『AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』…シリーズ三作目。
不審な自殺の多発。臭いの描写が詳しくて厭になる(苦笑)。自殺と自殺幇助と自殺未遂と疑似自殺(殺人)。
物語として面白いのだけど、だからこそというか、とても厭な話。麗華さんがいいキャラ。
『暗い時代の人々』
言論統制があり、思想を理由に死刑すら行われた「暗い時代」。そんな時代を生きた九人を採り上げ、それぞれに関わったり交流の合った数多くの人たちをも記した一冊。
作者自身触れているけど、ともすると今にも重なりそうな時代でもある。
意外に読みやすく、それなのに痛切な息苦しさを感じたり、人物像が鮮やかに浮かび上がったり。
普通選挙(と言ってもまだ女性は含まない)の開始は小学校だったか中学校だったかの授業でも学んだけど、それが治安維持法との抱き合わせでの成立とは知らなかった。
『最後の晩ごはん 忘れた夢とマカロニサラダ』
この世に残った執着の思いつかない幽霊。少しずつ変わっていく登場人物たち。
お母さんがとても素敵な人だけど、義理の娘にちゃんと言葉をかけられたのは、少し距離があって「今」だからなのかな、とも思う。息子に対しては言葉足らずだったわけだし。そう考えると、色々とめぐりあわせだなあ…。
それにしてもお兄ちゃん、実はしっかり好きすぎる…(苦笑)。
『人はアンドロイドになるために』
思考実験めいた小説。アンドロイドやロボットと人間社会の先についての仮説、といったところなのかな。
三人の中学生に考えてもらうための小説+その三人の話し合い、という構成。
詳しく知らないから、石黒さんはあくまでアンドロイドと言っても「ガワ」をつくるというか、物として人に似たものが人間社会にどう受け入れられるのか、を問う人なのかと思っていたけど…いやでも結局、どれも認識の話だったからやはりそうなのかな。
根底があくまで「人の思想」だから、AIのような独自の思考回路を持つモノ、とはまた別物?
『宮辻薬東宮』
五人の作家のリレー小説、と思っていたら、リレー形式(?)のアンソロジー、が正解。
…どんな無茶ぶりでバトン渡したのかとわくわくしていたから、ちょっと、勝手に肩透かしを食らった(苦笑)。
でも、どれも短いのにくっきりしっかり面白かった。リンクを探すのも楽しい。薬丸さん、夏目刑事を便利に使い回すなあ。そして宮内さんだけ、怖さの種類違うよね?(笑)
各作家さんのあとがきも含め楽しかったのだけど、せっかくだから最初か最後に白黒でもいいから五人の記念写真を収録してほしかったな(笑)。
『潮風エスケープ』
選択肢を残した、という点では、結局それが一番だったのかも、とも。勉強が必要というのも結局のところは、選択肢の幅を拡げるということでもあるしなあ。
主人公たちの考えも行動も青臭いし身勝手ではあるのだけど、でも、それなら周りを思い遣って我慢したり流されていればいいのかというとそういうわけでもないだろうし。絶対の正解も、もしかしたら絶対の間違いも、ないんだろうな。
…ただ、誰一人として神への畏れは書き記されていなかったのが…せっかく奇祭を扱っているのに、ただ伝統としてだけ描かれたのだけが残念。
『明治乙女物語』
明治時代。近代化(西欧化)へと変化しようとする時代と人々を、ゆくゆくは教師になるために勉学に励む高等師範学校(当時の女子の教育制度では最高学府)の生徒を窓口に描いた、という感じかな。
警官の藤田さんが、それほど出てない割に(私ががっつり意識してしまったせいかもしれないけど)いいとこ取りな活躍(苦笑)。
登場人物の多くを多面で描こうとしていて、それでごちゃごちゃした部分はあるにせよ、かなり好感。
『蒼のファンファーレ』…地方競馬。
二作目。…一作目、図書館にはないようだしそれなら買って読むかというとちょっと微妙かなあ…。とてもいい話ではあったのだけど、再読したいと思うか、が私にとっては購入の決め手になる部分が大きいので。
女性ジョッキーの物語。良くも悪くも、お仕事ものの枠を出ず…いやちゃんと面白いのだけども。
『開かずの壷』…怪談話。
「三角の家」、加門さんの三角屋敷を思い出すなー同じではないよね? と読んでいたら、最後の「壷」が。…表題、「イスタンブールの壷」のことかと思っていたら。
このシリーズ、一人語りなせいで大分創作色が濃く感じられ…実話ではないのかな、ある程度は元があるにしても。
『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』
日々に楽しみの少ない主人公。仕事は苦痛で空虚。だけど少し、何かが変わっていく。
日常を淡々と、でも読み終えるとドラマチックだった気がする。告白(?)方法が意外だったけど、でもそれって案外ちゃんと王子様じゃないのかなあ、とにやにや。
友人と、駅ビルの夏休み企画で遊んできました。
謎解きもの。
途中、ヒントがヒントじゃなかった…それ、答え…。ってのも混じってたけど、多分小学校高学年くらいの子らが単独でやってもそこそこ時間をかけたら解けるかな?というレベルなので、程よく楽しんできました。
で、かかった時間ごとに景品をもらえるのだけど、そして私たちは一番下のランクだったのだけど(でもまあこれは、ベビーカー連れで移動自体に時間がかかったのもあると思う)、もらったのがチョコ。…真夏ですよ? と、ちょっと目を疑った(苦笑)。
しかしこれ、最後の最後で、多分出題者の意図していないトラップに引っかかった(苦笑)。
その後はお茶して、微妙に長めに立ち話をして、まだまだ日の高いうちに散会。明日も会うし、という(笑)。
友人たちと、明石市立文化博物館の「オバケ絵大博覧会」を観に行ってきました。
昨日会った友人が車を出してくれたので、渋滞に怯えつつ出発(苦笑)。まあ、行きも帰りもそれほどでなくて助かったのだけど。
この展示、子どもたちとつくっただろう手作りのお化け屋敷があったのだけど、最後に(多分監視員を兼ねて)人がいて、私が思いっきりそれに反応した(爆)。友人の連れてきていた子らよりも、多分…。
『5まで数える』…短編集。
…これをホラーと言うのは何か違わない? と思いつつの読了。
疑似科学…というか「正しいのに認められない」ものへの鬱屈や苛立ちでも溜まっているのかなーとも。広く知らしめるのに笑いを入れるってのは有効だけど、入れすぎると途端にショー化して難しいところ。
最後の幽霊が、心が温かくなるというか、嬉しい話だった。でも、今回一番好きだったのは最後の話(笑)。
『濱地健三郎の霊なる事件簿』…霊の絡む短編集。
心霊探偵とその助手の話。淡々と。
この人、推理小説家ではあるけど幻想要素入った方が嵌まる文章を書くよなあ、としみじみと。
『Y駅発深夜バス』…短編集。
んー…端正にきっちりと理を詰めている感じなのだけど、登場人物が記号っぽいというかもういっそAさんBさんでも成り立ちそうというか…。色々と心情も書き込まれているのだけど、どうしてだろう。
『青白く輝く月を見たか?』…六巻目。
今度は北極。引きこもりの人工知能。人とウォ―カロンの違いとは。もうなんだか、どこに誰が出てもおかしくない気になるなあ(苦笑)。白い月の照らしたできごと。
『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』…ホームズと伊藤博文のタッグでの(?)ロシア皇太子襲撃事件の捜査。
日本の近代化、裁くのは誰か、というのが主題かな。司法の独立に関しては、今よりもこの頃の方がしっかりしてたのではとかうっかり思ったり…。
ホームズが案外素直で、それほど船旅が堪えたのかと(苦笑)。面白かった。
『月世界紳士録』
JAXAともかかわりの深い会社…なのに、古風な月と関わりのある事柄全般を扱う通称「竹取部」に移動になった語り手と、他にはただ一人の同僚のささやかな謎解き。
最初の最低な性質の人、あれだけくだくだしく書かれているから引き続き出るかと思ったらゲストキャラでちょっとびっくり(苦笑)。
短編四本で、良くも悪くもさくさくと読めた。
『歴史の証人 ホテル・リッツ』…ノンフィクション。
第二次世界大戦中、バリは一時(四年ほど)ドイツ軍の統治下にあった。…ということすら、私はあまりよく知らずにいたのだけど。うっすら知っていたのは多分、『MASTERキートン』とか『パイナップル・アーミー』のおかげ…。
ホテル・リッツを軸に、人物を中心にその時代を描いたもの。
戦時下でも、平等ではないんだなーと、何作か戦争前後を扱った本を読んでいて思う。
…ところでヘミングウェイ、やりたい放題過ぎない…?
『化身の哭く森』
それと知らずに手にしたシリーズ四作目(苦笑)。
入らずの山に踏み入った人が次々に死んだのは祟りなのか、と。元刑事の探偵と警視庁勤務の刑事さんの二視点から。
ところで刑事さん、性同一性障害とあるけど体に関する嫌悪感がないのだよなあ…それ、同性愛者であって別物では…? 既作で語られていたのかな。
厚みの割に、さくさく淡々と読了。超常現象の扱いというか距離感は結構好み。
『君の名は。 Another Side:Earthbound』…表紙の右側四人が視点人物の四編。
映画を見たのは今年の一月で、もう記憶がおぼろ(苦笑)。
だけど、神社絡みの話にわくわく。あの流れ星、やっぱり、龍だったんだ。
これを映画に盛り込まれてもわからなかっただろうけど、もったいないなあ、ここで陽の目を見てよかった(どの程度までがはじめから組まれていた設定かは知らないけど)。
その部分込みで最後のお父さんの話にがっつり持っていかれ。
はじめ、お父さんの造形ものすごく好みだなーとにやにやしていたのだけど…これつらいし酷い話だ…。それらを悟った上での「再会」は、救いなのかなあ。
お盆休みも終わり。だけど、多分今日までのところも多かったのか、行きも帰りもいつもよりも道がすいてる感じだった(苦笑)。
…ところで、この頃、書く力自体が衰えているかも…。もう、小論文の早書きとか無理だろうなあ。というか、適当な分量に考えをまとめることが出来るのかが怪しい…。
思いついたネタがあったから、残暑見舞いがてら、書いて友人に送り付けようかなーと思ったのだけど、冒頭で止まった…。掌編は、ほぼ思い付きで書いていたのだけど…練れよってのはあるけど、でもまあそれは措いて、思いつきさえすればとりあえずは大体書けていたのだけど。
なんだかんだで長い話も書いていないし、こうなってくると、書くことが楽しいってところまでいかないし。うー…。
ここにしても、あれについて書こうかな、と思ったものが、PC開く頃には消えていたり。図書館で本を借り過ぎているのもあるけど、うーん。もう、いいのかなあ…。
『縁見屋の娘』
もっと軽いファンタジーと思い込んでいたので、男児が生まれず26で命を落とすという家に生まれた娘、行者、という諸々にちょっとびっくり(苦笑)。
切々とした主人公の心情には苦しくなるけど、落ち着くところに落ち着いたと思える終わりで良かった。因縁譚と思いきや、おどろおどろしくもなかったし。
『君にまどろむ風の花』
繰り返される言葉に、怖い、よりも、哀しい、と思ってしまった。当事者ではないからだろうとは思うけど。
やっぱり物語は好きなのだけど、言葉を尽くしているところと省いているところの具合がもどかしいのと気恥ずかしいのとがあってもだもだする…。
帰宅途中、通り雨に遭遇。降りそうだなーとは思ってたけど降ったかー。
ちなみに先日、同じように降りそうな黒雲で、ぱらついてきたから雨宿りしたら、全然止む気配がなくて(夜中まで降ってた)、結構強い降りの中帰ったっていう件が。ちゃんと合羽持ってたけど。
今回は、会社で雨雲レーダー睨んでたから、そう長く続かないだろうと踏んでいたわけですが。そして当たった。
合羽、一応あったけど百均のぺらいやつで、かばんを覆う袋はなかったから、どうしたものかなー…傘にしてしまうか、と、荷物抱えて自転車またがったまま雨合羽を羽織るというより載せて、雨宿り。あまり人の通る道ではなかったし。
やー…なんかちょっと楽しかった(苦笑)。
というわけで(?)、思い付き自体はもっと前にあった短文、今日の体験込みで何とか書き上げた。やっぱりちょっと、思ってたのとは違ったし、もっと練り上げた方がいいんだろうなーと思いつつ。
友人何人かに、残暑見舞いとして送り付け。(←)
いや何と言うか、面白いなあ、と。
今日、合羽で雨宿りしたのはこの話を書いていたからなのだよねえ。実際どんな感じだろう、と思ったのもあって。変な逆転現象(苦笑)。
『だからあなたは殺される』…殺人事件と家庭の事情。
親が資産家で読者モデルの女子高生の殺人事件をめぐって…かと思ったら、あー成程だからその題…。
お母さんまでとは思わなかったけど、でもまあ、その他は。この刑事苛っとするなーと思ってたけど、そのためだったのか。
うーん、とりあえず、桃香(仮)が幸せになれたらいいな、というところ。
『南風(みなみ)吹く』
『春や春』と同じ回の俳句甲子園の、別の参加校の話。
短く制限された中に、語らずに感じさせるための言葉を選ぶ俳句。小さな島の、それぞれの行く末も見据えつつ、今を全力で突っ走ってる感じがとてもまぶしい。
和彦、トリッキーなキャラかと思ったらちゃんと高校生な(?)面もあって、ちょっと笑ってしまった(苦笑)。
愛媛の学校って、中学校の卒業記念品が歳時記のところってあるの? …ありそうかも。
『後宮に月は満ちる 金椛国春秋』…二巻。
玄月の駒として、女性初の医師として帝の異母妹のところへ送り込まれた主人公たち。
…こんなに誰もが信じられない場所厭だなあ…それでも主人公は、確実に信じられる人が身近にいるだけましなのか。厳しい…。
主人公もう、甘えた「坊っちゃん」を脱したなあ。
『図書館は、いつも静かに騒がしい』
就職先が決まらず、正社員ではないし給料も安いけどとりあえず住んでいる場所から近いからつなぎに、とはじめた公立図書館の勤務をきっかけに、その仕事に惹かれ変わっていく主人公、かなあ。
基本的にはさらさらと読める…のだけど、何かが引っ掛かってしまって、私には微妙…。何だろう。多分、作者が是としているもので合わない部分があるのだと思うのだけど、はっきりとしないまま読了。
公立図書館の業務については、作者が図書館勤務をされていたそうなので、ある程度触れられていたような気がする。
『とるとだす』…しゃばけシリーズ。
薬の飲み合わせで眠ったような状態のまま意識の戻らないお父さんのために奮闘する若旦那と仲間たち。
これ、一番の原因は若だんなのための薬だと思うけど、薬問屋ならそんな飲み方したら駄目だってわかってようよ…と、そこに脱力(苦笑)。健康な人が呑んだところで効果がわかるかどうかもわからない、とか、素人でもわかるようなことを無視してまあ…。
最後の話、某社のCM? 桃太郎足りないけど、あれは神様になるような元がないから駄目だったのか? と勘繰ったり。人よりも神様の知り合いが増えてないかとハラハラするよ、若旦那。
『憑きものさがし』…二巻目。
夜泣きする枕と人の増える絵。
おとっつぁん、出番少ないと思ったらちゃっかり(?)活躍してた(笑)。
主人公、素直だなあ。そして素直すぎて、人の心の機微にはちょっと疎そう。それとも、年齢故に経験が足りていないだけかな。
二話目、ああ…うん、ちょっと羨ましいな。
『囚われの盤』
始皇帝による統一の手前、戦国時代を舞台に、父を罠にかけた幼なじみ(元婚約者)への復讐を貫こうとする主人公の話。
…いやもうこれ、冒頭から、詳しい背景はわからなくてもイチが望んでいることなんてわかるよ…主人公、幼かったというのを差っ引いても、父親に呪縛をかけられててもう…。
墨子って思想家の墨子? 詳しくは知らないけど、こういう描き方をするかあ…と思って読み終えてから検索したら、結構史実を引っ張って来ていたのか。主人公の名も。
終わり、主人公の幻聴だったらどうしようと変な深読みをしてしまった…。
ゆるっとしていて小心者なのに結構いい加減で、でもここぞと譲れないところはある。そんな神様のお仕事観察記(ちょっと違う)。
四篇のうち三番目は既読なのだけど、あの話、単独かと思ってた。こんなふうになってたんだ。この人間臭さが、日本の神様らしくていいな。
…かのこちゃんって、あのかのこちゃん? バベル九朔まで出てきてるし。
夢の話。
一時、やたらとストーリーのあるものを見ていた(覚えていた)ので、メモを取ろうとするけどすぐに忘れてしまってなかなか留められない…なんであんなに忘れやすいんだ…と思っていたら、夢は海馬を通さないから記憶に残らない、と聞いてじたばた。もったいない!
それでもいくらかはメモを取ったけど、大学生だったからできたようなもので、起床から家を出るまでにあまり時間の余裕がない今では。休みの日に覚えているとは限らないし。
突飛なものが多いから見るのも聞くのも好きで、でも、「夢の話は面白くない」ってのが定説、と聞いたことがあって不思議。創作物の題材になっていることも多いのに。
…と、そこまで考えて。あれ? もしかしてその「夢」って、願望の方?
『おしゃべりな銀座』…「銀座百座」掲載のエッセイをまとめたもの。
色々な人に依頼しているなあ。以前、好きな作家さんが寄稿されていると知ったものの…いや行けないよ…? と諦めた地方暮らしなので、ちょっと嬉しい。
本当にいろいろな方がまとめて収録されているので、面白かったり書いた人自体に興味を持ったり、この短さでなければ読むのつらかったかもと思ったり。
一つ、凄くうなずいてしまったのが、地方には「〇〇銀座」があふれているけど一番活気があるのは別の商店街や通り(大意)、というやつ(苦笑)。
『PC遠隔操作事件』
他人のPCから色々な犯行予告を書き込んだりメールしたり、の一連の事件についてまとめたもの。
著者が何度も本文中で繰り返しているように、犯人が自己主張が激しかったからこそ解決したようなもので、警察の対応に唖然。これ…PC踏み台にされるとか乗っ取りも怖いけど、警察の捜査が下手したら一番怖い…。いまだにこういうのを見聞きするにつけ、全てではないにしても日本は検挙率が高くて犯罪者の見逃しが少ない、なんて一体誰が言うのか、という気分に。
全体としては読みやすかったけど、正確を期してだろう繰り返しがちょっとしんどかった。
『夏は終わらない』
ああー…。三ツ木高校の野球部の、月谷君最後の夏の大会の話で丸々一冊。一度きりの夏だけど、夏は何度だって巡ってくる。
『夏の祈りは』
公立だけどそれなりに強い時期もあって、OB会も熱心な野球部のある学校。そこを舞台に、章ごとに主人公も時代も変えながらの連作集。
視点人物が野球部員ばかりではないところが、いい。メインは野球部員だけど。それぞれに時代も仲間も違って、葛藤も困難もあるのだけど、眩しさも。
この表紙、また、ぴったりなんだよなあ。歴代の(好成績の)部員の写真の飾られた部室の、光あふれる窓に向かい、逆光で背中しか見えない部員の姿。
『嘘をつく器』
陶芸家の元に弟子入りして半年の主人公。そこに起こった殺人事件と、技術不明のはずの曜変天目。
一作目よりは好きだけど、何か今一歩…。
『魔女は真昼に夢を織る』…創作三本+考察三本+コラム二本。
マーリンって、女性名だと思っていたらアーサー王関連のマーリンが男性で、あれ男性名なんだ、と思っていたらここで出てきたのは女性だったのだけど…?
コラムが結構好きだった。
『明治あやかし新聞』
あやかしや怪異譚を口実に、そっと手助けをする話。連作短編形式。
はじめ、主人公がちょっとばかり直情すぎて鬱陶しいかと思ったけど、読み進めるとそうでもなく。まあ、お節介ではあるけど。ライトな無料の又市一味、と言えば通じる人には通じるかも(苦笑)。
こちらの勝手な事情でかなり構えて読んでしまって、もったいなかったなあ。面白かったのに、自分でそれをいくらか損なってしまった感じで。シリーズ化して続いても楽しそう。
…あとがきの、作者脳内の表現が一番印象に残っていて困る…(笑)。
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