きょうおきたことはゼンブ、うそだ。だって、四がつ一日だから。
ぼくのたんじょう日はほんとだけど、ほかはゼンブ、大うそだ。
おとーさんとおかーさんはちゃんとかえってきて、ぼくのたんじょう日をおいわいしてくれる。大きくなったよなあって、わらいながらいってくれる。
だから、ゼンブ、大うそだ。
今日起こったことは、何かの冗談かもしれない。何しろ、エイプリル・フールだ。
義姉夫婦が事故で死亡したのは辛い事実で、でも、その後に会ったなんて、あるはずがない。
あの子をよろしくと、お前に迷惑をかけて悪いなあと、どこかのんびりした義兄は、どこまでものんびりと言った。こっちに来るくらいなら恭司に会いに行けと言っても、笑って誤魔化すだけだった。
いっそ、全部嘘ならその方が良かったのに。
今日の出来事は、夢だったのだろうか。四月一日に見た、白昼夢。
お姉さんとお義兄さんの事故死は事実だから、お姉さんが来てくれたはずがない。
お願いね、私たちはもう何も出来ないから、なんて。そそっかしくってごめんね、お姉ちゃんらしいことできなかったねって、いかにもお姉さんの言いそうなこと。
ねえ、嘘じゃないならもう一度会いたいよ。
今日も一日が終わった。そう言えば四月馬鹿だった。
人間は嘘つきで、でも本当のことばかりでは息苦しい。
いつものように人が亡くなって、いつものようにそれでも誰かに会いたい人がいて。でも未だに、それが善いことなのか悪いことなのかわからない。
でもそれも、嘘と真実と同じことなのかも知れない。
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