『不機嫌な姫とブルックナー団』
ブルックナー(作曲家)が好きで、ブルックナーの曲がプログラムにあるコンサートに出かける、自称「ブルックナー団」の男三人と出会った(女性では珍しい?)ブルックナー好きの主人公。その交流と、ブルックナー団の一人が書く小説と。
ブルオタ(ブルックナーオタク)を否定しつつ、口調や思考はしっかりネットでよく見るようなオタクの主人公の感じに若干引きつつ、でも…なんとなく、わかる。どこか公言するのははばかられるような「好きなもの」と、思い通りにはいかない現実と。
作中作や彼らのやり取りを通してブルックナーの人となりや時代などもざっとわかり、最後の一文にぐっとくる。
『十二人の死にたい子どもたち』
一緒に死ぬために集まった、十二人の子どもたち。それが、一人増えていたために引っかかりが生まれ、話し合いが始まる。
読んでいて何度も、恩田陸を想起。視点人物が変わり、それぞれにそれぞれを観察している、という描き方のせいだろうなあ。あとは、「十二人の怒れる男」「12人の優しい日本人」とか。
誰がどんな理由で来ているのか、どんな秘密を抱えているのか、彼ら彼女らはどうするのか。読みながら、どこか、ひやりとしたうしろめたさがあった。
『きまぐれ星からの伝言』
読破には程遠いけれど、好きだし気になる作家さん。ショート・ショートの神様。
エッセイや対談・鼎談、アンケートの回答といった作者本人の人柄が窺えるものの収録がメインだけど、数本収録されていた小説はやはり面白くて、買ったままになっている文庫を引っ張り出して来ようかとそわそわする…(苦笑)。
賞の選考の座談会、一回目を経てのものか、二回目三回目の星さんの主張がはっきりしていて面白い。そして受賞者の名前にちらほら見覚えがあって、時代というか、繋がってるんだなあ、と、当たり前の事に気付いたり。
本の字は…小さいね(苦笑)。
『目嚢』…怪談作家と怪。
怪談作家が主人公、ということで…どうしたって作者本人を連想するよね(苦笑)。
イトコの嫁いだ先の蔵にあったという、怪談も含まれた雑記。「耳袋」にちなんで「目嚢」と名付けられたそれを読むうち、因縁めいた怪異に巻き込まれて行き…。
人の認識や感覚がどれだけあやふやかという、そういう恐ろしさもあるなあ。
『祝山』も同じ主人公のようなので、そっちも読みたい。「Mei」にもこの主人公出てなかったかなあ…(手元にないので確認できず)。
『世界の果てからお急ぎ便』…どこへでも送料無料でとんでもないものをお届けする運送会社。
そこで働く先輩後輩コンビの遭遇するあれこれ。
発想が面白いし二章めくらいまでは届け先の人とのやり取りがメインなのかなーと思っていたら、先輩の働く目的が病気の妹の為だったり後輩が謎だったり社長が得体が知れなかったり。
さくさく読めるのだけど、会話がほとんどな上にその会話が物凄くハイテンションなものだから…疲れる…。えーともしかしてこれ、一気に読むのは辛いのか、私にとっては。そして巻数表示ないけど一巻という仕打ち(苦笑)。
『四人のおばあちゃん』
両親が子どもを連れてそれぞれに再婚したため、おばあちゃんが四人。それぞれに個性豊かなおばあちゃんが一堂に会してしまい…このハチャメチャさに、佐竹さんのイラストがいい感じ。
そしてこれも『魔法! 魔法! 魔法!』収録作とのこと。…ということは、読んでいると思うのだけどなあ。記憶が無い…(没)。
『異世界食堂』三巻
う、うわー先代!? えええー。びっくり。そして、店主側の話もちらほら。…うっかりと、新しいウェイトレスさん参入も吹っ飛びかけた(苦笑)。
そこの描写がなんだか不思議だな、と思ったら、最後にちゃんと解説が。
あー、お腹すくなあ。
『京都寺町三条のホームズ』五巻
表紙、一話目が城崎での話だったから、神戸の異人館に行った?と思ったら、シャーロキアンの集いでの一幕でした。
いやーもう、ライヘンバッハの滝を繰り返し説明するものだから、四話目、そうなるのかとひやひやした。故意だとしたらしっかかり引っかかってしまったのだけれど、ただの考え過ぎだったのかどうかが気になるところ(苦笑)。
ようやくな二人ににやにや。これで、もうちょっと文章が上手いと嬉しいのだけどなあ…。
『空への助走』…部活に取り組む高校生たち。
どの話も、時代と場所が一致しているので、ゆるーく、つながっている感じ。あと、『2.43』とも(時制としてはこれの二巻よりも前)。
一直線だったり横道逸れたり、そもそも部活が全てではなかったり。うわー、まぶしいなあ、楽しそうだなあ。たった三年、実際に精一杯活動する期間としては一年ちょっと程度。そう考えると、短い。
『まことの華姫』…元人形師の、小屋掛け芸人とその姫人形。
腹話術であることを忘れるほどに、本当の人のように話すお華は真実を見通すと噂され、そのために巻き起こる(巻き込まれる?)あれやこれ。いつもながらのお江戸の人情譚。
人は真実を知りたがり、だけどそのことに腹を立てもする。
『白バイガール』
箱根駅伝の先導をしたくて白バイ隊員に志願した主人公。技術は足りず、違反者には罵られてすっかり自信を無くしていたところに、解散したはずの暴走族が復活した? というところから、同僚の追跡事故、更には合法ドラッグにまでと思わぬところに展開。
チームプレイが頼もしいし、なんだかぼやっとしていた主人公の奮起も嬉しい。
起こった事件と関わった人たちを考えるともやもやはするけど、気持ちよく楽しめた。
『マガイの子』
喰われて代わりに人ならざるもの(=マガイ)が成り替わっている、という言い伝えのある土地で幼年時の出来事から「マガイの子」と呼ばれた姉と、それに寄り添うように育った弟。二人の視点を交互に。
異界から人界への侵入者、という題材ながら、それよりも禍々しいのは人ではなかろうか…との投げかけを残す。するすると読めてしまった。
『利き蜜師物語 銀蜂の目覚め』
蜂蜜の味を見極め、そればかりか蜂蜜を使って様々なことをする「利き蜜師」。ハーブを扱う魔女、というイメージが近いのかも。
国家資格を持った最高級の利き蜜師とまだ幼い弟子と、長く会っていなかった旧友と。
敵や悪の具現のように思ってしまいそうになる黒銀王を、孤独ではないのか淋しくないのかと気にする弟子がなんだかいい。
先日、中卒就業者の初任給(多分平均)を知って、私の高校と大学行ったのって社会的には意味なかったんだなあ…と、ため息というかがっくり感しか残らないというこの感じ…。
私個人としては意味がなかったとは思わないけど、そこで現在の仕事につながる何を得たかとかそこからのものをどう活かしているのかとなればなあ…。
『ショパンの心臓』…ショパンの心臓の逸話とそれに己と作品をなぞらえた画家と。
おもしろかった。
主人公があまりにも頼りなくてちょっとどうなのと思ったけど、思いつきにひょいと飛びつくのもどうかと思ったけど、そして全てはほとんどお膳立てされていたとしても、頑張ったなあ。
文章を読むのが苦手というのは、理由はあああったけどいくらか脳器質の問題もありそうな気がするし、実務関係の補佐がつけば、南雲さんが引退してもやって行けそうだなーと先走ったことも思ったり(苦笑)。
描き出された、葬られかけた事実は重いけど、読後感はとてもさわやか。
ネット広告で見かけた服が可愛くて、古風というか欧州系のファンタジーっぽい、けど日常にぎりぎり使えそうな感じのデザインで、そこのお店のものを見ていたら、ネット広告が一挙に服系で埋まった(苦笑)。
ああいうデザイン、買う気はさらさらないのだけど(絶対に腹とか肩とか腕とかが引っ掛かる)、見るのは好き。モデルさんは、ちゃんと似合ってる方だから当然というか。
『下鴨アンティーク 神無月のマイ・フェア・レディ』
曾祖父母の話と、父母の話と。…ここの家は、三代続いて夫婦仲がいいなあ。
そして、『ピグマリオン』と「マイ・フェア・レディ」で結末が違うの、知らなかった。鹿乃はどちらになるのだろう、とちょっと思ったり。題名からいくと後者だけど。
『君はレフティ』…記憶喪失の少年と友人たち。
題名、なんのこっちゃいと思っていたら、あー…ああー…なるほど。
そして、恋愛ものということで、メインにそれ据えられるのは苦手なのだよなーと読み始めたら、恋愛はまあそうなのだけど、青春色が濃くて、尚且つある程度謎解き要素もあったので、しっかり楽しめました。
記憶を失う前の主人公、それはそれで悩みも葛藤もあったのかもだけど、こうも第三者視点で語られると超人ぽいな(苦笑)。
記憶がないのだからそこ責めるのはさー、とは思うけど、でもやっぱり腹を立ててしまうかなあ。
「めがねうさぎの小さな絵本」
『めがねうさぎ』と『おばけのてんぷら』の、手のひらサイズの小さな絵本。
友人の出産祝いのおまけ(?)に購入したのだけど…手元に来たらつい読んでしまった(苦笑)。
なつかしいなあ、覚えてる。絵もあいまってなんだか微笑ましいのだよなあ。普通の大きさのやつは家のどこかにまだあると思うのだけど、さてどこだ。←
『梟首の遺宝』
新聞記者の母の失踪、預けられていた親戚のペンションでの襲撃。それらと、江戸時代の切支丹と彼の遺したものには関連はあるのか。
わけもわからず、平気で拳銃だって振り回すような男たちに追い回されるようになる、なんてやだなあ(嬉し人なんていないだろうけど)。
この勢いの感じなら、もう少し、文章軽い方が楽しかったかな。
『給食のおにいさん 浪人』…五冊目。
浪人っていうか留年のが近いような…(苦笑)。
ホテルに戻れるはずが、学校給食を続けることになってしまったササメ。今回絡むのは、幼少期からではない、中学からの途中入学組。
…欲がない、ってのは、どうかなーと思うけど。色々と「ある」ことが当然なら、その分、自分が得られるはずのものが他に行っている、という方向で欲が発揮されそうなものだけど。無自覚に、でも離れて見ればわかる程度に。それこそ、四人組のうちの一人の親友のような形で。
それにしても、いつかササメが悟りを開きそうな気もしてきた(苦笑)。
『三人の大叔母と幽霊屋敷』…三作目。
…随分とあいたから、冒頭に初出の人の独白(?)を置かれると、誰だっけ忘れてる?と焦る(苦笑)。
それにしても、堀川さん、人の厭なところをさらりと描くの上手いなあ。しかも、それだけでもないし。どれだけ極端な書き方をされていても、あーこういう人いるよねー、でもいいところもあったりするから困るんだよなあ、と、そんな気分にさせられるところが、やられた、という気分になる。ちょっとだけ、ダイアナさんを想起するのだよなあ。
『ビューティーキャンプ』
どろどろこってりかな、と思っていたら、予想外にさくっと読めてしまった。読みやすい。
ミス・ユニバースの世界大会をかけての日本大会での優勝を目指す人々の、大会前の強化訓練(?)をビューティーキャンプというようで。ここで既に、多くの人からふるいをかけられている、ということらしく。表紙の人々が、第何回かの参加者方なのかな。
視点が、日本支部のマネージャーの通訳という、少し置いた位置の人だからか少し離れて眺める感じで、これが出場者の一人だったら息苦しかっただろうなー。
『デボラ、眠っているのか?』
おもしろかったー。
人とウォ―カロンがどんどん同質になっていきそう(もしくはウォ―カロンの方が優れるかも)、との推考が語り手によって展開される一方、犠牲になったウォ―カロンに対しては冷淡なのが通常と思わされるような描写の数々。主人公が、これでもまだ肩入れしていると思うけど、そもそも人の死に対してすらぼんやりしてそうなところがあるからなあ…。
デボラ、この後はどう関わってくるのかも楽しみ。
『漂う子』…行方知れずになった少女。
生きているうちに手放してくれるならまだいい、っていうのが、つらい。「漂う子」は、「見えない子」でもあるかな、とも思う。見ようとしなければ見えないというのもあって、視界を拡げるためにも知識って必要なのだよな…とも。
そしてさらりと書かれていたけれど、このままでは彼女の妹は無戸籍児になるかもしれない、という未来も放置されたまま。
前作に続き、物語としての面白さも兼ね備えた上での、視界を開く窓のような小説。
『みやこさわぎ』…短編集の三冊目
変わらず人付き合いが濃密で、そしてお蔦さんはわがままだけど筋は通っているようで、ちょっと羨ましい。
ところで東京の私立は、中高一貫(+大学)がもう一般的なの…? 少し前から、公立でも試みてはいるようだけど。地方は私立の小中自体が少ないから、子ども時分にそういった選択肢がしかも多種あることに面喰らいつつ読んでしまった(苦笑)。
よほどでなければ受験は高校から、中学受験する子は学年に数人いるかなー、くらいだったなあ、私の子ども時代。
『ぼくと死神の黒い糸』
巨大なグループ会社の御曹司(何度も誘拐されかけたり命を狙われたり)と、命を落としかけたところを金属製の皮膚移植で生き延びて雇われたボディガード。
さくりと読めて…うーん、軽く楽しむ感じかな。
ところで、「『死神』と思しき、ある秘密」って言及あった…? 読み飛ばしたかなあ。
『E高生の奇妙な日常』…ショート・ショート集。
キーワードのように「E高」が出てくる。
うううーん、面白くないわけではないのだけど、何かが、微妙に求めている(期待している)ものと違う…。うーん、何だろう。
友人と、夕飯食べて来ました。
…愚痴って、言うときはとにかく吐き出したい(相槌すら時として必要ではない)というのと、同調なり慰めなりがほしいというのに大体大別できると思うのだけど…だから、聞くの不得手なのだよなあ…。
ものにもよるけど、嫌いというのとは違うのだけど(だって面白がってしまうから)、必要のない正論とか理想論とかこんなところで口走ってしまうからね…。嫌いではないのだけど、多分、求められているものとは違う反応をしていると思う(面白がってしまうのもある)。
『夜行』…それぞれの行方。
失踪した友人、行方のあやふやな妻や恋人、友人たち。それらには、ある画家のシリーズ銅版画の「夜行」と「曙光」がかかわっている?
密やかに不穏で、十年ぶりに集った彼らが語る物語の結末に、何がどうなっているのかと混乱し、最後の解明…。なんだか、さみしい。
『零の記憶』
誰にも思い入れを持てない高校教師と、幽霊の記憶が見えるようになったこともあり人との関わりを避けようとする女子高生。語りは交互。
彼女の、中学時代の親友の死から関わりを持つようになった二人が、自殺とされた死を疑い調べることで、より深く関わっていく。
…いやなんだもうこれ、可愛いというか、読んでて照れるよ!(苦笑)
二人とも、臆病ではあっても踏み出すべき時に躊躇わないあたりが、読んでいて心地いい。死ではなくて怪我で済んでいたなら、と思うとちょっとつらい。
続き読みたいなあ。
『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人』
持てる全てを注ぎ込んで、十九世紀英国(風)のお屋敷での生活を送ることにした老婦人。そのため、メイドとして雇われた主人公。
あらすじを知った時は、単にそれらしくでいいのかと思っていたら、出来る限り当時そのままに。…お風呂もままならないってのは恐ろしい話だ(苦笑)。
それでもいくらかは省けているだろうけど、確実に不便な生活で(しかも少し離れれば便利で快適な現代生活)、そこで主人全てでお仕えするって、生半じゃないなあ。
本当に、メイドの手記を読んでいるような気分になって楽しい。
『レムリアの女神』
五百年ほど前に姿を消した国でお抱え画家として雇われていた青年の王女との交流を主とした手記と、現在博物館でアルバイトをしている青年の視点での物語とが交互に。
結構面白かった。
こまごまと引っかかるところはあるのだけど(あれだけ国が滅びたのが急激すぎないか裏に何かないか、と言っていた割に真相に裏が無かったりとか、言語や固有名詞を創造するつもりがなかったからか現在を超えた未来を舞台設定にしてるけどなんだかそれが微妙とか、あとは単に文章の問題とかまあいろいろと)、何というか…ロマンはある感じ。
『災いの魔女と幸いの王』…災難を呼び寄せる体質(?)の二人の出会い。
満身創痍すぎる(苦笑)。
一冊読みきりだからざっくりなところもあるけど、この二人が一緒に居られてよかった、と思えるのが嬉しい。まさかラスボスがお父さんだなんて(違)。
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