見知らぬ教室で居眠りをしていた。
ぐるりと周囲を見回すと、ありふれた、でも、今まで私が通ったことのあるどの校舎よりも豪勢だと判る教室。三十六個並んだ机と椅子には、教卓真ん前の私以外誰も、座っても立ってもいない。
机に突っ伏したままでも眼に入る私の腕は、黒色の厚い布地に包まれていた。袖口には、蘇芳色の三本線。上体を起こすと、セーラー服と判った。スカーフも蘇芳だ。
「どこ、ここ…?」
素朴な疑問は、静寂に飲み込まれた。
窓の外はいっそ絶望的なほどに晴れ渡っていて――
「死神でもひなたぼっこしてそうやわ」
「っ」
「誰?」
噴き出したような気配があって、とりあえず廊下に向けて言ってみたものの、返事はなかった。代わりに、軽い足音。
思わず駆け寄って力任せに引き開けた扉の向こうには、角を曲がる人影があった。でもそれは言葉通りに「影」で、本当に人型だったかどうかすら、実は自信がない。
「もー、わけわからーん」
呟いて、へたりと扉にもたれかかった。目を閉じる。
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