一章

 教室の中は、苦痛の場所でしかなかった。楽しい事なんてない。あるのは、見慣れた光景ばかり。何も考えていない人が多い事に、うんざりする。

 そして、自分もそんな存在であることが何よりも厭だった。  

「真理、買い物行こ」

「昨日も行ったでしょ」

「いいじゃん、暇なんだし。昨日買えなかったやつがあるの」

 聞き慣れた、どうやら「親友」らしい女の声にうんざりする。一度、その頭の中をのぞいてみたい。服や化粧品の事しか入ってないんじゃないだろうか。

「政経のレポートまだだから」

「レポート? あ! 写させてね、真理!」

 何の疑いもなく頼み込み、邪魔しちゃ駄目だよね―、と言って、去っていった。

 私は、何なんだろう。

 ずっと、今日は昨日と同じ。変わらない毎日が続くだけ。それが不文律。だから、何も期待してなんていない。期待なんて出来ない。

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