われたり事故に遭ったりしてもいい程度なら、引っ越せとは言わへん。子どもっていうのは、自分と自分が関わってることの責任を取る覚悟や力がない奴や」
「っ、なら、お前は大人やって言うんか!」
「ああ。俺は、大人にならなあかん」
 淡々とした言葉で、飛鳥は口を閉じた。何かを言い返そうとしたが、蔵之輔には、何も言えなかった。お前は恵まれているから――という言葉はさすがに僻みで、口にすることはなかった。
 不意に、飛鳥の顔に色が戻る。土台はいいくせにどこか警戒感を緩める気の抜けた顔で、蔵之輔を見る。
「まあ、気が変わったら言ってくれ。その代わり、これは常備するように。無線はともかく、発信機はそこそこ使えるはずらしいから」
 そう言って渡されたのは、明らかに玩具と判る機械付きのリストバンドだった。落ち着いた色合いの黄色で、合革だかビニールだかの素材が、夏には暑苦しい。お揃いやからって置いていくなよ、という言葉に飛鳥を見れば、ズボンのベルト通しにアロハシャツと同じ鮮やかさの色違いがぶら下がっている。
「ちなみに、恭二が緑で京がピンク」
 こちらに歩いてくる恭二を示し、要らない注釈を口にする。あまりに時期を捉えた恭二の登場に、聞かれていたかと勘繰るが、激昂した蔵之輔はともかく、そう大きな声だったわけでもない。考えすぎだろう。
 戻って来た恭二は、お土産、と呟くように言ってそれぞれの手に飴を一つずつ載せた。飛鳥は嬉しげに口に放り込んだが、蔵之輔は、黄色のバンドと一緒にポケットに突っ込んだ。
「んじゃ行きますかー」
 緊張感皆無に言いながら、飛鳥は自分の自転車を引っ張り出している。つられて蔵之輔も動くが、恭二は自転車を出そうとしない。
 まじまじと見るつもりもないが、気にしていると、サドルに跨った飛鳥が、荷台を恭二に傾けている。
「二人乗り?」
「ああ、まだちょっと、乗る練習まで手が回らんかって」
 うっかり洩れ出た蔵之輔の言葉に律儀に回答して、後ろに恭二を乗せた飛鳥は、慣れているのかふらつくことなくペダルに足をかけて促した。 
 本当に、捉えどころがない。
 おそらくは蔵之輔が一方的に抱いた居心地の悪さも、飛鳥には通用していないようだ。ただ空気が読めていないというよりは、読んでいない。それがわざとらしさや押し付けがましさにならないのは、性格だろう。
 そんな考えを頭を振って追い払い、先行して走り出した。二十分ほどで家に着くから、どこまでついて来るつもりかは判らないが、それ以上長引くことはないだろう。 
 そう、思っていたのに。
 目の前で、人が燃えていた。
 それは見事な火柱になって、燃え上がっていた。
 青い炎が赤を纏っているように見えた。そして絡みつかれている人は、まるで、大きな松明だった。いや、松明でも何もせずに丸焼けなんてことにはならないだろう。手を加えない完全な炭化も難しいだろう。だがそれは――燃え尽きるまで、炎が消えることはないと、蔵之輔は知識として知っていた。
 飛鳥は、何かから護るように恭二を頭から抱きかかえている。その背をぼんやりと見て、まるで「父親」の背中だと、そう、蔵之輔は思った。
 蔵之輔が、発火を目の当たりにしたのは初めてのことだった。テレビで見たり話に聞いたりはしたが、直に目にしたのは今が初めてだ。架空だったはずのものが突然目の前に現れたようで、妙に現実感がない。
 祖母も――あんな風に、死んだのだろうか。
「おい、クラ!」
「――え?」
 急に肩を掴まれ、見ると心配そうに覗き込む飛鳥の姿があった。さっきまで背を向けていたのにと思ったら、何度も呼んだと言われて驚いた。どれだけか、意識が飛んでいたようだった。
 ふらりと道の半ばに現れて燃えた人は既に大きな炭の塊と化していて、飛鳥が抱きかかえていた恭二は、木陰に横たえられていた。陰を選ばなくても、そろそろ陽は翳ってきているのだが。
「見たの、初めてか」
 飴を一粒手渡され、今度は素直に口に含む。甘かった。
「…恭二は…?」
「気絶した。…クラんちってこの近くやろ。悪いんやけどとりあえず、休ませてくれへんか」
「…二階やけど、アパート」
「ああ、そのくらい。いいか?」
 頷くしかない。そもそも、飛鳥にそう言われて一番に浮かんだのは安堵だった。一人でいなくていいという、反射的なそれ。気付いて複雑な気持ちになったが、今更無視を決め込むことはできなかった。
 じゃあ、と言って飛鳥は立ち上がった。いつの間にか蔵之輔は道に座り込み、飛鳥も身を屈めていた。
「自転車たのめるか」
「わかった」
 道のほぼ真ん中に転がる炭から意識せず出来る限り身を離しながら、倒れた自転車二台を起こしにかかる。その間に、飛鳥は寝かせた恭二を抱き上げる。
「――おんぶのが楽ちゃうんか?」
「あー、それがなあ、こっちに慣れるとそうでもなくて。いやもう、結婚式でお姫様抱っこして、って言われても躊躇なく実行できるから」
「そこまで聞いてない」
「はっはっは」 
 いくら小柄で年下とは言え、軽々と所謂お姫様抱っこで恭二を抱き上げた飛鳥は、開き直ったのか本心からかよく判らない笑い声を上げた。アロハシャツで少年を抱き上げ呵呵大笑。怪しいこと極まりない。それにしても、見かけ以上に力のある奴だ。
 歩き出しても、安定感には変わりがなかった。
「…お前は?」
「俺?」
「あんな風に…死んでいったんやな…」
「何もできんでさ、目の前で死なれて。無力感って言うか…大袈裟に言ったら、絶望、したな」
 苦笑いでもするように顔を歪めて、飛鳥は遠くを見ていた。それでも俯かないのが、らしいと言えばらしい。
「無力なんやって突きつけられたみたいで、人が亡くなってるってのにそんな感想かよっていうとこもショックやったな。…全部ひっくるめて、案外平気やったのが一番ショックやった」
「…そうか」
「うん」
 そう、思っていたよりも平気だった。祖母がいなくなっても。
 厳しいところもあったが優しくて、唯一、生きていてほしいと思う肉親だった。いなくなればどれだけ揺らぐだろうと思っていたのに、いくら世界がこの状況になったからといって、案外生きていけた。祖母が死ねば自分も死ぬとはまさか思っていたわけではないが、それでも、何かは変わるだろうと思っていたのに。
 自分は冷たい人間なのかとも思った。両親が殺し合った子どもに相応しいように。
「でもそれでいいかなって、今はちょっと思ってる。立ち止まって、変に背負い込んだら生きて行けへんから。酷い話やけど、ごめん、俺はもうちょっと生きてたいからって。都合のいい開き直りやけど、まあ俺もいつあっち側になるかわからへんのやから勘弁してもらおかなって」
「――お前さ」
「うん?」
 派手なアロハシャツには似合わない淋しそうな表情を引き摺ったまま、目線だけを蔵之輔に寄越す。
 蔵之輔は、迷って、目を伏せた。
「葬式のとき、何考えた。中二の」
 小さな呟きは思い切れなかったからだが、聞き取れなかったらそのまま流そうと思った。だが飛鳥は、聞こえたらしく、短く、ああ、と返した。
 立場も考え方も状況も違うというのに、しかも飛鳥にとっては疾うに過去になっただろう祖母の死のことを訊いてどうするのだろうと、蔵之輔自身思う。それでも、知りたいとも思った。
 飛鳥は、ああなんや、と呟いて笑った。
「俺らこれからどうなるんやろって考えてた。京小学生で、俺もまだ中学生で。おかんは生きてるし叔父さんもおるけど、施設とか引き取られるんかなって。ばらばらのとこに入れられたりしたら厭やな、って。ばーちゃんがおらんなって哀しいとかより、そんなん考えてたな」
 何や、今更気にせんでも前からそんなやったんや。
 笑い顔は何かがこそげ落ちてるように平坦で、ああ、と蔵之輔は思った。おそらく今はじめて、憧れも嫉妬も挟まず、飛鳥を見られている。一段上にいる少年ではなく、蔵之輔と同じように、足掻いている人として。
「俺。遭遇で祖母さんが死んだらしいんや。でも、悲しいとかなくて。大体、中学の頃からずっと離れて暮らしてたんやし。…へえ、おらんなったんや、とか、それくらいしかなくて…」
「…うん」
 気付くと、泣いていた。
 飛鳥も気付いていないはずはないが、二人とも、そのまま歩き続けた。

 夏の大三角をぼんやりと見上げながら、蔵之輔は溜息を落とした。
 生活を変えるのはわくわくする反面、物憂い。面倒なのと、とりあえずお別れになる諸々への執着と。それをひっくるめて感傷と呼ぶのだろうか。
「…いいんかな」
 迷いを言葉に出したら、余計に不安になっただけだった。大丈夫、と肯定してくれる人もいないのに、うっかり呟くものじゃないとしみじみ実感する。それでなくても、夜の一人歩きというのは妙に心細い。
 飛鳥と恭二は、蔵之輔の部屋で眠っている。
 蔵之輔が引き止めたわけでも、二人がたのんだわけでもない。ただ三人とも、疲れていた。飛鳥が携帯電話で行く予定だった寺に連絡を入れ、そう言えばまだ使えるのかと、そもそも持っていなかった蔵之輔は思ったりもした。
 携帯電話は、蔵之輔には必要がなかった。祖母に不測の事態が起こったときのことを考えて固定電話から切り替えようかとも思ったが、そうすると、電話が鳴ると祖母の身に何かが起こっているような気がして、思い切れずにいるうちに今になった。
 決断するのが下手なのだと、今になって気付く。だから実のところ、この決心もいいのかと、未だ迷っている。飛鳥らと一緒に生きていこうとしてもいいのか。そこまで思い定めてからまた、いつものように弾かれたら辛い。
「よ」
「…よお」
 気付かないうちに、目的地についていたらしい。遭遇前は夜でも煌々と照らされていた公園は、今はとっぷりと闇に沈んでいる。その分、月明かりが嘘のように明るいと判った。
 タシロに通うようになってからというもの、蔵之輔は、毎夜この公園に足を運んでいた。そして、少年もそこにいた。公園での雑談は、なんとなく日課に落ち着いていた。だがそれも――今日で終わりにする。
「俺、明日からは来ーへんと思う」
 だからといって、少年に宣言する必要もないのだろうとは思うのだが、約束していたわけではないにしても毎日顔を会わせていたのだから、そのくらいの義理はある気もする。
 欠けた月に照らされた少年は、頭からパーカーのフードを被っている。ミリタリージャケットじみたそれはどう見ても冬物で、きっちりと前が閉じられている。暑くはないのかと思うが、少年はいつも涼しげにしている。酒の匂いを漂わせていたのは初日だけで、それ以降はそんなこともない。
 ただ、どこで会った誰だったのかがとんと思い出せない。相手は蔵之輔の名前も顔も知っていたのだから、知り合いではあるのだろう。今更訊けなくて、実は呼び名に困っている。
「何、それ?」
 少年は、夜でただでさえ見分けにくい上にフードの陰になっているが、どうやら笑ったようだった。皮肉気に。
「どっか行くつもり?」
「ああ…家、出るんや。だから、もう…」
「行くって、あの研究所? 近いやん」
 あはははと空々しく笑って、少年は蔵之輔の肩を叩いた。癖なのか、少年はよく体に触れる。だが、それほど馴れ馴れしい感じもなくすぐに離れるから、特に気にしていなかった。
 ところが今日はそのまま、痛いくらいに肩を掴む。思わず振り払おうとすると、眼を覗き込まれた。それが驚くほどに近くて、思わず動きが止まる。
「クラは、一匹狼やと思ってた。だから声、かけたのに。クラも、オレを置いて行くん?」
 置いていくも何も、少年とはふらりと、どうでもいいような話をするだけで。約束一つしていない。ただ、蔵之輔が夜になんとなく足を運ぶと、少年もいるというだけのことだったはずなのに。
 少年には違ったのかと、身を硬くする。瞬きすらしないかのような瞳に、恐怖を感じていた。
「ああ、友達がおるんやった? その妹の、かわいい女の子とか。それなら――行かせるんじゃなかったな」
「何、を」
「クラは、クラとやったら、一人ずつで一緒にやっていけるかと思ったんやけどなあ」
 眼を逸らすことなく、無邪気に笑う。蔵之輔には何故かそれが、泣き顔に見えた。まるで、幼い子どもが笑うこと以外を知らないかのように。
 不意に、顔が近付く。短く、わずかに触れるように唇が重なった。
「はじめっから、こうしとけば良かった? 色仕掛けで、一緒におってって縋りつけば良かった? そしたら、おってくれた?」
「何、おま…っ」
 呆然と立ち尽くす蔵之輔の前で、少年は、フードを取り、ジャケットを開け放って前をはだけた。フードから長い髪がこぼれ落ち、薄いタンクトップ一枚の体は、見間違えることもなく、胸が膨らんでいる。
 少年――少女は、胸を押し付けるように、蔵之輔に抱きついた。
「なあ、クラ、うんって言って? そうじゃないと――使ってしまう」
「え? は? いや、なっ、何、がっ、えっ?」
 自慢ではないが、親しいと言えるほどの友人すらいなかった身だ。彼女がいたはずもない。気が動転して、頭の中は真っ白だ。
 ただ、やはりその声は、泣いているように聞こえた。
「クラ」
 名を呼ばれ、しがみ付かれ、ふらりとよろめいたときに、蔵之輔の手がズボンのポケットに触れた。不自然に膨らんでいるのは、恭二に貰った飴と、飛鳥に渡されたバンドが入っているせいだ。
「あの、さ」
 おそるおそる下ろした手が触れた肩は、思っていた以上に華奢だった。分厚いジャケット越しでさえ、判る。夏にジャケットを着込んでいたのは、それを隠すためだろうか。やはり以前よりも治安は悪くなっていて、だから、押し隠そうとしたのか。
 無性に、少女を抱きしめたい衝動に駆られた。蔵之輔が安穏としていたときに、少女はたった一人だった。蔵之輔は、それに気付こうともしなかった。そのことが腹立たしく、そして思いがけず、少女がいとおしかった。
「一緒に、来るか? きっとあいつらも受け入れてくれるし、俺も説得するし、な?」
 その瞬間の少女の顔を、蔵之輔は表現する言葉を持たない。ただ、近いとすれば――絶望と、恐怖と、諦めと、開き直り。
 唐突に、少女は蔵之輔を突き放した。距離を取って、フードを被る。ジャケットも再び、きっちりと閉じられた。そして、フードの陰になって判りにくいが、たしかに笑った。
「ありがとう、ばいばい」
 くるりと背を向け、駆け出してしまう。深緑のジャケットは、簡単に公園の闇に溶け込む。
「阿呆、追いかけろ!」
「えっ?」 
「行けって! 二度と会えんでもいいんか?!」
 どこから現れたのか、真っ赤なアロハシャツが叫ぶ。肩を押されて、蔵之輔は一歩よろめいた。
 よろめいて、気付くと、走っていた。
 名前を訊いておけばよかった、と思う。どれだけ気まずくなろうと、追いかけているのに名前すら呼べないなんて、どんな間抜けだ。自分の馬鹿さ加減にほとほと嫌気が差したが、落ち込むのは後だ。
 小さな児童公園で、昼間なら一目で見渡せる。それなのに今は、闇に埋もれて、風に動く木々や蹲る遊具と、人とが見分けられない。
「頼む――待ってくれ! 何やねん、勝手なこと言って勝手にっ、キスして! それで逃げるって何や! なあ!?」
 公園の出口で、それ以上どこに向かったかも判らず、叫んだ。
「何でっ、俺の気持ちは無視かよっ?! 俺だって――」
 俺だって。
 ほんのついさっきまで男か女かも判らなかったのに、名前すらまだ知らないのに、何が言えるだろう。そう思う。だが逆に、何も知らないから、どこにも行かないでほしいとも思う。それは、欲張りだろうか。それとも、我儘だろうか。
 それでも、飛鳥に背を押されてではあっても、追いかけたのは蔵之輔だ。
「石動蔵之輔」
「――フクロウ」
 ぎくりと体が強張ったのは、不意打ちのように本名を呼ばれたのと、いるとは思っていなかった人物の声がしからだろうか。しかし同時に、言いようのない不吉な予感を感じずにはいられなかった。
 がりがりの体で背を丸めた青年は、木陰から出て来ると闇の中で眼を光らせた。
「なあ、お前もこっち来るか? お前は、思ってる以上に価値があるらしいわ」
「こんなとこで、何、してるんや」
 声が喉につっかえる。あの子と何か関係があるのかと、訊くべきかどうか迷う。それを訊けば、何か取り返しのつかないことになるような気もした。
 フクロウはただ、にやにやと笑う。
「あいつもようやく、来る決心がついたみたいや。なあ、お前も来いよ」
「あいつ、って――」
「クラが来るなら、オレは行かへん。フクロウ、どっちがいい」
 フクロウの笑いが止んだ。へそを曲げた子どものようなかおを、だが、蔵之輔は見ていない。公園を出てすぐの道路に、彼女は立っていた。
 兵服仕立てのジャケットは体の輪郭を曖昧にし、フードを被って顔を隠し声も篭らせると、声変わり途中の少年のものにも聞こえる。蔵之輔は、本当に少女なのかを迷う。つい今しがたのことは夢だったのかもしれないと、思うくらいに。
 だがどちらにしても、蔵之輔はそこに立つ人物をよく知らず、だが、関わりたいと、知りたいと思う。
「行くぞ、フクロウ」
「へいへい」
「っ、待てや!」
 思わず駆け寄ると、少女は、迎え撃つように蔵之輔に向いた。わずかに窺える口元は、真っ直ぐに引かれていた。
 手を伸ばせば掴めそうな、少し距離がありそうな、そんな位置だった。
「――何?」
「さっきの…どういうことや」
「やっぱり色仕掛けは向いてへんから、諦めた。下手に懐いた狼なんて、考えてみたら厄介やし。なあ、クラ? なんでわざわざ夜にここに来るんか、不思議に思わんかった? オレがそう仕向けてたって、気付いてた?」
「なん…そんなこと…」
「研究所行かせたのもオレや。ちょっと興味があって、調べてもらうのに都合よく通りかかったから、行ってもらったんや。オレ、そういうふうに人を操れるから」
 口元を歪めているのは、笑っているつもりだろうか。フードの作る闇の下には、嘲笑が閃いていると言いたいのか。
 立ち尽くす蔵之輔から視線を切り、少女は、フクロウを見た。みすぼらしい青年は、わずかに怯え、卑屈そうに後ずさった。少女はそこに、すたすたと歩み寄り、腕に触れた。
「笑え」
 ぽつり、と落とされた言葉に、げらげらと笑い声が被さった。ぎょっとして眼を剥く蔵之輔の前で笑い続けるフクロウは、すぐに息も絶え絶えになり、笑っているというのに眼が必死に、少女に懇願していた。
「止めろ」
 言い捨てて、手を離す。笑いから開放されたフクロウは、ぐったりと道にくずおれる。
 少女は、蔵之輔を見た。
「嘘やと思う? それなら、クラに試してみよか? 今までもやったんや、大丈夫、何も感じひん。試してみる?」
 よく、体に触れる奴だと思っていた。もし本当だとすれば、蔵之輔が理由らしい理由もなく研究所に押し入ろうとしたのも、それなりに疲れていた上に危険なはずの深夜に家を出ていたのも、説明がつく。
 そう考える時間を取るかのようにして、少女は笑った。
「追いかけてきたのだって、オレがそうしろってしたから。気が変わったから、やるんじゃなかったと思ったけど」
「嘘だよ」
 声は、ナイフのようにその場の空気を切り裂いた。
 反応したのは、呆然としっ放しの蔵之輔よりも、少女の方だった。
「違う!」
「違わない。石動さん、その人はわざと嫌われようとしてる。本当は――泣きそうになのに」
「違う!!」
 頭を抱えるようにして、少女は叫ぶ。それが逆に、割り込んできた声が本当の事を言っていると知れた。
 いつの間にか、公園の入り口の真正面に恭二が立っている。うつむき、言葉も、きっぱりと断言している割に、不安そうに揺れている。
「――何で?」
 どうにか押し出せた言葉は、格好良くもなくて、劇的なものでもなかった。そんなものは、向いていない。
 少女の傍に行って、跪くように、身を屈めた。隠されてしまっている、目が見たかった。
「一緒におってほしいって言われて、驚いたけど、嬉しかった。なあ、ごめん、俺、君の名前も知らんけど、話すのは楽しかったし、何も知らんことに気付いて後悔した。何で――離れようとした? 一緒におってほしいって、俺も思うのに」
「あかん!」
 触れようとした手を逃れて、少女は、よろめくように後ずさった。蔵之輔は、それ以上近付けず、ただ、取り乱す少女を見つめた。
 少女は、蒸し暑い夏の夜だというのに、寒さに震えるように自分の身体を抱き締めて、何かから逃れるように首を振る。
 その顎を伝うのが涙と気付いて、蔵之輔は、駆け寄りたい衝動に駆られた。駆け寄って、抱き締めて、その涙を止められたら、どんなにいいだろう。 
「君の能力やと、感情までは操れへん」
 足音もなく蔵之輔のやや後方に立った飛鳥は、やはり緊張感をどこかにちょっと置き忘れてきたような呑気なかおで、少女に対面していた。中途半端な姿勢で硬直している蔵之輔を軽く蹴ったのは、呪縛から解き放つためだろうか。
 少女は、敵意を込めて睨みつけた。
「お前に何が――」
「判るのが、俺の力やから。君が人に行動を命令できるように、その人が持つ能力を見抜けるのが、俺の能力。だから判る。こいつが、こんな今にも泣き出しそうなかおしてるのは、さっきの言葉は、君がやらせてるわけちゃう」     
 少女の視線が揺らぐ。
 もう一度、蔵之輔に飛鳥の蹴りが入る。
 立ち上がった蔵之輔は、少女に歩み寄りかけて、身を硬くしたのに気付いて立ち止まった。手を、差し出す。飛鳥の言っていることはよくわからず、少女の特技も、見せ付けられたにもかかわらず、夢で見たことのようにぴんと来ない。
 それでも、迷いはなかった。
「おいで」
 少女は、涙に濡れた眼で蔵之輔を見詰め、小さな唇を開きかけた。
 だが、言葉を聞くことはできなかった。
 広くはない路地に走り込んで来た車が止まると、少女は、一瞬躊躇った後に身を翻した。咄嗟に動けなかった蔵之輔を飛鳥が蹴りつけるが、それよりも先に、隅で蹲っていたフクロウが動いた。何かを投げつけて、視界が白煙に閉ざされる。
「忍者かよ!」
 飛鳥の自棄になったような声に、突っ込むところはそこか、とはさすがに誰も言わず、しかもフクロウの小細工は有効だった。数瞬動きを封じられただけで、走り出してしまった車には追いつけなかった。車に乗らずにその辺りにいないかと探し回ったが、徒労に終わった。
 まるで嵐にでも行き会ったようで、蔵之輔は、公園に作られていたささやかな花壇を囲むレンガに、半ば呆然と腰を落とした。ブランコでも半ば地面に埋もれたタイヤでも、ベンチでも、座れる場所はいくらでもあったが、何故かそこになった。
「…クラ」
「何」
 やや距離を置いた向かいで飛鳥と恭二が気遣わしげに見ていることには気付いていたが、何かを取り繕う気力もない。こうなると、夜の闇は色々と隠して味方になってくれる。
 それでも、飛鳥が土下座しかねない勢いで頭を下げたのは、さすがに判った。
「ごめん!」
「…何が」
 驚いたのと疲れたのと呆っとしているのが混じり混ざって、いつも以上に声が素っ気無くなる。
 飛鳥は、頭を上げようとはしなかった。
「俺…多分、もっとちゃんと動いとったら、お前と話しとったら、こんな風にあの子を見失わんようにできたんや。俺が…引き込んどきながら、隠したままでおらんかったら」
「何の話」
 のろりと顔を上げると、闇の中でぽつりぽつりと、飛鳥が話し始める。恭二はずっと無言で、気配だけがあった。
 「遭遇」依頼、超能力を持つ子どもがいること。
 タシロでは、超能力のことも含め、「遭遇」以後の異変に関して調べていること。
 蔵之輔が組み立てていたものは、超能力を無化するためのものだったこと。
「…へえ?」
 信じる信じないは、もう、どうでもよかった。ただ、今日一日だけでも色々とありすぎて、「遭遇」以降の投げ遣りな気分がまた、頭をもたげてきた。
 夏特有のじっとりとした風を受けながら、うなだれている飛鳥を――人影としか見えないそれを、見る。
「チョーノーリョク、なあ? お前も? 見せてもらえるんやろ、どんなん?」
「俺のは…どういうのか判るだけやから、力を持ってないクラには証明にはならへん。…悪い」
「力、な。お前らは選ばれた奴で、俺は違うってわけや?」
「選んだのが死神でもいいなら、そうかもな」
「はあ?」
「発火とこの力は、多分、何か関係がある。脳や体にどれだけの負荷がかかってるかも判らへん。良いんか悪いんか。…クラ、ごめんな。クラが誰かの力の影響を受けてるのは判ってた。でもそれを言って、怖がられたら厭やなって思ったら…話し辛くて。こんなことになってもた。ごめん」
 ゆっくりと、まるで懺悔するように告げる。最後にはっきりと頭を下げた飛鳥は、そのまま、言葉を続けた。
「これからも、協力してほしいと思ってる。でも、信用できひんなら…辞めてくれてもいい。とりあえず、俺、帰るわ。おやすみ」
 遠ざかる影を、蔵之輔は、ぼんやりと見送った。肩が落ちているように見えるのは、気のせいか、現実か。
 反発はいくらか収まっていたが、これからどうしようと、そう思う。まさか、そ知らぬ顔で今まで通りやっていけるとも思えなかった。
 どうやら飛鳥は罪悪感を覚えていて、蔵之輔も、この先そのことで当たらないとは限らない。超能力などと得体の知れないものに関わるのも、正直なところ、怖い。
 ――結局、一人か。
 苦い思いに、頭を抱えかけた。その膝に、ぽとりと、何かが落とされた。
「…飴ちゃん…?」
「石動さん」
 ずっと無言だった恭二が、目の前に立っていた。飛鳥と一緒に行ったと思いこんでいたこともあって、思わず凝視する。それでも、暗闇に表情は判らなかった。
「戻って来てください。飛鳥さんが友達だと思えてる人は、あそこにはあなたしかいない」
「…なんで?」
 ぽつりとこぼれ落ちた声は、蔵之輔自身驚くほどに呆然としていた。
 湿った風が、動かない頭を揺さぶっていく。
「僕たちは守らなくちゃいけなくて、所長代理たちには認めてもらうために頑張って見せて。誰に対しても少し距離を置いて、無理をして。力のことを黙っていたから全部ではなかっただろうけど、それでも、一番打ち解けてたのはあなたです」
「…はっ」
「僕の力は、精神感応、らしいです。感情や、考えてることがわかります。離れていたら、それほどではないですけど。…飛鳥さんは、何も隠さないんです。全部知ってるのに平気で僕に触れて、気にしない。――僕が言うのはおこがましいですけど、もっとくつろいでくれたら良いのにって、無理をしないでほしいと思うんです。でも、僕には何もできないから…勝手だってわかってるけど、石動さんがいてくれたら良いのにと、思ってるんです。石動さんだって――飛鳥さん、嫌いじゃないでしょう?」
 どこかおどおどとしている調子だったのに、最後にはきっぱりと言い切った。一種の自棄なのかも知れない。
 闇に埋もれたまま、蔵之輔はやはり、呆然としていた。
 たしかに飛鳥は凄い。こんな状況なのに妹や恭二たちを守り、叔父や以前からの知り合いとは言え、年長者たちと渡り合い、それぞれの状況や事情も把握しているようだった。同じクラスだったときから、周囲から浮いてもいないのに妙な迫力のある奴だとは思っていたが、今になってなるほどと、納得もした。
 何故そんな飛鳥の近くに、蔵之輔がいる必要がある。単に同い年がいないなら、その辺りを探せば誰か見つかるはずだ。現に蔵之輔も、同級生たちを何人か見かけている。
「飛鳥さん、憧れてたらしいですよ。石動さんに」
 何も言わなかったのに、恭二は、疑問に的確に答えを返した。そのことに、怯む。
「僕が気持ち悪ければ、なるべく離れています。すみません、出て行くとは言えませんけど」 
「…とりあえず、どっか行ってくれ。一人にしてくれ」
 呟くように告げると、恭二はゆっくりと頷き、蔵之輔に背を向けた。やがてその姿は、闇に溶けた。
 今度こそ、頭を抱える。
 身動きした拍子に、膝に乗っていた飴が落ちた。手を伸ばして拾い上げ、包み紙を広げて中身を口に投げ込むと、甘かった。幼い頃から何度も食べている、イチゴミルクの飴。
 ふと思いついてポケットを探ると、夕方にもらった飴と、バンドが出てきた。手探りでスイッチを捻ると、無線の、繋がる安っぽい音がした。
「…飛鳥、か?」
 返答を待つためにスイッチを切り替えるが、声はなかった。聞こえていないのか使い方が判らないのか、あるいは、実は誰にも繋がっていないのかもしれない。たかだか玩具の無線だ。あまり距離も飛ばせないだろう。
 そう思うと、逆に楽になった。
「俺…何か、役に立ってるんかな…。誰か、必要やって言ってくれて、それに返せるんかな」
 必要としてくれたのに、あの少女には何もできなかった。その手を掴むことすら、できなかった。タシロの研究所でも、出入りしていたが果たして本当に役に立っていたのか。
 溜息を落として、スイッチを切る。
 これからどうしようかと取り留めもなく考えていると、遠くから、声が聞こえた。近付いてくるそれは、どうやら、この頃聞き慣れた元クラスメイトの声のようだった。
 夜の闇に紛れて、蔵之輔は、泣きそうになりながら笑った。


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 あーしまった、最後の方、飛鳥がアロハシャツっての忘れてたや…。



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