『失踪者』…山に登る男たち。
置き去りにせざるを得なかった親友を迎えに行った山で十年ぶりに見つけたのは、その時から幾つか年を取った姿で凍りついた遺体。生還していたのなら何故報せてくれなかったのか、どうしていたのか。過去を振り返り、調査をして、それらを解き明かしていく、という構成。
そういうふうに書かれたキャラクターではあるのだけど、宮崎が、ほんっとうに厭な奴。
凄くどうなっているのかが気になったし面白かったのだけど、それでよかったのかなあ、というのも残る。
『松本城、起つ』
表紙から、タイムスリップした女子高生が松本城建設に関わる話なのかなーと思っていた。いやいやいや。しっかりSFだった。そして何をどう言えばいいのか、もどかしくもなる物語でもあった。
主人公(侍姿の方)の一人語りで進む物語、突っ込みやら思考やらにすんなり馴染めて、おかげでSF設定部分はいまいちしっかりはわからなかったけど(←)楽しめた。
そして野暮を承知で言えば、あと少しくらいその後の話を読んでみたいなとも思う(笑)。
『分かれ道ノストラダムス』
中学二年の時、友人を亡くした。一九九九年、三回忌のときに渡された日記のノートには事故死した彼の両親を救う術はなかったのかとの考察の跡が。クラスメイトとその友人の手を借りて、同じように彼を救うことはできなかったのかと調べ始める主人公。そこに何故か、アンチ・ノストラダムスというカルト教団まで絡んできて。
…そうか、あの頃を「ノストラダムスの予言の七月」で抽出してカルト教団を絡めると、SFで描かれる宗教騒動みたいにも見えるのだなあ。それが驚きだった。やっぱり好きだなあ、この人の物語。
でもって、どうも同い年のようで、だからなのか主人公たちの年齢が私と同じなのだよねー(苦笑)。
『悪魔が本とやってくる』
本に関するエッセイかなーと思っていたら、本に関するコミックエッセイでした。漫画家さんだものね(?)。
唯一完全なフィクションだろう冒頭の悪魔とのやり取りが面白い。鬱陶しそうだ(苦笑)。
『遺跡発掘師は笑わない 悪路王の左手』
うわー、やっぱり考古学って面白いのだよなあ…! 深くも浅くもやったことないけど(←)。
でも、こういうふうに出土(?)してしまうと、歴史史料としては厳しいよねえ…とそんなことを考えてしまった(苦笑)。
『京都骨董ふしぎ夜話』2巻
今回も、表紙の水たまりに正体がはっきりと。主人公、良い子だなあ(子、って、ずっと年上だけど)。
お母さんが人を愛したことの顛末がちょっと不穏な感じも漂わせているけれど…。
『ノッキンオン・ロックドドア』…二人の探偵。
トリック解明専門と動機解明専門の二人の探偵が一緒に探偵事務所をやっていて、それぞれお互いの考えをやり取りしながら謎を解く。
この作者の別シリーズが気になっていて、買うかどうかの参考資料に借りてみた。
んー…会話の感じは好きなのだけど、なんだかちょっと微妙。断片というか、彼らの過去とか、語られるべきものがまだ隠されているように感じられる、ということもあるのかも。
『生物と無生物の間』…ウイルスの話
題名を他のものと勘違いして手に取る(苦笑)。ウイルスの話ということで、これはこれで面白そうだし…と思ったら、私より年上な本でびっくりした…。
ざっくりとウイルス研究の歴史、というような部分が大きいので、あまり古い感じはしなかったなあ。
語り口がちょっと講談のようで、『ドグラ・マグラ』の「キチガイ地獄外道祭文」を思い出してしまった。以前は学者さんが一般人に向けた文章ってこういう感じが主流だったのかな?
昨今話題のデング熱も出ていて、詳しくないのもだけど、そういったところでもあまり古いと思わなかったのかも。
『掟上今日子の家計簿』
今日子さんと色々な刑事さんたちの短編集。…家計簿? 推理小説の「お約束」総ざらい、という感じもあり。
『わたしの隣の王国』
遊園地でおそらく部外者立ち入り禁止だろう区域に入ってしまったカップル。異世界に迷い込んだ杏那パートと死体発見に居合わせた優パートと。
発想自体は面白いと思うけど…なんだろうなあ、何か違うというか、読み辛かった。一冊でまとめるためにか、杏那パートが駆け足過ぎたというのがあるのかな。
読みながら、『鏡の国のアリス』っぽいなあとずっと思っていたけど、そういえば、いろいろなファンタジーを基にしたテーマパークだけど、アリスはないんだなあ。
『夢見る葦笛』…短編集。
短編集。多分、うち二作は既読。
どれも、人はどこへ行くのか、どこまでが人なのか、というのを問いかけられているような感じ。今のままの人類はないだろう、変わらざるを得ないだろう、という感じも漂っているような。ただそこに悲嘆はないし、幸福もない。ただ、過渡期だからかも知れないと思わせる戸惑いと問いかけがある、ような。
最初の方の、ホラー系掲載分よりもSF系掲載分の方が好きだな。
『火災調査官』
現場には、燃え残るよう細工された一枚の絵。連続放火の疑われる事件を、つい職分を超えて調査をしてしまった火災調査官の主人公。
他者に興味がなく、周囲からは距離を置かれている彼が…淡々としていて、物語の牽引役としてはこれはこれで読みやすかった(苦笑)。火災調査官になった理由(?)の過去の出来事も絡まるけど、感情をあまり出さないものだからか、妙に読みやすく。
気付けば、十月もがっつりと過ぎていた…。
8-10に瀬戸内芸術祭目当てで出かけていた分の備忘録も書きたいなと思いつつ、図書館の本がね…返却日がね…(実はこんな事してる間もない)。
なるべく、今月中には書いておきたいところ。今週末もそれ絡みで出かけるし。
ところで、少し前から部屋にもう一つくらいなら本棚増やせるかなーあれをこっち移動してあれはあそこに移動させて、なぞと考えているのだけど。
回転式の本棚、一つ増やせるかなあ…。
いよいよ、書庫の中で寝起きすることになるな私。というかもういっそ、寝る場所移せばベッドのところに本棚置けるのに…(完全書庫)。ベッドをロフト風のやつにすればよかったと思うけど二十年前にこの部屋に移るともここまで本増やすとも思ってなかったしなあ。まだ十分に使えるベッドを買い換えるのもいやだし。
そして不安なのが。一つ増やしたところで、ついでに本棚の整理したら、今平積みにしてる本収納して埋まるのではなかろうかという…(没)。この頃、文庫の小説もほいほい買うようになったしなあ…。
そういえば、読書メーターのつぶやき機能(?)で、ある作家さんのツイッターを見て、俺っ娘だ、本当にいるんだ、と呟いた人がいたのだけど、友人に(中学生当時)一人称が「僕」の子も「俺」の子もいたので、むしろその反応に「え?」となった。
私そのへん、キャラ付けはあるだろうけど、あるあるネタというか、そこそこいるから使われるものだと思っていたのだけど…。でもまあ考えてみれば、親しい人の前でしか使わないかも。とすれば、遭遇しない人も多いのか、な…? それにしても実在を疑われるものとは思わなかったけど。たまたま耳に入った通りすがりの会話で遭遇したりしないのかな。
というかまあ、一時私も声に出さないぼやきが「俺」だったからそのへん違和感なかったというのが大きいか…。だって、ツイッターって公発言ではあるけど結構なところ独り言のような気がしてるから。
ついでに言えば、私の一人称「私」はこの数年でようやく違和感がなくなったという段階で、中学上がったあたりまで名前の一部だったもので、いやこれ使えねーだろと気付いて意識して変更したものの使い慣れず、おかげで「これ誰のー?」なんて呼び掛けには返事+挙手という、名乗らなくてもはっきり判る動作という癖がついてしまった。今がぎりぎりなところで(下手したらぎりぎりアウト)、これもなおさなきゃ、四十五十でもやってたら何か妙だよなあ。
『アンティーク贋作堂』…贋物と本物。
十二年ぶりに再会した兄が、贋作ばかりを集めた店を開くという。そこを手伝うことになった、小説家志望の妹。
…うーん? なんだろう、面白くなくはないのだけど、惹き込まれる何かがあるでもなく。舞台が金沢というのも、特に印象に残らず終わったし。
贋作といっても、はっきりそう示して相応の値段をつけているならそれなりには買う人もいそうだし、端とはいえ雰囲気のあるお店の並ぶ観光地なら、見物だけでも人は入りそうだけどなあ。観光地の観光客って結構図々しいし、勢いで買い物するし。
そういう話ではないとはわかっているけど(苦笑)。
『罪の声』…グリコ・森永事件を基にした小説。
事件のあった三十年近く後。カセットテープとノートを発見したことから自分が何らかの形で事件に関わっていたと知り、調べ始めるテーラー(妻子あり)と、上司から命じられて企画特集の為に事件を調べ始めた新聞記者(甥あり)。
事件そのものがお菓子を狙うという、子どもに関わりあることだったというのも含め、犯人の用意した指示用に声を吹き込んだ子供たちも人生を歪められたのではないか、との怒りや遣る瀬無さ。
しっかりと取材や考察をしたようなのに実名ではないのは、飽くまで作り物ということなのかな。
『下鴨アンティーク 祖母の恋文』…三冊目。
サブタイトルのものよりも、慧のお父さんのことや恋敵になっちゃったんじゃないのというのよりも、最後の話…。飽くまで創作物だけど、こういったことがないとは限らない。あまりに酷くて、巻末に収録されたイラストとの落差が…。
『玉依姫』
外伝かと思ったら変化球だけど本編だった…気がする…でもやっぱりちょっと番外編っぽい…?
存在すら知らなかった叔父に誘われ村のお祭りを観に行ったら、神への生贄にされてしまった女子高生、という導入。
故意なのか読み取り不足か書き込みが少ないのか、志帆に己の芯がないと言う祖母と、自分なりには考えているとの当人の認識と、どちらが合っているのかがわからず、そこがなんだか不安定だったなあ。自我がないわけではないのだろうけど、でもやっぱり希薄なようには感じられて。
多分、それが挟まったからというのもあるのだろうけど、ハッピーエンドとは思わなかったなあ。
ところで、210年って案外短いように思えたけどどうなのか…。
『蜜蜂と遠雷』…ピアノを弾く人々。
有名な師の紹介状を引っ提げた本人や演奏の情報の一切ない少年、幼くしてピアニストとして活躍していたけれど母の死とともに公の場で弾くことを辞めてしまった音大生、正統派の天才、妻子を持ち楽器店で働きながらも続けていたピアノへの見切り記念のつもりで出場した青年。この四人を軸に、国際的なピアノコンクールを描いたもの。
面白かった…!
恩田さんは本当に、言葉にできないことを言葉で浮かび上がらせるのが上手いなあ。才能の描き方も。
分厚いのだけど、その厚さが「まだこれだけ読める」と嬉しくなるなんて久しぶり。
『帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく』四巻
いつもながらに笑わせてもらいました。いや本当に、これ人前では読めないなあ…笑いすぎて、身内にすら不審の目を向けられた(爆)。
誤字脱字が多いのが気になって、前からこうだったのかたまたまか。
アレルギー、アレルゲンを摂り込まなければ治ることもあるらしいけど、蓄積説を取るなら…食べ過ぎは控えた方がいいのでは…と、離れたところで密かに心配を。
それにしても、私も独り身驀進しそうなので、こんな先達、楽しそうでいいなあ。気の合う友人がいることが秘訣だろうか…。
『侠飯』二巻
あの終わり方でどうやって続くの、と思ったら、なるほど。
読者としては、柳刃さんの正体がわからない方がハラハラできただろうになー、と思いつつ、でもまあ面白い。
こんなにきれいにいかないよ、というのは一作目同様にやはり思うけど、でもこれくらいにいってくれる方が嬉しいとも思う。
料理は今回、副題通りにスパイシー系。美味しそう。
『謎好き乙女と明かされる真実』四冊目
サイコパスだったんです、ということでいいのかな。自覚が早いとそれはそれで大変そう。
しかし面倒くさいコンビ(苦笑)。傍から見ればありふれた恋愛話っぽくて、まあそれはそれでいいような。
睦月さんと、再度、瀬戸内芸術祭を観に行ってきました。
犬島に行きたかったのだけど前回の三日間の行程に組み込むには難しく、それなら後日と。そして土壇場でなしにした豊島にも。…まあ結果、案の定というか詰め込みにはなったけど…そしてやはり目的は一番に果たさねばと思うに至るのですよ。そこは後述。
新幹線乗り場で待ち合わせ。フェリーの都合上、結構のんびりの出発に。
岡山駅からバスに乗り換え、宝伝港からフェリーで犬島へ。結構人がいて、みんな同じ目的地なんだよなーと、ちょっと不思議な気分に(苦笑)。
犬島は、徒歩でも簡単にぐるっと回れそうな小さな島。九十年前に十年間だけ稼働して閉鎖した銅の精錬所のあったところ。ここが美術館になっていて、他にも五+αの家一軒ほどの建物を個別に丸々使った展示。
精錬所が楽しかったー。積み上げられた煉瓦は、銅を精錬した後の鉄と珪素(硝子)を含んだものとのこと。重いのもだけど、保温性が強いとのことで、日光を溜め込めば暖かく、冷気を溜め込めば冷たく、とのこと。
入って最初の展示、鏡を使ったやつが、何度も角を曲がるのに常に光に向かって赤く燃える絵を背にした不思議な構造。全体として三島由紀夫とその作品をモチーフにしているとのことで、読んでいたらもっと面白かったかなあ…。
二時間弱で散策と見学を終えて、フェリーで豊島の家浦港へ。
着いたら、とりあえずお腹空いたと…どこへ行くやら迷って、強風に外に出していた看板を仕舞に出ていた方と目の合ったお店へ(苦笑)。食べるものはおにぎらず(今日は栗ご飯)だけだったので、それと、ホットのいちごレモン(ドリンク)を。あったまった…。
レンタサイクルで回りたかったのだけど、予約なしで午後はさすがに空いている自転車がなかった。仕方がないので、バスで唐櫃港へ。
で。
睦月さんが一番見たがっていた展示が、その港の端の方。そこより前のバス停で降りれば、幾つか展示があって下り坂だし、と見て回って、豊島美術館の受付でふと、展示時間って大丈夫だよね…?(その時点で四時前)と確認したら…五時までと思い込んでいたら、四時までだった…(没)。
うん…上り坂だろうと、一番行きたいところに一番に行くべきだった…。
いやまあ、今回、一番面白かったかなと意見の合った「檸檬ホテル」に行けたからあれだけど…うん…。心残り。
豊島美術館も面白かった…けど、値段考えると…(野暮)。いや建築大変そうだなーとは思うけど…(野暮)。
「ストーム・ハウス」が、正に、台風の時の古い家。テンション上がる(笑)。
さて芸術祭、今回初の参加(?)で、パスポートを購入して行ったのだけど、便利だなあこれ。
多分元は取れている気がするし、何より、展示を見る度に財布出さなくっていいのがいいなあ。うっかりなくしたらと思うと怖いけど(苦笑)。
展示作品、見る度にお金を出していたら、コストパフォーマンスも作品を見る目に込みしちゃいそうだしなー(貧乏性?)。パスポートだと、別に払う展示も幾つかはあるけど、作品だけを見られるから。
しかし、今日お店の人と話していて聞いた「観光客がどこからか湧いてくるように」は、思わず頷いてしまった(苦笑)。
これ出歩いてるの観光客ばっかじゃないかなーと思ったりもしたし結構。このお祭り騒ぎに関係なく住んでいる方にしてみれば、むしろ、外出控えようかなって思う期間だよねー。人にもよるだろうけど。
『怪談―不思議なことの物語と研究』…小泉八雲/ラフカディオ=ハーン作
旅のお伴につまみつまみ読んでいたら、はじめに読み始めてから二年か三年が経った気がする(苦笑)。
有名な「雪女」は私がそれと思っていたのは別のバージョンで、収録作のほとんどは日本の昔話や民話や伝説やに着想を得てのものだからか、どこか知っているような話がちらほら。知らなくても知っていたような気になるのがこの手の話。
訳もこなれていたのかも知れないけど、小泉八雲を日本人と思っていたのも無理からぬ話だ、と昔の勘違いを正当化してみたり。←
『侠飯』3巻
今度は昔気質のやくざの元に客分として。そして主人公は、組長(?)の孫だけど交流がなく地上げ目的でやって来た闇金の取り立て屋。
やはりおいしそう。
スパイシーギャングも元気そうだったし、次の巻が出れば、今回の面子のその後の様子が読めるのかなあ。
『血翼王亡命譚』3巻
完結。うう…通して、痛々しかった…。
時間の関係ないあの場所は、というかそこからはもう、泣かせにかかってるよね…前向きな終わり方の後に更に持ってくるとかもう…。
『ソードアート・オンライン』18巻
とりあえずの最終巻(来年から新シリーズ始まるとの予告あり)。
面白いけど…長いよ…。これもうちょっと短くまとめられたよね…?と、思わずにはいられない、この、原作追い越しそうだから頑張って延ばしてるアニメみたいな感じが…。作者としてはそんなことないのかもしれないけど、もうちょっと、こう…。
とりあえず、お疲れさま、次も楽しみにしています、ということで。
「台風の目」、まだ全部は載せてなかった気がしていたけど、長いのが丸々一本まだだったか…。
そして、メルマガをやめたものの、ぼんやり続きが浮かんでいたりもするので、アルファポリスですべて載せ終わるまでに続き書けたら、そっちで続けていこうかなー。
まあとりあえず、ここに書いたけど載せてないやつ…うん…。
それにしても改めて、この話ってごくごく個人的な世界に終始しているなあ。主人公、世界も国も救わないし滅ぼさないし。←
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