少女の足元では、魔方陣が蒼い燐光を放っていた。それは、どこの魔導書にも載っていないものであり、少しでも知識のある者が見れば、魔方陣として成立していないと指摘するだろう代物だった。
だがそれが十分に機能した事は、魔方陣の中央に蒼い燐光に包まれた一人の男が立っていることからも明らかだった。慣れてさえいれば一目で判る、いわゆる「魔物」の気配をしている。
少女は、気圧されたように、しかし隙なく取り囲む山賊を一瞥すると、すぐ隣に目を移した。燐光が収まって見られるのは、角刈りのオレンジ色の髪と、紅い瞳を持つ長身の男。自分よりも背の高い男に対して、少女は平手を振りかぶる。
小気味のいい音が、今は静まり返った森に、響いた。
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